JR浜松町駅で夜間工事のデジタルツイン化に向けた検証完了。センサで全体の位置情報などを把握

シリコンバレー発のIoTソリューションサービスを提供するMODE, Inc.(以下、MODE)は、東日本旅客鉄道株式会社とJR東日本スタートアップ株式会社(以下、JR東日本スタートアップ)による「JR東日本スタートアッププログラム2021」に採択されました。

これを受け、JR浜松町駅における夜間工事のデジタルツイン化に向けた実証実験を今年1月に開始。3月に検証を完了し、このたび検証結果を発表しました。

鉄道工事の安全管理における課題

鉄道建設工事には、夜間・短時間で実施するものや営業運転中の路線横で実施するものなどがあります。そのなかで最重要課題とされる安全管理には、作業員や重機などのリアルタイムな状況把握が欠かせません。

現在は人力で安全管理を行っていますが、夜間・短時間で集中的に行う工事には多くの作業員や重機が必要となるため、その全体把握は困難だといいます。また、管理コスト増加も課題のひとつだといいます。

そこで、建設DXプラットフォームを構築し、夜間工事をデジタルツイン化する実証実験を行いました。

複数のセンサデータを集約

実験では、準天頂衛星対応のGPSトラッカーを使用し、工事関係者と軌陸車(レールを走行する車両)、毎日設置・撤去する保安機器のリアルタイムな位置情報を取得。また、活動量計測シューズセンサと超小型温度計測パッチセンサで工事関係者の活動状況やバイタルを測定しました。

ポイントは、これら複数のセンサから取得したデータをひとつのプラットフォーム上に統合して可視化している点でしょう。これにより、誰(何)の所在・状況を把握できるデジタルツインを実現しました。

全体をリアルタイムに把握、課題も抽出

検証の結果、59項目の知見と12項目の課題を取得し、次に取り組むべきことが明確になったとのことです。

たとえば、工事関係者・軌陸車の位置をリアルタイムに把握できることを確認。作業員は4時間の作業で1万4000歩以上歩いていることがわかり、特に撤収作業時は歩数が増え、体力的に負担が大きいこともわかったといいます。

また、作業員へのアンケートでは、センシングに関して80%が負担にならないと回答したことから、現場に負担のかからないセンシングを検証できたと言えるでしょう。

今後は、実用化に向けてGPS精度の検証を継続し、実運用展開・多用途展開を目指す構え。地方部や夏季の運用、センシング機能の拡張、サービス事業での活用などに取り組むとしています。

MODEのプラットフォーム

このデジタルツインを実現しているのがMODEの技術。拡張性の高いプラグイン機構により、ウェアラブルデバイス・ドライブレコーダー・カメラなどからのデータをひとつのプラットフォームに集約可能です。

2月には、SaaS型部門横断IoTプラットフォーム「MODE BizStack」をリリース。現場データをクラウド上に集約し、専用のダッシュボードで一元的に可視化することで効率的な経営戦略をサポートします。

「MODE BizStack新製品発表会」に登壇したJR東日本スタートアップの吉田知史氏は、工事現場では工事の条件によって異なるセンサが必要になるため、多様なセンサーを統合できるMODEのプラットフォームに期待していると話しています。

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(文・Higuchi)


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