オーテクのレコードプレーヤーでワイヤレス再生&アナログ音源をデジタル化!

近年、日本でもブームが続くアナログレコード。ブーム再燃はゼロ年代から欧米先行で進んでいましたが、そんな海外で人気を博し全世界で累計100万台を販売したオーディオテクニカLP120シリーズの最新レコードプレーヤー「AT-LP120XBT-USB」が、同社公式オンラインストア限定でついに日本でも発売されます。

▲公式オンラインストアの価格は4万6200円

「AT-LP120XBT-USB」という型番が示すとおり「BT」つまりBluetoothのワイヤレス接続対応。そしてUSBでPC接続可能な仕様になっています。

ここまでは業界内では珍しくないのですが、Bluetooth接続はaptX Adaptiveコーデック対応という、最新スマホもビックリの高音質仕様なんです。そんな最新レコードプレーヤーを全方位チェックしていきます。

 

■Bluetoothならワイヤレス接続も簡単

再生前にまずは基本仕様を確認。ターンテーブルはDJプレイも可能なダイレクトドライブ方式。オーディオテクニカ製のVMカートリッジ「AT-VM95E」も同梱するオールインワンパッケージになっています。レコードは33.3回転、45回転に加えて78回転にも対応します。

▲BOSEのBluetoothスピーカーとヤマハの完全ワイヤレスイヤホンを用意

そして最大の特長が、Bluetoothによるワイヤレス接続対応であるということ。つまりBluetoothスピーカーやイヤホン・ヘッドホンに直接飛ばせるというわけです。

さっそくトーンアーム近くにあるBluetoothコネクトボタンを長押しすると、Bluetoothスピーカー「Bose SoundLink Flex」とペアリングに成功。アンプのフォノイコが…というようなレコード特有の難しさをすっ飛ばせるので、むしろワイヤレスの方が接続は簡単。もちろん、別途システムがある方はアナログ接続も可能です

▲LINE/PHONOを切り替え可能なアナログ出力も搭載

そして、手持ちから定番であるノラ・ジョーンズのデビューアルバム『Come Away with Me』のアナログ盤をチョイス。回転数33回転のLPレコード版なので、回転数を33回転と確認。

▲回転数を確認して…

あとはレコードの回転をスタートして再生開始…と思いきや、重要なことを忘れていました。このモデル、トーンアームが自動的に再生位置まで移動するオートプレイ対応ではありません。

▲自分でトーンアームをレコードの位置まで動かします

気を取り直して自分でトーンアームを操作し、レバーを下ろして再生スタート。僕はオートプレイ対応のレコードプレーヤーに慣れきっていて、レコード外周の位置にトーンアームを自分で動かして再生スタートするのは結構ドキドキだったりします。

▲予想外にアナログ感を出してくれた「Bose SoundLink Flex」

やはり気になるのは音楽リスニングとしての音質です。レコード再生と言いつつスピーカーはBOSEのBluetoothスピーカーを使っているわけですが…ノラ・ジョーンズの代表曲『Come Away with Me』が流れてきた瞬間からもう、これはアリ。癒される歌声にアナログ特有のブチブチと途切れるようなノイズが加わり、完全にアナログなノラ・ジョーンズ。最高音質ではなく味のあるサウンドこそレコードの良さでしょ。

▲BluetoothのaptX Adaptiveコーデック対応のヤマハ「TW-E7B」とも接続

そして、aptX Adaptiveコーデック対応でチョイスした完全ワイヤレスイヤホン、ヤマハ「TW-E7B」とも接続成功。こちらもじっくり聴きこんで見ると、デジタルほどサウンドフィールドの明瞭さや立体感は出ないのですが、やっぱりブチブチする音の味がたまらない。しかもワイヤレスイヤホンに接続していると、聴きながらレコードプレーヤーから離れわれるわけで、思わずA面全部聴ききってしまいました。ただ、オートプレイではないので、最後まで聞いたらレコードを裏返す必要があるのがお約束。でも、この面倒さがレコードで音楽を聴く上で大切な行為なんですよね…。

▲DJプレイで遊べる!

ちなみにダイレクトドライブ方式なので、盤面に触れてレコードを逆回転させたりスクラッチしたりといったDJプレイも可能。これもアナログだからできる遊びなんだよなーとあらためて思ったりもします。

▲PCとUSB接続してレコードのデジタル化も可能

そしてもうひとつの現代的な機能がUSB録音機能。レコードプレーヤーの背面にUSB-B端子が付いていて、USBケーブルも同梱。PC/Macに接続すると録音デバイスとして認識します。録音ソフトは付属していませんが、公式にはフリーソフトの「Audacity」を推奨とのこと。

実際に録音、そして再生もしてみたのですが、Bluetoothスピーカーやワイヤレスイヤホンで聴くのと全く同じく、アナログの質感のままデジタル化。PCに取り込めばデジタル音源化できるわけで、個人利用の範囲内でならスマホ等に転送して再生も可能。ただ本来の目的では、サブスク等に存在しない手持ちのレコード資産をデジタル化するというところなんじゃないかなと思っています。

*  *  *

オーディオテクニカのワイヤレスターンテーブル「AT-LP120XBT-USB」の機能をひと通り試してみたのですが、いまアナログ・レコードの再生に求められる機能を全方位に搭載したモデルだなとあらためて感じました。アナログレコードを再生する愉しみって、レコードを手で触れてセットする、回転するレコードを眺める、そんな体験そのものかなと思っています。でも結局、使っているうちにBluetoothやUSBといったデジタル系の機能も欲しくなる可能性大。と考えると、アナログレコードに初めて触れるような人が、最初から「AT-LP120XBT-USB」を選んでおくのってアリなんじゃないかな、なんて思いますね。

>> オーディオテクニカ「AT-LP120XBT-USB」

 

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長

 

【関連記事】

◆JBL伝統のスタジオモニターに最先端技術を集結!ワイヤレス再生もバッチリです
◆約2年ぶりの最上位モデル!ゼンハイザーの理想とする高音質を実現する「MOMENTUM True Wireless 3」
◆まさに静寂!ソニーのノイキャン最強ヘッドホンがさらに進化!


Amazonベストセラー

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA