【週末趣味 ソト遊び&イエ遊び】
実用車、商用車として誕生し、いわゆる“働くオートバイ”の代名詞にもなったホンダ・スーパーカブ(以下カブ)。小排気量オートバイ分野では、イタリアのベスパとならぶロングセラーだ。
そんな日本が世界に誇るオートバイを、仕事ではなく愛車として普段の移動に使い、カスタムして楽しむ人が増えている。
カブのカスタマイズを行うMY WAY代表の大沢さんは「最近ブームだといわれていますけど、実は90年代終わりから2000年代初めにもカスタマイズは流行っていました」と話す。
「その頃僕は“おしゃれでカワイイ”に“実用性を加えた”というコンセプトのコンプリート車を売ったり、お客さんの要望で改造をしたりしていました」
▲2008年の映画『20世紀少年』で唐沢寿明さん演じる主人公、ケンヂが乗っていたカブは、実は大沢さんが製作した。写真は撮影に使われた実物
当時はレーサーレプリカブームが落ち着こうとしていた時代。大沢さんのショップには、人とは違うおしゃれでカワイイオートバイに乗りたいという人が集まっていた。
「二輪は手軽で気軽な乗り物、移動手段でした。ところが、2006年の道路交通法改正で二輪も駐車違反が切られるようになり、道端に気軽に停めることができなくなった。それでオートバイ人口が減っていったんです」
ところで、これからカブのカスタムを楽しみたい場合は何から始めれば良いのだろうか。
「大事なのは“最終形をイメージする”ことです。あ、良いパーツがあるなと思って、単にそれを取り付けていくだけだと、まとまりのない、チグハグなスタイルになってしまいます」
▲ここで紹介しているカスタマイズ・カブは、全てお客さんのオーダーで一台一台、大沢さんが製作したもの。新車をカスタムしたものもあれば、持ち込みで改造したものもある。価格は使うパーツやオーダーの度合いによって変わる
チョッパー系がいいのか、カフェレーサー風にキメたいのかによっても方法は変わる。
「今はコンセプトを決めたコンプリートマシンを売っているショップもあるので、第一歩として、イメージに合うマシンを購入するのも一つの方法。そこから手を加えていけば、初心者でもカッコいい愛車を作れると思います」
ただ、エンジン内部だけは素人が手を出すのはNG。故障や破損、事故に繋がったりする。専門の整備士に任せよう。
コンプリートマシンを扱う3軒のショップを紹介するので、それを見てイメージを膨らませていってほしい。
MY WAY代表 大沢健次さん
これまで1000台以上のスーパーカブシリーズをカスタマイズしてきた。現在店舗は持っていないが、カブをはじめとしたオートバイ全般の整備とカスタマイズを出張サービスで行っている
MY WAY
住所:東京都渋谷区
出張方式のため営業時間や定休日は特になし
■スタイリッシュなコンプリート車が揃う「GARAGE521」
群馬県太田市にあるスーパーカブ・カスタム専門のショップ。同ショップには、すでにカスタムが施されたスタイリッシュなコンプリートマシンが用意されている。初心者でも好みに合ったコンセプトのマシンを購入し、そこから少しずつ手を加えていける。そのほうが手軽であり、かつ経験を積んでいけるのだ。
「GARAGE521」
住所:群馬県太田市世良田町1130-2
TEL:0276-55-0399
営業時間:11:00〜18:00
定休日:木曜日
▲カスタムカブ入門「The Basic」(25万3000円)
▲塗装済みコンプリートカスタムカブ「The STANDARD」(35万2000円)
▲フラッグシップモデル「STYLO」(70万4000円)
▲コンパクトチョッパー「The STREET」(30万8000円)
▲トラッカーカブ(60万5000円)
▲ストリートカブスタイル「EUREKA」(52万8000円)
▲オフロードカブ「DOPE」(41万8000円)
■コンプリート販売はもちろん、オーナーが育てていく「モトブルーズ」
兵庫県に神戸本店と宝塚店の2店舗を構えるショップ。カブのカスタマイズをはじめ、ハーレーや国産アメリカン・トラッカーなどの販売に修理、パーツやアクセサリー、 アパレルまでも扱っている。コンプリートマシンも販売しているが、オーナーの意向やショップからの提案で、そこから“カスタムを育てていく”のが基本スタイルだ。
「モトブルーズ神戸本店」
住所:兵庫県神戸市垂水区平磯1-1-43
TEL:078-753-7770
営業時間:10:00〜19:00
定休日:火曜日、年末年始
▲スーパーカブ50 AA90カスタム
▲リトルカブ AAカスタム
▲アップハンドル化されたカブのコンプリートマシンが多数揃っている
▲コンプリートで納車した後、釣り好きオーナーがさらに自ら手を加えて“育てた”例。随所に工夫が施されている
■「K-SPEED」のパーツを組み込んだフルカスタムは押し出し抜群!
K-SPEEDはタイのバンコクからやってきたカスタムパーツメーカー。そのK-SPEED がカスタマイズを手掛けると「あのカブシリーズがここまで変わるのか…」という驚きの仕上がりに。そんなオートバイにまたがって街中を流せば、注目を集めること間違いなし。そんなコンプリートマシンを紹介しよう。一部のパーツは購入も可能だ。
「K-SPEED JAPAN(バンブーホーネット合同会社)」
住所:神奈川県横浜市青葉区桂台2-40-69
TEL:080-4107-2897
▲CT125 COMBAT Custom(130万8000円)
▲CT125 K Custom(130万8000円)
▲CT125 UD Custom(150万円)
▲CT125 ROUGH RUNNER(150万円)
■汎庸性こそが人気の理由
最近ではテレビアニメやアニメ映画にも登場するようになったスーパーカブ。走りに突出した部分があるわけでもなく、特別な性能を備えているわけでもない。
それでも初代登場から60余年も経つのに、根強い人気が続く理由は、燃費が良く、高い実用性と耐久性を持ち合わせているから。汎庸性こそカブが多くの人に受け入れられている一番の理由なのだ。
そして現在もカブの名を冠したファミリー・シリーズは売られ続け、人々に愛されている。基本のスーパーカブから始まり、第二種原動機付き自転車に分類される110cc、さらには125ccモデル。これらと同じエンジンをベースに、オフロード走行をイメージしたハンターカブシリーズなど…。
スクーターのようにアクセルをひねれば動くのではなく、ギアチェンジしながら走る楽しさも持ち合わせてくれる。つまり“オートバイをコントロールしている”という実感を感じさせてくれるのも魅力のひとつだろう。
最近は原付二種が乗れる小型自動二輪までなら免許取得が楽になった。ぜひスーパーカブで二輪の楽しさを知ってほしい。
■今新車で購入できるスーパーカブ・ファミリーはこれだ!
燃費が良くて耐久性が高く暮らしの中で役立つ、ホンダのカブ・ファミリー。まずは新車で買ってみて、その良さを実感するのも良いだろう。
「スーパーカブ 50」(23万6500円)
1958年に発売された「C100」型と同じ排気量50ccのエンジンを積む基本型。曲線を基調にした柔らかなデザインのフォルムが愛らしさを感じさせてくれる。
「スーパーカブ 110」(30万2500円)
最高出力5.9ps/7500rpm、最大トルク8.5N・m/5500rpmを発揮するエンジンは運転の楽しさと実用性を両立。体を心地良く目的地に運んでくれる。
「スーパーカブ50プロ」(25万8500円)
新聞配達を中心に「積む」「運ぶ」「配る」ことに特化したバージョン。釣りや二輪ソロキャンプなどで遊びたい人のカスタマイズのベースにできる。
「スーパーカブ110プロ」(34万6500円)
「スーパーカブ110」同様の性能を発揮するエンジンは50よりもパワフルで頼もしく荷物を運び、働いてくれる相棒になる。効率の良い仕事ができるはずだ。
「クロスカブ110」(36万3000円)
大気や回転数に合わせて効率的なエンジン燃焼に制御する“PGM-FI”が余分な排出ガスを抑制し、排気系の触媒が有害物質を低減する自然に配慮したモデル。
「スーパーカブ C125」(44万円)
初代「スーパーカブC100」を彷彿させるフォルムで、現代風にアレンジしたデザインが優雅でモダン。新設計の125ccエンジンは最高出力7.2ps/7500rpm、10N・m/6250rpmの性能。
「クロスカブ50」(29万7000円)
レッグシールドを廃し、全体的によりアクティブなデザインに仕上げられたカブ・ファミリーの末っ子。街にも自然の中にもフィットするクロスオーバーマシン。
「CT125・ハンターカブ」(44万円)
エンジンは最高出力6.5ps/7000rpm、最大トルク10N・m/6250rpmと、トレッキングを想定して低回転域で力を発揮する特性。街中から野山まで、さまざまな場所で走れる。
※2022年4月6日発売「GoodsPress」5月号60-63ページの記事をもとに構成しています
<取材・文/松尾直俊>
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/447466/
- Source:&GP
- Author:&GP
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