e-Bikeや電動スクーターなどの次世代電化モビリティが街を疾駆する光景は、もう珍しくはない都市風景だろう。新しい電化モビリティは、クリーンで経済性にも優れ、老若男女問わず格段の利便性をもたらしてくれる。
ホビー&スポーツバイク業界にも電化の波は力強い。各社趣向を凝らしたスポーツe-Bikeの開発競争と、グローバルな市場拡大が目まぐるしいのだ。
軽々と快適なアシスト性能で、より遠くまで難なくライドできるスポーツe-Bikeが、市場にはすでに無数に登場している。それは素晴らしい進化であるのだが、はたして「ピュアスポーツサイクリングに電化駆動が必要なのか?」という根源的な問いの答えが、製品として市場にアンサーをもたらしたことはなかったかもしれない…キャノンデールのNEW「シナプス」の登場までは。
■鍵となる独自のスマートフォンアプリ
キャノンデールを代表するオールラウンドモデル「シナプス」がリニューアルされ、飛躍的な進化を遂げた。キャノンデール独自のスマートな電化性能を“駆動部以外”に惜しみなく付与しながら、それを踏まえてフレーム設計も大幅にアップグレードしているという。
“e-Bike”隆盛時代へのキャノンデール的解答やいかに。まずは目玉となるその性能に注目しよう。
▲仕様変更により、実際の画面表示が異なる場合があります
“鍵”となるのは、キャノンデール独自のスマートフォンアプリ『スマートセンス』だ。
従来型のサイクルコンピュータ的なアプリはすでに無数に存在するが、シナプスとスマートセンスのようにプロダクトに特化してライド情報を統合管理するアプリというのは初見で、プロダクトとアプリケーションの統合運用というのは、自転車の業界では珍しい。Iotの総本山アメリカに拠を置くキャノンデールならではの着眼といえる。
■スマートセンスの特筆すべき4つのキモ
サイクルコンピュータとしての一般的基本機能をひと通り備えるスマートセンスだが、特筆に値する“キモ”は4つある。
【スマートセンスのキモ…1】車体とのシームレスな関係
▲仕様変更により、実際の画面表示が異なる場合があります
ホイールを回すだけでスマホと車体がシームレスにコネクトし、各種オペレーションがスムーズに行えるのは、メーカー純正ならではだろう。
【スマートセンスのキモ…2】細やかなライティング管理
スマートなライトシステムを標準装備。スマートセンスを介してフロントとリアのライティングを管理できる。夜間や悪天候など、ライドの状況に応じて細やかに設定可能。
【スマートセンスのキモ…3】高感度トラフィックレーダー
サドル下に標準装備された高感度レーダーで後方から迫る車両情報をリアルタイムでスマホに表示し安全管理をサポート。ライダーはライドに集中することができる。
【スマートセンスのキモ…4】大容量コンパクトなスマート車載バッテリー
フレームとの重心バランスも計算された一体型専用バッテリーで、ライトやレーダーなど一括給電。バッテリーパックは軽量かつ大容量で、複数携行でも重量負荷が少ない。
■新しいカタチを提示した初めてのモデル
各種アクセサリーのIot化が進みつつあるスポーツサイクリングシーンだが、レーダーやライト、アプリなどの製品は、それぞれ単体での運用が常だった。統合運用できるような製品は少なく、まして車体そのものとシームレスに連携する製品は皆無に等しい。
キャノンデールのスマートセンスシステムの特筆すべき点は、その統合力にあるといえる。スマートフォン携行でのライドが当たり前となったサイクリングシーンにおいて、各種情報管理と、それを支える給電システムの統合こそ課題であったことを考えると、スマートセンスはその先鞭となる新しいシステムといえるのだ。
多様化するライド情報をいかにシンプル&スマートに扱うかという点で、このキャノンデールのNEWシナプスとスマートセンスの関係は、モダンサイクリングの新しいカタチを提示した初めてのモデルといっても過言はないだろう。
▲キャノンデールのアイコン、片軸サスペンションフォーク”レフティー”を採用した最新モデルTOPSTONE
駆動部以外の電化/スマート化を先鋭させることで、かえってサイクリングの純粋さと自由度を高めるという逆転の発想法は、第一線でプロサイクルスポーツシーンに貢献しながら、他方で“レフティー”に代表される実験精神に溢れた製品開発をも諦めないキャノンデールの懐の深さに由来するかもしれない。
そういう意味で、e-Bike全盛期のシーンに一石を投じる、“アンチe-Bike的アンサー”、それがNEWシナプスとスマートセンスなのかもしれない。
もちろんハードウエアとしてのフレームの進化も著しい。
まずアメリカらしさが目にも楽しい玉虫色のスペシャルカラーラインナップが目を引く。新設計カーボンフレームは、軽さと堅牢性を併せ持ち、特に長時間長距離ライドにその実力を発揮する。適度なしなやかさとゆとりあるジオメトリーは疲労を軽減し、どこまでも遠く心地よく体を運んでくれる。
昨今のウルトラロングディスタンス(超長距離)や、グラベルなどのアドベンチャーライドムーブメントをも踏まえ、35cまで対応する広いタイヤクリアランス、ディスクブレーキ、電動シフト標準対応、各種マウント&アイレット装備などで、デイリーユースからアドベンチャーまで遊びの拡張性高めている。
しつこいようだが、このモデルはいわゆるe-Bikeではなく駆動アシストはない。しかし、高次にIot&スマート化が探求された車体とシステムが、ピュアスポーツライドをアシストする、昨今では稀有なモデルに結実 している。
モダンサイクリストの最新型“バディ(相棒)”となること請け合いだ。
<SPECIFICATIONS>
☆キャノンデール シナプス カーボン 2LR
フレーム:シナプスカーボン(スマートセンス仕様)12x142mm スルーアクスル仕様
ボトムブラケット:BSA
フォーク:シナプスカーボン、12x100mm スルーアクスル仕様
ヘッドセット:1-1/4"-1-1/8"インテグレーテッド
タイヤサイズ:30cまで対応
ホイールサイズ:700c
サイズ:48、51、54
価格:48万9500円(2022年モデル)
>>キャノンデール
写真・文/下城英悟
下城英悟|写真、映像ディレクション、編集執筆などを生業とする職域なきコンテンツ制作活動家。自転車文化の取材活動をライフワークとし、国内外サイクルツーリングをテーマとした寄稿多数。
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/448105/
- Source:&GP
- Author:&GP
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