ソニーが5月11日に、スマートフォンの最新フラッグシップ「Xperia 1 IV」を発表しました。6月上旬に3キャリアから発売予定で、ドコモは19万872円、auは19万2930円、ソフトバンクは19万9440円。今夏に発売されるスマホの中では最高額となりそうです。はたして、それだけの価値はあるのか? 5月13日に報道向けに開催された「Xperia新商品 体験会」で、じっくり触れてきました。
まずは、Xperia 1 IVの主なスペックを押さえておきましょう。
・CPU:Snapdragon 8 Gen 1(最大2.9GHz)
・メモリ(RAM/ROM):12GB/256GB
・ディスプレイ:約6.5インチ 有機EL 4K(3840×1644)
・リアカメラ:超広角(約1220万画素/F2.2/16mm)+広角(約1220万画素/F1.7/24mm)+望遠(約1220万画素/F2.3-2.8/85-125mm)
・フロントカメラ:約1220万画素/F2.0
・バッテリー容量:5000mAh
▲縦横比が21:9の4Kディスプレイは、大画面のわりには片手でも操作しやすい
デザインは、従来モデルからのフラットなボディを継承。サイドフレームもフラットにして、エッジ部に小さな段差を設け、よりソリッド感を強調したデザインに仕上がっています。背面パネルは磨りガラスのようなサラサラとして手触りでした。
▲従来からのデザインコンセプトを継承しつつ、硬質感を強調
▲カラバリは、ブラック、アイスホワイト、パールの3色。ただし、au版はブラック、アイスホワイトの2色、ソフトバンク版はブラック1色のみ
■望遠光学ズームレンズを搭載し、4K 120fps撮影も可能に
リアカメラは、前モデルのXperia 1 IIIと同じく、超広角+広角+望遠のトリプルレンズカメラで、それぞれが約1220万画素のセンサーを備えています。他社では、4800万画素や1億800万画素など、より画素数が多いセンサーが増えていますが、画素数ではなく、大きな画素で画質を向上させることがXperiaのこだわり。Xperia IVでは、リアカメラの全てのセンサーが120fpsの高速読み出しに対応し、AFのトラッキング性能が向上し、4K 120fpsでの撮影も実現しています。
▲約1220万画素のトリプルレンズカメラを搭載。望遠カメラは光学ズームカメラへと進化した
前モデルからの最大の進化ポイントは、望遠光学ズームレンズを実現したこと。Xperia IIIには焦点距離(35mmフィルム換算)を70mmと105mmを切り替えられる可変式望遠レンズが搭載されていました。それだけでも画期的なことですが、Xperia 1 IVでは、さらに進化して、85mmから125mmまでの光学ズームが使えるようになりました。デジカメのようにレンズが出っ張るのではなく、Xperia本体にペリスコープ(潜望鏡)状に搭載されたレンズで、画質が劣化しないシームレスな光学ズームを実現しています。
▲望遠光学ズームレンズのイメージ
Xperia IVには、一般的な「カメラ」アプリはなく、「Photography Pro」というアプリを使って撮影します。デジタル一眼カメラ「α」の操作性を踏襲するUIを採用しており、カメラライクに操作できることが特徴。
▲デジタル一眼カメラと同じように撮影モードを選択できる
▲ワンタップでレンズを切り替えられて、望遠(85mm-125mm)はズーム操作が可能
▲人物の瞳にピントを合わし続ける「瞳AF」にも対応
▲側面にあるシャッターボタンは半押しでピントを合わせられるなど、カメラ同様の操作感
まだ開発途中のため、「最終の画質ではない」とのことですが、超広角から望遠まで、鮮明な画質で撮れることを確認できました。
▲超広角(16mm)で撮影
▲広角(24mm)で撮影
▲望遠(85mm)で撮影
▲望遠(125mm)で撮影
動画は「Videography Pro」で撮影します。こちらもビデオカメラのように横画面で表示されます。動く被写体を追い続ける「オブジェクトラッキング」機能を搭載し、被写体にフォーカスを合わせて、背景をぼかすことも可能。静止画の撮影時と同じく、人やペットの瞳を認識して、ピントを合わし続ける「瞳AF」にも対応しています。
▲動画撮影専用の「Videography Pro」アプリを搭載
筆者は4K 120fpsで撮影し、5倍のスローモーション撮影を試してみました。滑らかな画質で撮影できましたが、「Videography Pro」でスローモーションを撮るには、メニューを開いて設定をする必要があり、少々迷ってしまいました。
ソニーの映画撮影用プロカメラの開発チームが監修した「Cinematography Pro」というアプリもプリインされています。こちらも初めて使う人には、設定が難しく感じられるかもしれません。
なお、静止画撮影用の「Photography Pro」には「BASIC」モードがあり、一般的なカメラアプリと同じように撮影でき、動画も撮れます。ですが、この高性能なXperia 1 IVを買って、「BASIC」モードしか使わないのはもったいないでしょう。
■内蔵スピーカーの音質が向上
スピーカーはディスプレイの上部と下部(横向きにした場合は左右)に搭載し、自分に向かって均等に広がるステレオサウンドを楽しめます。前モデルのXperia 1 IIIでも立体的な音を楽しめましたが、聴き比べてみると、より低音域が響き、音の輪郭がはっきりし、音の深みが増したように感じました。
▲Xperiaのスピーカーは左右均等に前方に音が広がることが利点。前モデルのXperia 1 IIIと聴き比べると、とくに低音域の迫力が増しているように感じた
Xperia 1 IVには新しいスピーカーユニットを搭載。サイズはXperia 1 IIIのスピーカーと同等ですが、ドライバーとエンクロージャーの構造を見直すことで振幅が増し、より迫力あるサウンドの出力を実現したとのこと。音量もXperia 1 IIIより若干大きくできるので、ヘッドフォンを使わずに音楽を聴いたり映画を観たりすることが多い人におすすめしたいです。
▲新しいスピーカーユニットのイメージ
ソニー独自の立体音響技術「360 Reality Audio」、ストリーミングサービスなどの音源を立体的に変換する「360 Upmix」にも対応し、ヘッドフォン着用時は、より高音質で音楽を楽しめます。
ハイレゾ音源をXperia 1 IIIとXperia 1 IVで聴き比べてみました。内蔵スピーカーほどの差ではないですが、やはり低音域の再現性が向上し、臨場感が増したことを実感できました。筆者はXperia 1シリーズの新モデルが出るたびに、音の聴き比べをさせてもらってますが、毎回着実に進化しています。とくに。Xperia 1 IIからXperia 1 IIIへの進化の幅が大きかったので、Xperia 1 II以前の機種から買い替えると、より一層、音質の向上を実感できること請け合いです。
▲ヘッドフォンでも聴き比べてみた。前モデルのXperia 1 IIIでもスマホとしてはトップクラスの音質を実現していたが、Xperia 1 IVでは、さらに向上
■Xperia 1 IVでしか使えない「Music Pro」が楽しい
Xperia 1 IVには、ソニーミュージックと共同で開発された「Music Pro」という新しい機能も搭載されています。自宅にいながら、音楽スタジオでプロ向けのマイクを使ったようなレコーディング体験ができるというもの。Xperiaで「Music Pro」アプリを起動して、内蔵マイクで歌声やギター演奏などを録音。それをクラウドにアップロードすると、ノイズや残響音が低減された音源に変換されてダウンロードできる仕組みです。
クラウドでの処理に要する時間は録音時間の1/3程度。実際に処理した音源を聴かせてもらいましたが、全く雑音がなく、スマホのマイクで録音したとは思えない音質になっていました。「Music Pro」アプリには、外部の音源を取り込んで、簡単なミキシングができる機能もあります。アマチュアのアーティストや、趣味で“歌ってみました” 動画などを楽しむ人に向けた機能ですが、簡単に高音質化できるレコーダーとして、いろいろな用途がありそうです。
▲「Music Pro」でレコーディングを開始する画面。ボーカルやギターのほか、音源ファイルを読み込むことも可能
▲録音した音源の編集画面。「STUDIO TUNING」をタップするとクラウドにアップロードされる
なお、「Music Pro」アプリの利用は無料ですが、クラウドで高音質化処理をする「STUSIO TUNING」機能を使うには月額580円(1000MBまで)が必要。ただし、初回100MBまでは無料で使えるので、2曲ほどお試しができます。ちなみに、この「Music Pro」はXperiaの従来モデルにはインストールできず、今のところは、Xperia 1 IVでしか利用できないそうです。
■ゲーム実況を配信したい人にもオススメ
体験会では、ゲームを楽しむための「ゲームエンハンサー」機能のデモも行われました。
▲Xperia 1 IVの画面を大型モニターに出力して、「ゲームエンハンサー」の新機能も披露された
ゲームに集中するための各種設定に加えて、Xperia 1 IVではゲーム実況をYouTubeに配信する機能を強化。配信する画面のレイアウトは複数から選ぶことができ、カスタマイズも可能。配信の音声やゲーム音の音量も設定でき、スマホが着信した場合などは「Privacy」という画面に切り替わり、個人情報を保護することができます。
▲eSIMを追加して、デュアルSIMで使えることもメリット
5Gの新周波数はSub 6とミリ波の両方に対応。eSIMにも対応し、キャリア向けモデルながらnanoSIMとeSIMをデュアルで使えることも大きなメリットといえるでしょう。
■Xperia 10 IVとXperia Ace IIIは、コンパクト&電池持ちが魅力
また、ミドルレンジのXperia 10 IVと、エントリーユーザー向けのXperia Ace IIIも発表されました。
▲Xperia 10 IVのカラバリは、ミント、ラベンダー、ホワイト、ブラックの4色。ただし、ソフトバンクはラベンダーは取り扱わない
Xperia 10 IVは、5000mAhのバッテリーを搭載する5Gスマホとして世界最軽量の約161gを実現。片手でも操作しやすいサイズ感ながら、画面サイズは約6.0インチを確保。CPUはSnapdragon 695 5Gで、超広角+広角+望遠のトリプルレンズカメラも備えています。Xperia 1 IVまでの性能を必要としない人には堅実な選択肢となりそうです。7月上旬以降の発売予定で、ドコモ版は6万4152円。au版とソフトバンク版の価格は未定です。
▲Xperia 10 IVのカラバリは、ブラック、グレー、ブリックグレー、ブルーの4色。ただし、キャリによって取り扱う色が異なる
Xperia Ace IIIは、約5.5インチの液晶ディスプレイを搭載するコンパクトなモデル。CPUはSnadpgragon 480 5Gで、リアカメラは約1300万画素のシングルカメラと控えめな仕様。されど、4500mAhのバッテリーを搭載しているので、電池持ちが良さそうです。6月中旬以降の発売予定で、ドコモ版は3万4408円。au版とワイモバイル版の価格は未定。「かんたんホーム」も設定できるので、子どもやシニア層向けにも適しています。
>> ソニー「Xperia」
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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- Original:https://www.goodspress.jp/news/451414/
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