加圧式ポータブルシャワーをジャグ代わりに使用!かなりキャンプが快適になりました

【アウトドア銘品図鑑】

ニーモ・イクイップメントといえば、革新的な登山用テントや寝袋、ゆらゆら揺れるチェアなどの傑作を多数輩出しているアメリカ生まれのアウトドアメーカーです。2012年にデビューしたポータブルシャワーも傑作のひとつ。加圧式というニーモらしい独創的なシステムを採用し、本国では数多くの賞を得ています。

炊事設備が整ったキャンプ場利用がデフォルトの日本のキャンプシーンでは、ポータブルシャワーの出番は少なめですが、釣りやカヤック、サーフィンなど水辺の遊びをキャンプに取り入れる場合、あるとないとでは大違い! キャンプサイトでサッと体や道具を水洗いできるんですから。とくに海水は早めに洗い流すのが吉。

では、よくある電動式や重力式のシャワーと加圧式シャワーの違いとは?

ニーモには2つのポータブルシャワーがありますが、2022年日本デビューの大容量モデル「へリオ LX プレッシャーシャワー」(2万900円)で、その使い勝手を見ていきましょう。

 

■重さは持ち運びやすい1kg以下

ペラペラの重力式シャワーに比べるとかさばりますが、「へリオ LX プレッシャーシャワー」の重量は1kg以下。容量20Lのポリタンクが約1kgですから、ホースやポンプも含めて905gというのは、かなり優秀ですね。

▲収納サイズはφ26×16cm、重量905g

メッシュの巾着袋入り。少しゆとりがあるので荷物の隙間に押し込めます。

本体とホース、フットポンプが全てつながっていて、このまま使えます。ふにゃっとしていますが、底から約10cm(グレーのところ)はプレート入りでしっかりしているので、水を入れも本体を支えてくれるというわけ。

▲本体は伸びずにしっかりとしたPUポリエステルで、上部はしなやかなTPU

上部は透明になっていて中の様子をうかがえます。キャップは大きめで水を注ぎやすく、シーズンオフの収納前に腕を入れて水分を拭き取る、なんてこともできます。

ちなみにベルトが付いていますが、満タン時にこのベルトをつかんで持ち運ぶのは頼りない感じ。

▲ホースはネオプレーンチューブで長さ約210cm

底面にはホースとフットポンプが取り付けられていて、水を余すことなく利用できる構造です。

それに、裏側は小さなベルトが付いていて、使用後は吊り下げて乾燥させられます。小さなことですが、これが便利。

フットポンプは両側にキャップが付いています。ロゴが付いていない面のキャップはポンプの空気をしっかり抜くためのもの。

ロゴが付いている面を上にして使う仕様。こちら側のバルブはマットと同じく逆止弁付きなので、フットポンプを使うときは開いておきます。

 

■迫力ボディから出るシャワーはなかなかの水圧

水を入れても、なんだかへにゃっとしていて頼りない。ですが、ポンプで空気を送り込むと、パンパンにふくらんだ迫力ボディに変身です。空気の力で重力式にはない水圧もステキ。

広口キャップで本体がしなやかなので、シンクに置いて水を注ぐ際にストレスがありません。特に蛇口の背がそれほど高くないときは注ぎやすいですね。

とはいえ容量は22L。満タンにすると22kg+本体1kg=合計23kgになりますから、シンクからおろすのは大変。両手でしっかり抱えておろし、カートに載せて運ぶと安心です。

半分ほど水を入れてみましたが、それでも約10kg。ソロ〜デュオキャンプなら、これで十分でしょう。

▲草地や砂地などポンプが傷まない場所を選ぶか、小さなシートを用意するといいでしょう

本体のふたが閉まっているのを確認したら、フットポンプを踏みます。

空気を送り込むと、ゴボゴボという音が。ホースは本体の底ですから、水底から空気が入っているんですね。これが思いのほか楽しく、励みになります。

▲φ26×58cm。直径こそ変わりませんが、高さは58cm! サイトに置くとかなり目立ちます

全体に空気が行き渡り、上面がドーム状にふくらんだら空気が入った証。フットポンプのキャップを閉めて、いよいよシャワータイムです。

ハンドルを握るとシャワーが噴き出します。子どもの手でも握りやすいサイズなので、ファミキャンでも重宝しそう。

肝心の水圧は、重力式とは違ってなかなかのもの。従来モデルよりも約20%強くなっているそうです。

もっとも加圧式バーナーと同じで、水が少なくなっていくと空気の圧力が弱まり、だんだん水圧も弱まります。そうなったら、またフットポンプで圧力をかけましょう。体を洗うなんてときは、それなりの圧力があるほうが気持ちいいので、ポンプのキャップを開けっぱなしにして圧力をかけながらシャワー。連続で7〜10分使えますよ。

スリーブを半分折ればハンドルをこまめに操作できます。手洗いや少量の食器洗いはこのスタイルで。

スリーブをハンドルで包めば連続してシャワーが出ます。洗髪など長い時間シャワーを出しっぱなしにするときに便利です。

シャワーヘッドが小さく、広い面を一気に水で流せないのが残念ですが、収納サイズや圧力などを考慮すれば致し方ないのかもしれません。

またホースを取り外せないのも不安ですが、最後までしっかり加圧して、できるだけ水滴を残さないようにするしかないようです。

 

■黒いボディはオシャレでありつつ熱を集める際にも優秀

本体は黒いボディにニーモらしい黄緑色のロゴをあしらった、おしゃれなデザイン。太陽光を利用して温水ができる効果もあるんです。

黒いボディなので、夏なら日なたに置いておくだけで温水になります。川遊びで冷えた体を温水で温めるなんてことができるので、ファミキャンにピッタリ。

寒い時期は40〜50℃くらいの温水を直接注いで使ってもOK。広口のフタなので、大切なお湯をこぼさずに注げますよ。

給湯器のない炊事棟なら、温水をかけて汚れを浮かしてから拭き取っておき、最後に炊事棟で水洗い、なんてこともできますね。

ポータブルシャワーは、なにも体や食器を洗うだけのものではありません。

「へリオ LX プレッシャーシャワー」のホースは長いので、直接鍋に水を注げます。重いダッチオーブンをジャグのそばまで持っていく必要がないため、ジャグ代わりにすれば、かなり便利。しかも温水も利用できるんですから、いつものキャンプが格段に快適になります。

*  *  *

クルマやスタンドに吊して重力を利用するシャワーに比べると、少しだけかさばるけれど、水圧は十分。

もちろん電動式のほうが安定した水圧を得られますが、「へリオ LX プレッシャーシャワー」のほうがコンパクトで、持ち運びやすさに軍配が上がります。何よりも電気不要で、キャンプはもちろん災害時にも使いやすい。

スリーブを用いたハンドルロック、太陽光を利用した温水作りなど、単純だけどよく考えられた設計に好感を持てますね。

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>> [連載]アウトドア銘品図鑑

<取材・文/大森弘恵

大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter

 

 

 

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