株式会社ヤマップは、電波が届かない山中でもスマートフォンのGPSで現在地と登山ルートがわかるアプリ「YAMAP」を提供しています。
このたび同社と岩手県警察は、スマートフォンで完結する“登山届”と捜索隊員の二次災害を防止する“捜索隊員トラッキングシステム”に関して協定を締結しました。
アプリから正式な登山届を提出可能に
登山届は、遭難時の救助活動において重要な情報。しかし、登山口のポストに提出したり郵送で警察へ提出したりと“面倒”なフローがネックとなり、その提出率は高くないといいます。また、低山ではそもそも登山届ポストがないことや、「低山だから大丈夫」という気持ちも提出率の低さにつながっているようです。
「YAMAP」には、登山計画を作成する機能があり、“YAMAPに登山計画を提出する”というボタンを押すと家族など(緊急連絡先)に共有することもできます。
今回の協定により、YAMAPに登山計画を提出すると岩手県警察へも正式な登山届として提出できるようになりました。登山届提出の手間を省くことで、提出率の向上を目指すとのことです。
隊員の位置を可視化し、危機を察知
遭難救助の際、険しい岩場などで活動する隊員は二次災害の危険を伴うケースが多いといいます。
そこでヤマップはこのたび、オフラインでも位置情報がわかる仕組みを活用した“捜索隊員トラッキングシステム”を岩手県警察に提供しました。
同システムにより、救助隊員の位置を捜索本部で一元管理できます。たとえば“登山ルートを外れ、一定時間動いていない人”をいち早く発見し、近くの隊員が救助に向かうといったことができるようです。
悪循環をテクノロジーで断ち切る
警察庁によると、2021年の全国の山岳遭難者は3年ぶりに3000人を超えたといいます。岩手県でも、2021年は2年ぶりに50人を超えるなど増加傾向にあるようです。そのなかで注目すべき課題のひとつは、やはり登山届の提出率の低さだといいます。
遭難者の増加により救助活動も増え、登山届がないために難航した結果、隊員への二次災害リスクも大きくなるといった悪循環が起こるのでしょう。
こういった悪循環を登山届提出率向上と隊員トラッキングで解決しようというのが今回の協定の狙いだと思われます。
同社はこれまで、群馬県警・神奈川県警などと登山届に関する協定を結び、愛知県や大阪・河内長野消防本部などへ捜索隊員トラッキングシステムを提供してきましたが、登山届およびトラッキングシステムの協定を同時に締結したのは初めてのことです。
(文・Higuchi)
- Original:https://techable.jp/archives/182815
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口
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