昨今は、新型コロナウイルス感染症と戦う最前線の医療現場において、感染予防の観点からロボットをはじめとする非接触サービスの導入が求められているといいます。
そんななか、藤田医科大学(以下、藤田医大)、川崎重工業株式会社(以下、川崎重工)、SEQSENSE株式会社(以下、SEQSENSE)は、「屋内配送向けサービスロボット」を用いた実証実験を実施。
2022年8月8日(月)~9日(火)にかけて、愛知県の藤田医科大学病院にておこないました。
なお、実証実験は2021年10月のフェーズ1、2022年2月のフェーズ2に続き今回で3回目となります。
安全な自律走行を実現
今回の実験では、スタッフステーションから検査室までの検体搬送業務に必要な機能や現場での運用方法について検証しました。
実験で活用されたのは、川崎重工とSEQSENSEが共同開発した「屋内配送向けサービスロボット」。同ロボットは、これまでの実証実験で抽出されたニーズを反映した設計となっています。
たとえば「患者や医療機器など多くの人やモノが行き交う病院環境下で稼働できる、スリムな形であること」「多くの荷物を積めるようにしたい」などのニーズを反映しているようです。
また、SEQSENSEの「3D LiDARシステム(自己位置推定と3Dマップ作成をおこなうシステム)」と自律走行制御技術を機体に導入することで、広範な空間認識とこれに伴う障害物などの検知能力を向上。
高い自律走行性能を実現し、日中の混雑した病院内での搬送業務を確実におこないます。
人とロボットが共存する医療環境の構築へ
藤田医科大学病院では、これまでにもロボットを活用した実証実験を実施しています。
2021年10月には、自律走行機能を有したロボットによる同一フロア内搬送の検証と、別フロア移動の検証(人によるエレベータ操作補助あり)をおこないました。
2022年2月には、自律走行機能・エレベータ連携機能を有したアーム付きロボットを活用し、検査室からスタッフステーションまでの検体搬送業務の代替や、スタッフが少ない夜間病棟の見回りを実施。
加えて、カメラ機能で患者の状態変化の有無を確認し、異常時にはスタッフステーションにアラームを出すという「見守り機能」を検証しました。
ロボットの本格導入を目指して
3回目となる今回の実験では、病院環境下におけるロボットの安全走行・使い勝手など、最終的な課題を洗い出しました。
最終実験となる12月以降の実証実験では、エレベータ・セキュリティドアなどのインフラとの連携を含んだ本格導入に向けた開発を進める方針です。
藤田医大、川崎重工、SEQSENSEは、今後も医療現場における労働力不足の解消や医療従事者の負担軽減に寄与し、より質の高い医療を提供できる環境の整備に向けた取り組みを進めるといいます。
(文・Haruka Isobe)
- Original:https://techable.jp/archives/184043
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:はるか礒部
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