富士通株式会社は、一般的なミリ波センサーで取得する粒度の粗い点群データから人の姿勢を高精度に推定できる新技術を開発しました。
病院や介護施設で活用されているミリ波センサー
病院や介護施設では、患者や高齢者の見守り業務において、担当者の負担軽減やプライバシー保護を目的にセンサーを活用するケースが増えているといいます。特にミリ波センサーは、個人を特定する情報の取得リスクが低いうえに安価なことから、注目されているようです。
しかし、一般的なミリ波センサーは取得できる点群データの粒度が粗いとか。これでは、高精度な姿勢検知や転倒などの前後の詳細な行動分析が難しいといいます。
粒度の粗い点群データからでも姿勢推定が可能に
そこで同社は、粒度の粗い点群データからでも人の姿勢を高精度に推定できる新技術を開発。
開発のポイントのひとつは、対象者の一連の動作をとらえた点群データの時系列情報を融合処理し、姿勢推定に必要な粒度が細かい点群データへの拡張を可能にしたことでしょう。
これは、複数回電波を照射して取得した大量の点群データから姿勢推定に適した点群データを選定し、粒度が細かい点群データへの拡張を可能する“点群データ拡張技術”の開発による成果です。
そして、その粒度が細かい点群データと人の関節点の3次元座標情報(行動データ)を対応させた大規模データセットを構築。そこから、高精度な姿勢推定AIモデルを開発しました。
転倒時などの前後の状況も分析可能に
この姿勢推定AIモデルは、一瞬の姿勢を高精度に推定できますが、「今、転倒している」という推定にとどまるよう。
そこで、富士通は独自のAI「行動分析技術 Actlyzer(以下、アクトライザー)」と連携。これにより、転倒時などの前後の状況を含む詳細な分析が可能になるといいます。
アクトライザーは、人の複雑な行動を認識するAI技術。映像に映る人の行動や年齢・性別といった特徴をセンシングしたり、人と周囲の環境(ほかの人やモノ)との関係性をセンシングしたり、センシングされた情報と人文社会学の知見を融合して次の行動を予測したりできます。
アクトライザーの技術はすでに確立され、AI画像解析ソリューション「FUJITSU Technical Computing Solution GREENAGES Citywide Surveillance」の行動検知として商品化されているようです。
(文・Higuchi)
- Original:https://techable.jp/archives/181859
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口
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