公取委、スマホ「一括1円」が独禁法違反の可能性として緊急調査

公正取引委員会 キャリア4社 ロゴ
 
公正取引委員会は8月9日、iPhoneなどスマートフォンの「一括1円」などの極端な値引き販売が、独占禁止法違反(不当廉売)に該当する可能性があるとして、携帯キャリア4社や代理店などに呈して緊急調査を実施すると発表しました。

健全な競争を阻害する「不当廉売」に該当の可能性

公正取引委員会は、スマートフォンが「一括1円」など極端な値引き販売をされている状況が独占禁止法で禁止している「不当廉売」に該当する可能性があるとして、調査を実施すると発表しました。
 
不当廉売はダンピングとも呼ばれます。原価を下回るような過度な安売りによって健全な市場競争が阻害されることで寡占につながり、結果として消費者の利益を損なう、として独占禁止法で禁止されています。
 
公取委は調査によって、販売代理店における状況や、1円販売を可能としている取引構造、流通実態を明らかにする計画です。
 
調査は、携帯キャリア4社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイル)と販売代理店に対する書面調査と、MVNOや中古端末販売業者などへのヒアリング調査で実施予定です。

極端な安売りの原因はキャリアのノルマとの指摘も

通常価格が10万円程度の現行モデルiPhoneが「一括1円」など極端な価格で販売される原因には、各キャリアから販売代理店に、MNP契約獲得に対する過度なノルマがあると指摘されています。
 
「一括1円」で安売りされたiPhoneが転売されて中古市場が活性化している一方、本来必要なユーザーの手に渡っていない問題があり、総務省の有識者会議も各キャリアに対策を求めています
 
NTTドコモは外箱に購入者の氏名を書かせるという対策に乗り出しているものの、外箱に氏名の入ったiPhoneが「メルカリ」などのフリマアプリで数多く売買されているのが実態です。

「2年縛り」やSIMロック、公取委の指摘で廃止に

公取委は、携帯電話市場の競争促進を目的として販売実態の調査を実施しており、今回が4回目となります。
 
2016年には、期間を定めた契約を条件として端末代金を割り引く「2年縛り」や、端末を購入したキャリア以外での使用を制限する「SIMロック」について問題点を指摘し各キャリアに改善を要求しました。2018年には改善が不十分として重ねて対応を迫り、廃止につながっています。
 
2021年6月に公開した報告書では、携帯キャリアが販売代理店を評価する指標の見直しなどを求めていました。
 
 
Source:公正取引委員会 via 毎日新聞, 朝日新聞
(hato)


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