メタリック色の塗装は下地処理で仕上がりが決まる!【達人のプラモ術<宇宙船アーク号>】

【達人のプラモ術】
ペガサスホビー
1/350 THE SPACE ARK(宇宙船アーク号)
02/03

戦闘機やバイク、ロボット、スポーツカーなど、さまざまなプラモデルの作り方・楽しみ方を紹介する、プロモデラー長谷川迷人さんによる【達人のプラモ術】。

今週は3年ぶりの開催となる静岡ホビーショーでテンション上がりまくりという達人ですが、今回はみんな大好きSF映画の宇宙船、古典SF映画の傑作『地球最後の日』に登場するアーク号の製作の第2回。ロケットにはやっぱり銀色が良く似合う編です!

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!「@Modelart_MOVIE」も配信中。

 

■下地処理がひと苦労の銀塗装

前回LEDを組み込んで製作したアーク号ですが、劇中のプロップモデルをみるとロケットの表面にほとんどディテールがない上に、ベタな銀色一色という模型みたいな質感(いや模型なんですけどね)で、これを再現する塗装はなかなか手間がかかります。

銀塗装をはじめメタリック色の塗装は下地処理で仕上がりが決まるので、パーツ表面のヒケをラッカーパテで修正、胴体などパーツは後からの肉ヤセを防ぐために瞬間接着剤パテ(タミヤ製イージーサンディング)を塗布後にサンディング、合わせ目を消していきます。

下地塗装はグレーのサーフェイサーを使用。乾燥後に1000~1500番のフィニッシングペーパーで表面をツルツルに磨きあげていきます(←これ大事)。

▲主翼は左右それぞれに補助エンジンが3機ずつ装備されている。当初これもLEDで発光させたかったのだが、翼が薄く配線を通すスペースがなく断念

▲水平尾翼?の裏側にはパラマウントピクチャーのコピーライトがしっかりとモールドされているので研磨して消さなくてはいけない

▲水平尾翼の付け根にもパーツの接合線が生じるので、イージーサンディングで埋めて研磨処理する必要がある

 

■さて悩ましきは銀色

先にも書きましたが、劇中のプロップモデルは、ナチュラメタル(無塗装の金属の質感)ではなく塗りました感炸裂なフラットな銀色です。この質感再現がなかなか難しい。

いろいろ悩みましたが今回はMr.カラーのシルバー(8番)とタミヤラッカー塗料のシルバー(LP11)をほぼ1対1で調色。さらにほんのわずかに白調色したカラーを使用しました。

また通常、銀塗装の下地にはツヤありの黒を塗装するのですが、今回はサーフェイサーのグレーをそのまま使うことでフラットな質感を強調しています。実際塗装してみるとプロップモデルに近い質感を再現した満足いくものになりました。

▲調色したシルバーを3倍程度まで薄く希釈して、エアブラシで塗装→乾燥→塗装と薄く塗り重ねていく

▲塗料が濃いと塗装面がざらついてしまうので注意が必要だ

▲塗装が完了したアーク号胴体。カーモデル塗装と同じくらい塗装中のホコリの付着にも気を遣う。銀塗装は部分タッチ塗装ができないので、ホコリが付着した場合、研磨して前面塗装し直しとなる

▲塗装が完了したアーク号胴体

▲胴体上面のパネルラインはサーフェイサーと表面処理で埋まったため掘り直している

 

■ジオラマベースの塗装

キット付属のベースは、アーク号の打ち上げのレールが設けられた山のディテールが再現されているので、丁重に塗装して仕上げました。

植物が茂っている部分は鉄道模型用のパウダーを使うことで、よりリアルに仕上げています。

▲ベースはオキサイトレッドのサーフェイサーで下地を塗装。ネームプレートを取り付ける部分を切り抜いているのは、LED用の電池ボックスを収めるため

▲エアブラシを使いダークグレーで岩場の部分をざっくりと塗装

▲ダークグレーが乾燥したら、ライトグレーを使いドライブラシ技法で岩にハイライトを入れていく

▲次に植物が生えている部分をグレーンで塗装

▲乾燥後に水で2倍程度の薄めた木工用ボンドを上から塗り込んでいく

▲木工用ボンドが乾かないうちに、鉄道模型で使われているパウダーを振りかけることで、塗装だけの仕上げよりもより立体感のあるディテールを再現することができる

▲塗装が仕上がったベースにカタパルトレールとネームプレートを仮組した状態

 

■映画のラストシーンを再現

展示ベースはそのままでもよくできているのですが、もうひとひねり欲しいかなということでレール基部を自作。さらに映画のラストシーンを再現するため、建築模型等で使われるプライザー製の1/350のフィギュアを使い、惑星べラスの衝突を警告したヘンドロン博士とアーク号建造の費用を出した億万長者のスタントンを再現。あと車イスを自作してみました(このシーンは映画を見てチェック!)。

フィギュアを追加することでアーク号の大きさがよく分かるのと、ぐっと臨場感が出てくるのでオススメです。

▲映画のラストシーンの再現するためにカタパルトレールの基部にプラ板を貼り込んで、フィギュアを配置するベースを自作。次回鉄骨なども配することで臨場感を盛り上げる予定

▲レール上にはアーク号の打ち上げ用のエンジン付きランチャーが再現されている

▲インスト(説明書)ではシルバーと塗装指示されていたがDVDでこのシーンを確認したらランチャーのフレームは赤だった

▲市販されている1/350の汎用フィギュアを使って、ヘンドロン博士と億万長者のスタントンを自作。あと欠かせない車イスを自作してみた。1/350ともなるとフィギュアのサイズは3ミリ程になる

▲塗装したベースにアーク号を乗せてみた

▲それなりに劇中の雰囲気は出たと思う。完成が楽しみだ

 

■現実はSFを追い越していく!

SF映画の世界では、50年代以降すっかり廃れてしまった白銀色のロケットですが、現実はSFを追い越してセンス・オブ・ワンダーなロケット型宇宙船を復活させてくれました。

かのイーロン・マスクが興したアメリカのスペースX社が開発中の「スターシップ」は、古き良きSFに登場するスタイル宇宙船そのまんまというか、銀色に輝く砲弾型の機体後部には大きな翼があり、機体先端にも小さな翼を装備した、あえて言うならアナクロなデザインのリアル宇宙船なんですね。

多段式ロケットのように打ち上げの際に機体を切り離して、先端のカプセルだけが地球に帰還するこれまでのロケットと比べてスターシップが大きく異なるのは、機体は上段のスターシップと下段のスーパー・ヘビーと分かれてはいますが、どちらも再使用が可能で、打ち上げた時のスタイルのまま上昇、そして垂直に着陸することが可能となっていることです。

これまでのSN8、SN9(SNはSerial Numberの略)といったテスト機の飛行試験では着陸時に爆発という結果でしたが、2021年3月に実施された試験機SN10によるテスト飛行おいて、目標高度10kmへの到達。着陸地点への制御された降下後にソフトランディングが成し遂げられました。ただし、着陸から数分後にSN10は爆発、最終的に機体は失われてしまいました。原因は、やや速い速度でタッチダウン(着陸)したため、どこかが損傷して燃料のメタンと思われるガスが漏れ、それに引火したためと言われています。

爆発して失われたものの、機体の着陸という試験の本来の目的は達成されたことでスターシップの開発は大きな進展を果たしたとイーロン・マスクは語っています。白銀色のロケットが垂直に降りてくる姿は、まさにセンス・オブ・ワンダーの実現でありました。

SN10着陸の様子はYouTubeで見られます。

©SpaceX

 

■宇宙船プラモデルあれこれ

SF映画に登場する流線形の宇宙船デザインを駆逐してしまった、スタンリー・キューブリック監督の傑作『20001年宇宙の旅』に登場するXD-1ディスカバリー号。

特徴的なデザインは精子をモチーフにしたものだそうです。シネラマの大スクリーン上で真空の宇宙空間を音もなく進んでいくディスカバリー号の映像には衝撃を受けました。慣性飛行だからエンジンは沈黙、観る者をぞくぞくさせるリアルさがありましたね。そして続編の『2010年宇宙の旅』(85年公開)ではエンジンに点火した姿を見せてくれました。

余談になりますが原作者アーサー・C・クラークは『2001年宇宙の旅』より『2010年宇宙の旅』の方がお気に入りだったそうです。

ディスカバリー号は撮影後にプロップモデルが廃棄されてしまったこともあり、モデル化に際しては謎も多いそうなのですが、2000年代以降プラモが次々と登場しました。現在メビウスモデルが発売している1/144モデルは完成後のサイズが全長は1メートル! 我が家はなぜかキットが2つあります(笑)。参考価格3万5200円。ディテールアップ用のエッチングパーツ等も発売されています。ちなみにメビウスモデルからはお手軽な1/350スケール(それでも全長43cm)も発売されており、こちらは価格1万659円です。

そして海洋堂から1/10スケール!ディスカバリー号(受注製作モデル)も出ております。達人も欲しいのではありますが、お値段130万円!

次回はアーク号ジオラマの完成編をお送りします。お楽しみに!

 

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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