世の中、どんどんクルマの電動化が進行中。北米のクルマ事情って、ファッションや音楽ほど知られていない気もしますが、たとえばゼネラルモーターズ(GM)は、しっかりと電動化へ舵を切っているようです。
傘下のプレミアムブランド、キャデラックも電動化路線を走り始めました。新開発の電動プラットフォーム「アルティウム」を使ったプレミアムSUV「リリック」を2022年5月にローンチ。私も、7月下旬に北米で乗るチャンスに恵まれました。
リリックは、現在、2022イヤーモデルとしてリアモーターで後輪駆動の「RWD」が販売されていて、来年、モーターを前にも載せた全輪駆動「AWD」が追加されるといいます。
■予想以上に洗練されていて意外なほど速い
私が乗ったのは、RWDモデル。かんたんに感想を書くと、予想以上に洗練されていて、意外なほど速くて、そしてこれまでのキャデラック車に比肩するほど快適、となります。ようするに、出来がいいなあと思いました。
側面から見ると、ファストバックスタイルといって、大きなガラスを埋め込んだテールゲートがリアエンドまで続き、独立したトランクはありません。エクステリアを担当したデザイナーにいわせると「プロポーション(タイヤとボディの均整)をなにより大事にデザインしました」とのことです。
バッテリーは100kWhもあって、航続距離は480kmを超えるそう。モーターはたとえ1基でも、最高出力255kW(340馬力)、最大トルク440Nmなので、期待以上にパワー感があります。
私がリリックに乗ったのは、米ミシガン州ミルフォード(デトロイト近く)にあるテストコース。そこにはシボレー・コーベットなどスポーツモデルも用意してありました。リリックは、コーベットに追いすがって、楽々走れてしまいます。
「これからキャデラックでは、EVを発売していくことで、ラグジュアリーカーの定義を新たにしていきます」。キャデラックはリリックのローンチのときのプレスリリースで述べています。
全長5mになんなんとするファストバック(トランクのでっぱりがほとんどないスタイル)で、ホイールベースも3094mmもあります。
後席も広々としていて、快適。室内はノイズキャンセリングシステムも作動して、走行中の静粛性の高さも特筆もの。かたちはSUVとはいえ、新しい世代のラグジュアリーカーといってもいいかもしれません。
▲オーディオシステムはAKGブランド
私が感心したのは、つまり、マーケットで完全に立ち位置を確保できたとはいいにくいピュアEVというあり方と大胆なスタイリングで、これからの高級車像をつくりあげていこうというキャデラックの意気込みなのです。
先に触れた全輪駆動仕様は、なんでも合計出力が500馬力を超えるとか。アウディやポルシェやBMWやメルセデス・ベンツ、それに日産などの先達を前にして、キャデラックの充溢した気概のようなものを感じさせるではないですか。
▲写真では見えにくいがシフターは右のコラムに設置
おもしろかったのは、ライティングです。システムを起動させると、フロントグリルの代わりに設けられた「ブラッククリスタルシールド」という大きなパネル上で、LEDの照明が劇的に灯ります。インテリアでも同様です。「ひとつのショーのようでしょう」とインテリア担当のデザイナーが語っていました。そのとおりです。
日本への導入時期は「2023年を考えています」と、キャデラックを扱うゼネラルモーターズジャパン。価格は未定だそうです。
北米の参考価格は、RWDモデルが6万2990ドル、AWDモデルが6万4990ドルから。日本にはAWD(全輪駆動)モデル中心になるという説も。楽しみに待とうではないですか。
▲薄いLEDを使ったライティングの演出が斬新
▲荷室はリアシートを立てた状態で793リッターと広い
▲インフォテイメントシステムのコントローラーには新デザインの「キャデラック・クレスト」
<SPECIFICATIONS>
☆Cadillac Lyriq RWD
全長×全幅×全高:4996x1977x1623mm
ホイールベース:3094mm
エンジン:電気モーター×1 後輪駆動
バッテリー容量:100kWh
最高出力:255kW
最大トルク:440Nm
航続距離:482.8km
日本での販売価格:未定
<文/小川フミオ>
オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/468019/
- Source:&GP
- Author:&GP
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