持続可能な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(宇宙ごみ)除去を含む軌道上サービスに取り組む株式会社アストロスケールホールディングス(以下、アストロスケール)の100%英国子会社であるAstroscale Ltd. (以下、アストロスケール英国)は1480万ユーロの資金を受け取りました。
今後は資金を、軌道上ミッションで役目を終えた複数の人工衛星を除去する衛星「ELSA-M(エルサ・エム)」の技術革新にあてるといいます。
衛星が稼働する上で問題となっている宇宙ごみ
人工衛星は、天気予報、災害監視、GPS、銀行システム、ブロードバンド(高速・大容量のデータ通信ができるネットワークサービス)などのサービスに利用されています。
そんな人工衛星を稼働する上で問題となっているのが、宇宙開発の進展に伴い年々増加しているというスペースデブリ(宇宙ごみ:以下、デブリ)。デブリは、人工衛星が稼働する宇宙の軌道上に存在する、役目を終えた人工衛星やロケットなどのことです。
軌道上を周回するデブリは、サイズの小さなものでも巨大な運動エネルギーを持つため、衝突によって人工衛星や宇宙ステーションなどに壊滅的な被害をもたらす可能性があるとのこと。
こうした課題を受けて、アストロスケールは「ELSA-M」を開発しました。
衛星を安全に捕獲・除去する「ELSA-M」
ELSA-Mは、地球低軌道で役目を終えた複数の人工衛星を捕獲・除去する衛星です。
受動安全軌道の確保、複数工程での安全制御権、受動および能動でのアボート処理、高性能な地上局でのシミュレーション・運用者トレーニング、認証・暗号化によるネットワークの安全なサービスといった、クライアントの安全を確保するようなランデブ(接近)技術を採用。
化学系・電気系推進力の両方を備えており、正確なドッキング操作や効率的な軌道変更を実現します。また、故障した人工衛星に多くみられる「回転状態」での捕獲といった、宇宙での高度なランデブとドッキングが可能です。
2024年末にELSA-Mの軌道上実証を予定
今回の資金は、宇宙開発・研究をおこなう欧州宇宙機関(ESA)と、衛星通信サービスを提供するOneWeb Ltd.の官民連携による「Sunrise(サンライズ)」プログラムを通じて提供されました。
アストロスケール英国は今後、同資金を活用してELSA-Mの設計を完了させ、組み立て前まで製造を進めるといいます。
なお、同社はELSA-Mの軌道上実証の実施を2024年末に計画しており、その後は衛星運用者に向けてデブリ除去サービスの提供を開始する予定です。
(文・Haruka Isobe)
- Original:https://techable.jp/archives/179684
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:はるか礒部
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