“ながら聞き”の新時代到来!? 「Oladanceウェアラブルステレオ」の音質や音漏れをチェック!

<イヤホンレビュー>

ポータブルオーディオで、最近トレンド急上昇中のキーワードが“ながら聞き”。言葉自体は骨伝導デバイスやAirPod Proなどからチラホラ話題になっていたのですが、いまあらためて火を付けたデバイスが7月29日までMakuakeで先行販売中の「Oladanceウェアラブルステレオ」です。

骨伝導でも完全ワイヤレスイヤホンでもない“次世代型オープンイヤー”という位置付け。イヤホンではないから耳を塞がないのですが、じゃあ音質はどうなの? 周囲の音はどれくらい聞こえる? 音漏れはどれくらいする? というのが気になるポイント。実機でレビューしていきます。

 

■この音って…なんだかBOSEっぽくない?

「Oladanceウェアラブルステレオ」は、2019年に香港で設立されたDancing Technology(ダンシングテクノロジー)というベンチャーの製品です。デザインは左右独立している完全ワイヤレスイヤホンに近く、スマホなどとBluetoothで接続して音楽を聞くデバイスになります。

16.5mmの超大型ダイナミックドライバーを採用しているというのが売り文句ですが、その前に紹介したいのは音の出どころ。

▲先端のドライバーユニットから音を放出

フック状で、耳の上側に引っ掛けるような形で耳をカバーしていてるのですが、そこから耳穴に向けて音を放出。イヤホンではないから密閉はしないけど、ピンポイントに耳に音が届く発想です。そしてこのフック型と呼びたくなる形状がスゴくいい。

▲耳に挟み込むようにセット。片手でも装着できます

耳側がドライバーユニット内蔵部、逆側は耳の後ろになります。フック部は柔らかく、耳にかけても全くストレスがないし、掛けること自体も簡単。

▲フック部分はシリコンで柔らかい所がポイント

またスポーティな見た目でもあり、スポーツなど体が激しく動くシーンでも問題なし。

▲装着して軽く運動してみても若干のズレる程度

▲水濡れもバッチリ。装着時なら意外と耳に水が入りません

そしてスポーツには汗や水濡れはつきものですが、水を被ってみても全く問題なし。ちなみに防水仕様はIPX4で水濡れまでの対応なので、水洗いや水没テストはやめておきました。

▲「Oladance」アプリからタッチ操作などをカスタマイズ可能

耳側の表面はタッチセンサー仕様になっていて、再生・停止などの操作、またスライドで音量操作も可能。「Oladance」というアプリで操作性やイコライザ等によるカスタマイズもできます。

▲標準状態の付属ケースはバッテリー非内蔵。ただし充電時にはこのケースを使います

完全ワイヤレスイヤホンと違うところは、Makuakeスペシャルで購入すると標準状態では付属ケースが充電対応ケースではないこと。1万5480円で購入できるコースでもケースはあるのですが、充電時に使うのと持ち運びのみ。ただし本体のみで約16時間も再生できるので必要十分。充電ケース付きの長時間セット(1万9480円)も用意されていて、そちらを使うと94.4時間再生という驚きの数字になりますが、ここは予算次第ですね。

▲BTS「Dynamite」を聞くとリッチな重低音がとても気持ちいい

そして気になるサウンドですが、BTS「Dynamite」を聴いてみると、あまりに衝撃的。耳の周りで大型スピーカーの豊かな重低音が鳴っていて、それに挟み込まれているような感覚。宇多田ヒカル「あなた」も声が適度に柔らかく空間のなかでに浮かぶイメージ。Hi-Fiオーディオの音じゃないけど、開放感があってすんごく気持ちのいい音。この音、例えるならBOSEのスピーカーの音。Oladanceの開発者ってBOSE出身らしいので、納得しちゃうところですが…。

▲映画やアニメの動画鑑賞も空間の抜けが良く相性抜群

もうひとつ追加しておくと、動画を視聴した時の聞こえ方がいいんです。音の聞こえる位置がイヤホンより遠いので空間が広がるし移動感も出る。人の声も若干柔らかめに聞こえていてキツさがなくて、動画の相性は抜群。

▲“音漏れしてそうかな”と自分で思うくらいでも意外と音漏れせず

こちらも気になる、“周囲の音がどれくらい聞こえるか”ですが、無音なら耳を塞がないので完全に聞こえます。あとは音量と周囲の音の聞こえ方のバランスですが、動画や音楽リスニングで欲しい3、4段目は音楽を流したまま会話できるくらい。iPhoneは音量刻みが粗いこともあってBGM的なリスニングなら最初の1段でも十分かな。

“音漏れ”も、予想外に小さいことが分かりました。屋外でテストするとiPhoneの音量で下から3段目までは近くでも気づかない結果。4段目まで行くと音楽が鳴っていることが分かるかなという程度。最初の1、2段だけでも音楽は十分聞けるので、自分だけ音楽をノリノリに聴いていても、周囲の人には気づかれない不思議な感覚です。

最後に通話性能について。

▲ビデオ会議用にもアリ。周囲の音が聞こえる安心感がスゴイ

MacとペアリングしてZoomでテストしてみると…ノイズキャンセル対応を謳っていますが正直通話音質はソコソコ。声の情報量は足りないけど、ビデオ会議では必要十分。周囲の音も意外と拾っていると思います。でも、ビデオ会議用デバイスって“ながら聞き”の便利さが欲しいかったりするので、そういう意味では「Oladanceウェアラブルステレオ」は積極的に使ってもいいのではないでしょうか。

*  *  *

“ながら聞き”って完全ワイヤレスイヤホンや骨伝導などさまざまデバイスが入り乱れる激戦区なんですが、「Oladanceウェアラブルステレオ」の出来はかなりいいと思います。周囲の音が完璧に聞こえるし、音漏れも予想以上に小さい。そして重低音のしっかり聴いた音というのも、この手の形状のデバイスでは他はないサウンドですよ。

 

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長

 

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