完成したティラノサウルスとトリケラトプスでポージングを考える【達人のプラモ術<恐竜骨格模型>】

【達人のプラモ術】
バンダイスピリッツ
1/32 ティラノサウルス&トリケラトプス
02/04

本格的な恐竜骨格プラモ製作の第2回は、同シリーズの最新キットとなるトリケラトプスを製作します。

ところで最も人気の高い恐竜といえば、やっぱりティラノサウルスなのでしょうか? いやいやステゴサウルスだよ! という声もあれば、体長が25メートルを超えるブラキオサウルスが一番カッコいいという声もありますね。個人的には、ちょっとマニアックな史上最大の翼竜ケツァルコアトルスだと思っていますが…何はともあれ今回の主役はトリケラトプスであります!(全4回の2回目/1回目はこちら

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!「@Modelart_MOVIE」も配信中。

 

■トリケラトプスについて

トリケラトプスといえば、ティラノサウルやブラキオサウルスと並んで、恐竜に興味がない人でもその姿を思い浮かべることができるメジャーな存在で、成体は体長9m、体重12t、頭部に大きな3本の角を持ち、頭の後ろに大きく広がった骨質のフリルを持っているのが特徴の植物食恐竜です。ネット検索をかけたら、オモチャやぬいぐるみ、絵本や切手、アニメ等がずらりと出てくることからも人気があるのが分かります。当然ながら映画『ジュラシックパーク』シリーズにも登場しています。

そして図鑑などで肉食恐竜のティラノサウルスとトリケラトプスの格闘が多く描かれていたことも人気の要因だと思います。実際、トリケラトプスの化石の複数にティラノサウルスによる噛み跡が残されており、また噛まれて折れた角がその後治癒した痕跡が確認されている等、ティラノサウルスが積極的にトリケラトプスを捕食しようとしていた証拠とされています。

昨年パシフィコ横浜で開催された「DinoScience恐竜科学博 ララミディア大陸の恐竜物語」ではほぼ完全体のトリケラトプスの実物化石を見ましたが。その大きさと姿には圧倒されました。

▲昨年夏にパシフィコ横浜で開催された『恐竜科学博 ララミディア大陸の恐竜物語』で展示されたトリケラトプスの実物化石

 

■キットに関して

前回製作したティラノサウルスと同じく、“化石”という太古の記憶から“生”を想像するをテーマに、骨格標本の組み立てを疑似体験しながら、躍動感あるポージングのトリケラトプスを完成させていきます。

完成すると全長約23cmになるキットの組み立ては頭部→胴体→前脚→後脚の順番でサクサクと進められます。接着剤使わないスナップキットですが、今回も完成後のポージングを変更するため、各パーツを接着固定しています。

切断面が目立たないゲートや、パーツの接合面がほとんど表に出ない分割でありながら、組み立てやすさが最大限考慮されているところに、バンダイの本気を感じさせてくれます。前回のティラノサウルスと同様で、プラモ製作の経験が少ない人でも2時間もあれば完成させることができるでしょう。

ちなみに、発掘されているトリケラトプスの化石は2種類に分類されており、古い地層から産出した『トリケラトプス・ホリドゥス』と、同じ白亜紀でも新しい地層から産出した『トリケラトプス・プロルスス』が存在していて、今回のキットでは古い『トリケラトプス・ホリドゥス』を元にキット化しているそうです。いや~マニアックですなぁ。

▲パーツは4枚のランナーで構成されており、頭部や胴体、脚がそれぞれまとめられているので、とても組みやすい。これに専用の展示ベースが付属。組み立て説明図、そして『現在古生物恐竜論』が付属する

▲特徴的なフリルを持つ頭部を製作

▲フリルは疲労骨折によるひび割れや血管が通っていた痕まで繊細にモールドされており、デンタルバッテリーと呼ばれる不規則に並び400~800本ほどあるという細かい歯の集まりも精密に再現されている

▲パーツの合わせ目は極力目立たないように工夫されている

▲肋骨は背骨に16パーツを組み合わせて再現。取り付け位置を間違えないようにそれぞれのパーツの目立たない位置に番号が刻印されている

▲ティラノサウルスでは固定だった頭部はボールジョイントで背骨とつながる

▲ある程度だが首を動かせる

 

■やってしまいました…

前脚を組む際に、組み立て説明図に“ここはカットしたらイカンよ”と注意喚起されているにもかかわらず、胴体との差し込み部分をカットしてしまいました。

ちゃんと説明書は読まないとイカンです(反省)。そのままでは前脚の取り付けができず、接着のみでは強度が保持できないので、胴体側に0.7ミリの金属線を埋め込んで、前脚をしっかり保持できるように補修しました。いやいや、ちゃんと説明書は読まないとイカンですよ(反省)。

ちなみに本キットは、パーツを不用意にランナーから切り離してしまうと取り付け位置が分からなくなりやすいので要注意なのですが、似た形状のパーツを組み合わせていく肋骨は見えない部分に刻印があり、取り付け位置を間違えないよう配慮されています。バンダイありがとう!

▲前脚を胴体に取り付ける凸部分をカットしてしまった

▲組み立て説明書でも切らないように注意されている

▲補修工作として胴体側の前脚の取り付け部位にピンバイスで穴を開けて金属線を埋め込み、前足の取り付け基部を補強

▲本来やらなくて良い工作…

▲組み上げた後脚

▲組み上げた頭部、胴体、脚を合体させれば

▲トリケラトプスが完成!

▲前回製作したティラノサウルスと比較すると、やや小ぶりではあるが低く身構えた体と3本の角が迫力満点だ

 

■対決ポーズを考える

組み立てが完了したトリケラトプスを前回製作したティラノサウルスと組み合わせて、対決シーン再現のためのポーズを考えます。

ティラノサウルスのキットは獲物に飛び掛からんとする跳躍ポーズを再現しているため、後脚がぐっと折り曲げられているのですが、トリケラトプスと対峙して咆哮しているポーズに変更しています。

工作は後脚の膝関節部分を一度切り離し、金属線を埋めこんで脚を伸ばし、体を起こしたポーズに変更。また頭部の付け根部も金属線を使い、首を横に曲げています。

トリケラトプスはほぼキットのポーズのままですが、首が可動できるので、ティラノサウルスの下に潜り込んで大きな角で突き上げようとしているポーズを取らせることにしました。

▲2匹が威嚇しあう迫力あるシーンを再現するため、いろいろ角度を変えて検討。ティラノサウルスの頭はベストの角度を決めるためにマスキングテープで仮固定している

▲ティラノサウルスは首が固定で動かないので、金属線を埋め込んで横を向けるように変更

▲後脚は膝関節を切り離し、金属線を埋め込んで脚を延ばした状態で固定。体を起こしたポーズに変更している

▲大きく口を開けて襲い掛かろうとするティラノサウルスを、大きな角で柔らかな腹を貫こうと低く身構えるトリケラトプスといったイメージでそれぞれのポーズを決定

 

■白亜紀の対決を再現!

ポーズを変更したティラノサウルスとトリケラトプスを組み合わせてみると、まだ塗装前ですが、ヘビー級恐竜同士の迫力ある対決シーンを再現できました。

これにそれぞれのキットに付属しているベースを組み合わせることでよりリアルな対決シーンジオラマを製作していきます。

▲ポーズを決定したそれぞれにベースを組み合わせた状態

 

■タミヤの恐竜プラモにも注目

前回オーロラの恐竜プラモを紹介しましたが、現在入手しやすさという点ではタミヤの1/35恐竜世界シリーズのプラモがオススメです。こちらは骨格模型ではなく、学説から検証、復元されたリアルな恐竜の姿を再現しています。

ティラノサウスとトリケラトプスをはじめ、ブレキオサウルス、パラサウルロロフス(舌噛みそう)、カスモサウルスがリアルな情景モデルでラインアップ。ベロキラプトル(6体セット)もモデル化されています。

>> タミヤ「1/35 恐竜世界シリーズ」

▲以前制作したタミヤ1/35トリケラトプス情景セット

▲皮膚の質感がリアルに表現されている

▲タミヤ製トリケラトプスは1/35と今回製作したバンダイのキットを並べてみた。バンダイは1/32だが、リアルモデルと骨格モデルを並べて展示しても違和感はない

 

■机の上が白亜紀になりましたww

完成したティラノサウスとトリケラトプスの骨格モデル。このままでも充分リアルですが、さらに約1億4500万年前から6600万年前の白亜紀から蘇った化石らしさを塗装で表現、さらにリアルな展示ベースの製作塗装を進めています!

 

■今週のオマケ

個人的にお気に入りの翼竜ケツァルコアトルスの化石。翼を広げると10メートル以上。なんかバランスがおかしい巨大な頭のサイズと、人間をひと飲みできそうな嘴、いや君は絶滅してくれてよかったよマジで。

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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