最近は電子書籍の普及が進み、iPadなどのタブレットを使って電子書籍を読んでいる方が増えています。
タブレットを使って普通に電子書籍を読む場合、紙の本なら可能な見開きで読むということができません。
今回は2台のiPad/iPhoneを連携させ、電子書籍の見開き表示を可能にする「富豪ブック」というアプリを使ってみたのでレビューしたいと思います。
2台のiOS/iPadOSデバイスをBluetoothで接続、見開き表示を実現
「富豪ブック」アプリは、2台のiOS/iPadOSデバイスをBluetoothで接続して連携することで、電子書籍の見開き表示を実現するアプリです。
自分専用のiPadやiPhoneを2台持てる人は限られており、その意味で「富豪」にのみ許されたアプリといえるでしょう。
アプリ自体は無料で利用することができます。
対応しているファイル形式はPDFとzipやrarで圧縮されたコミックデータ形式です。
実際に富豪アプリを使ってみた
この富豪アプリを12.9インチiPad Proで実際に使ってみました。
しかしながら、私も富豪ではないので高価な12.9インチiPad Proを2台持っているはずもなく、1台は私物、1台はiPhoneMania編集部のものを借用して利用しています。
また、このレビューでは富豪ブックアプリに標準で入っている、著作権フリーの「ブラックジャックによろしく 第1巻(佐藤秀峰作)」を使用しました。
接続は簡単
富豪ブックアプリを起動すると、初回起動時にはBluetooth接続の許可が求められ、その後ガイダンスの画面が表示されます。
この状態ですでに接続待機中になっており、右上に「探索中」と表示されています。
そして、もう1台のiPad Proで富豪ブックアプリを立ち上げると、自動的にBluetoothを使って接続待機中の富豪アプリが見つかり、接続の確認が出ました。
「接続」を押すとあっさり接続が完了し、どちらのiPad Proが左側にあるかの確認が求められます。
左にあるiPad Proを選んだら準備完了です。
非常にスムーズかつ短時間で接続が完了しました。
どちらかのデバイスをフリックすると同期して両方がページめくりされる
接続が終わると、どちらかに偶数ページ、もう一方に奇数ページが表示されます。
そして、どちらかのデバイスの画面をフリックすると、それぞれの画面が2ページずつめくられることで見開き表示が実現する仕組みです。
上の動画でわかるとおり、多少の遅れはあるものの、スムーズにページめくりができます。
異なるiOS/iPadOSデバイスを連携させることも可能
この富豪ブックアプリ、連携させられるのは同一デバイスだけでなくiOS/iPadOSデバイスであれば何でも連携できます。
上の動画も第3世代と第5世代という異なる12.9インチiPad Proを利用しました。
また、以下の動画のようにiPad ProとiPhoneを連携させることも可能です。
設定でさまざまな電子書籍に対応
設定できる項目はシンプルです。
- 自動スリープを無効に:スリープを無効にして画面を表示し続ける
- ページ番号を表示:ページめくりの際にページ番号を表示
- ページ方向:左めくりか右めくりかを設定
- 先頭ページ:先頭ページが奇数ページか偶数ページかを設定
- 表示:同じページを2つのデバイスで表示するか、ずらして見開き表示にするかの設定
これだけの設定があれば、雑誌や漫画などさまざまな電子書籍に対応できるでしょう。
アドオンは広告非表示のみ、なのに1,220円と高額
設定画面にはアドオン購入の選択肢があります。
現状購入できるのは広告非表示のみです。
この広告非表示アドオンは1,220円と高額で、しかも広告が出るといっても電子書籍閲覧時には出ず、設定などをおこなう際の画面の下に小さく出るだけです。
このアドオンも富豪向けの価格設定なのでしょうか。あるいは寄付的な意味合いが強いのかも知れません。
富豪ブックアプリの注意点
富豪ブックアプリを使う上でいくつかの注意点があります。
iPadやiPhoneをデュアルディスプレイ化できるわけではない
富豪ブックアプリができるのは、PDF形式などの電子書籍を2つのデバイスで連携しながら表示することだけです。
富豪ブックアプリで開けないファイルは連携できませんし、あらゆるiPadやiPhone用のアプリが2画面で使えるようになるわけではありません。
特にiPadの場合はデュアルディスプレイ化できれば応用範囲が広がりますが、そこはアプリではなくiPadOSの範疇でしょう。
本のように手軽に持って使うのは難しい
紙の本のように見開きにできるとなると、ソファの上で座ったり寝転んだりしながら使いたいところですが、残念ながらiPadの場合それは難しそうです。
まず、iPadを見開きで2つ収納できるケースを見たことがありません。
Amazonと楽天市場で「iPad 見開き ケース」および「iPad 2台 ケース」で検索してみましたが、ざっと見た限り見つけられませんでした。
ケースなしで2台のiPadを持つのは実用的とはいえません。
また、これがケースが見つからない原因かもしれませんが、重さの問題があります。
最も小型のiPad mini(第6世代)は293グラム(Wi-Fiモデル)なので2台で約600グラム、最も大型の12.9インチiPad Pro(第5世代)に至っては682グラム(Wi-Fiモデル)なので2台で約1.4キログラムあります。
iPad miniであればまだ重さの面では許容範囲かもしれませんが、12.9インチiPad Proを2台手で持ち続けるのはたとえケースがあってもつらいでしょう。
両方の端末に同じ電子書籍を入れておく必要がある
富豪ブックアプリは電子書籍の情報を端末間で転送しているわけではなく、両方の端末で同じファイルを開いてそれぞれに表示しています。
このため、下準備としてそれぞれの端末に同じ電子書籍を入れておく必要があります。
手軽に読めるのが電子書籍の良いところなのに、手間が増えるのはちょっと面倒です。
富豪ブックアプリの使い道
これらの特徴や注意点を踏まえ、この富豪ブックアプリの電子書籍以外での使い道を考えてみました。
電子楽譜の閲覧
電子書籍以上に見開きで見られないとつらいのが電子楽譜です。
紙の楽譜の場合、2枚以上を見開きで譜面台にのせることが多いですが、普通の電子楽譜端末の場合は1枚しか同時に表示できず、頻繁に譜めくりが必要になります。
そこで、富豪ブックアプリを利用すれば楽譜を2枚同時表示でき、譜めくりの頻度を下げられます。
実は以前、GVIDOという2画面仕様で楽譜を見開き表示できる電子楽譜リーダーがあったのですが、残念ながらすでに販売終了しています。
富豪ブックアプリを使えば、譜面台にiPadを2台乗せることでGVIDOと同じことが実現可能です。
プレゼンテーションのメモを手元で見る
プレゼンテーションをおこなう際、スライドに加えてしゃべる内容や付随する情報をどこかにメモしておきたいことがあります。
PDFファイルにスライドとメモを交互に入れておくことで、一方の端末は相手にスライドを見せるため、もう一方の端末は自分がメモを参照するために使用することができるでしょう。
ただ、このような機能はMicrosoftのPowerPointやAppleのKeynoteには標準搭載されているので、富豪ブックアプリでなくてもできます。
今後の発展に期待
このレビューで紹介したように、富豪ブックアプリは2台のiPadやiPhoneを連携して電子書籍の見開き表示ができる面白いアプリです。
ただ、できることが限られており、万人が活用できるアプリとはいえません。
そもそも「富豪」の名前が示しているとおり、iPadやiPhoneを2台用意できる方は限られているでしょう。
アイデアは面白いですし、考えれば便利な使い方がありそうなので、さらなる発展を期待したいです。
たとえばブラウザのタブを2つ開いて連携できれば、最近はブラウザだけでさまざまなことができるので、実質デュアルディスプレイ化ができるかもしれません。
ただこのアプリを使ったことで、iPadOSでのデュアルディスプレイ対応への期待がさらに高まりました。
今後のiPadOSでの対応を祈るばかりです。
Source: 富豪ブックアプリ/App Store, 佐藤漫画製作所, GVIDO (1), (2)
(ハウザー)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-446941/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania
Amazonベストセラー
Now loading...