単調なロボットやAIの発話に“重み”を与えるとどうなる? 筑波大学が実験

筑波大学工学研究科情報システム専攻の研究チームは、小型ロボットの内部に重りを組み込み、ロボットの発話に合わせて重りを動かすことができる機構を開発。有効性を調査するため、実験を行いました。

メッセージに「重み」を感じない

昨今、ロボットやAIスピーカーといった発話機能を持つ製品が普及しています。

このようなロボットの音声機能は生活するうえで便利な一方、人間の声と比べるとやはり平坦で、ロボットが話す言葉に「重み」を感じないという声もあるようです。

なかでも、ロボットが「大事な内容」を伝えるような場面では、聞き手に「メッセージの重み」を感じさせられるようなロボットの音声技術が求められています。

体重移動をすることで感情を表現

筑波大学の研究チームが開発した携帯型ロボット「OMOY」は、このような課題を解決するために生まれました。仕組みは、ユーザーが持てるサイズの小型ロボットの胴体内部に物理的な重り(タングステン製)を配置し、ロボットの発話に合わせて2次元運動させるというもの。

「OMOY」は体内の重りを移動させることで、擬似的な感情を表現できるとしています。ユーザーは「OMOY」を手に持って音声を聞くと、発話に合わせたロボットの感情や意図を内部の重りの動きから感じ取ることができるといいます。

怒り度合いが平均で23%抑制

今回、筑波大学の研究チームは実験として、筑波大学内のカフェテリア脇で募集した94人の成人参加者に「ごめんなさい、遅刻します。約束があったことを忘れていました。もう1時間待ってもらえますか?」というテキストメッセージを「OMOY」経由で送信しました。

実験の結果、「OMOY」の内部重り運動が付与された条件下では、付与されていない条件と比較して、ユーザーがロボットに対して感じる真剣さの度合いが高まることがわかったとのこと。

また、前者の条件下では、後者の条件下と比較して、ユーザーの怒り度合いが平均で23%抑制されることを確認。さらに、遅刻した相手への許しの気持ちも高まることが示唆されたといいます。

研究チームは「受け手が動揺してしまうようなメッセージの後に、OMOYは重り運動を付与することで、ユーザーへ擬似的な感情を伝えることができます。これでユーザーはロボットの “意思”を感じ、落ち着くことができるとわかりました」とコメントしています。

筑波大学
Weight Shift Movements of a Social Mediator Robot Make It Being Recognized as Serious and Suppress Anger, Revenge and Avoidance Motivation of the User

(文・Takeuchi)


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