これぞスーパーカー!熱狂 ガルウィング名鑑<世界の名車編>

再びやってきました「ガルウィング名鑑」。前回のランボルギーニ編に続き、今回もガルウィング(広い意味で)のクルマをたっぷりとご紹介していきたいと思います。

まずはランボルギーニのライバルとも言えるフェラーリから。言わずと知れたスーパーカーのシンボル的存在であり、クルマ好きなら誰もが憧れるメーカーのひとつではないでしょうか。

 

【フェラーリ】

■創始者の名が付けられた「エンツォ・フェラーリ」

▲創業55周年を記念し、2002年のパリ国際モーターショーで発表されたエンツォ・フェラーリ

▲エンジンは6.0LのV12。最高出力660ps、最大トルク67.0kgm。最高速度は、なんと350km/h以上!

▲内外装には多数のカーボンパーツを採用

▲エンツォにはF1マチック(6速セミAT)など、F1で培ったマシンやドライバーのノウハウが随所に活かされています

▲そのマシンを駆っていたいたのが、“皇帝”ミハエル・シューマッハ

▲ちなみにこの美しいボディをデザインしたのは、Ken Okuyama(奥山清行)という日本人だってご存知でした?

 

■エンツォの後継に当たる499台限定の「ラ フェラーリ」

▲お披露目されたのは2013年のジュネーブモーターショー。真正面から見ると、まるでメデューサのような威圧感

▲デザインは先の奥山氏が在籍していたピニンファリーナではなく、自社のデザインチームによるもの

▲ステアリングはレーシングカーのような六角形

▲パワーユニットは6.3LのV12エンジンと、F1で培ったHY-KERSシステム(モーター)のハイブリッド。エンジンで800ps、モーターで163ps、システム全体では963psというとんでもないパワーを誇ります

 

ランボルギーニ編でお話ししたとおり、ここでは跳ね上げ式のドアを広い意味で“ガルウィング”と言っていますが、正確にはシザードア(シザースドア)だったりバタフライドアだったりと名称が異なります。

「じゃあホントのガルウィングって何よ?」って話なのですが、その名のとおり、カモメが翼を広げた時のように、水平にドアが開くドアのことを指します。

ということで、次は世界で初めてガルウィングドアを採用した市販車、メルセデス・ベンツの300SLをご紹介します。

 

【メルセデス・ベンツ】

■ガルウィングの元祖「300SL」

▲1954年に登場した300SL。70年近く前のクルマとは思えないほどの美しさです。ちなみに日本では蔵前国技館で初めてプロレス大会が開催され、街頭テレビに人だかりができた年だそうです

▲俳優の石原裕次郎やプロレスラーの力道山が所有していたことでも有名ですね

▲ステアリングは細く、スポークは2本。サイドシルが高く分厚いのも特徴です

 

■たった25台のみ販売された「CLK-GTR」

▲ド派手に張り出したブリスターフェンダーが圧倒的存在感を生み出すCLK-GTR。1997年のGT選手権参戦のために開発され、ホモロゲーション取得のために25台のみ販売されました。価格はなんと約2億5000万円!(当時)

 

■ハンドメイドで製造された「SLRマクラーレン」

▲「マクラーレン・メルセデス」の言葉が懐かしいF1界でおなじみの両者が、2004年に開発したスペシャルカー。120km/h以上からブレーキを踏むとリアウィングが作動しダウンフォースを高めるといったギミックも搭載されていました

 

■F1のセーフティカーにも採用された「SLS AMG」

▲300SLをモチーフに開発されたこともあり、ザ・ガルウィングのスタイルで2010年に登場(国内)。SLRマクラーレンの後継とも言われていますが、価格も骨格も大きく異なります

▲エンジンはV8の6.2Lで、最高出力は571ps、最大トルクは66.3kgf・m。ミッションはゲトラグ製の7速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)を搭載

 

【マクラーレン】

■ゴードン・マレーの力作「マクラーレン F1」

▲F1で得た知見やノウハウをフィードバックした市販車を開発するために創立されたマクラーレン・カーズが、1992年に製造したスーパーカー。F1同様ドライビングシートは中央にあり、少し後方の左右に1席ずつシートが配置されています。乗車定員は3名

▲ミッドシップに搭載されたV12 6Lエンジンは最高出力627ps、最大トルク66.3kgf・mを発揮。アルミを多用したエンジンやカーボンモノコックの採用などにより、車両重量はたったの1138kg

 

■貴公子の名を冠した「マクラーレン セナ」

▲2017年に500台限定で販売されたアルティメットカー。車名にアイルトン・セナの名が付けられているとおり、サーキット走行での性能を重視して開発。最高出力800ps、最大トルク81.6kgf・mと、マクラーレン史上最高の動力性能を誇ります

 

【BMW】

■PHEVのガルウィング「BMW i8」

▲PHEVシステムを採用したBMWの大人のスポーツカー。3気筒の1.5Lツインターボエンジン(231ps)に専用モーター(131ps)を組み合わせ、システム全体の最高出力は362ps。EVモードの航続距離は最大35kmなので、近所への買い物程度ならEVだけでいけそうです

 

【フォード】

■GT40の流れを汲む「フォード GT」

▲フォードが日本市場から撤退したことであまり知られていないのですが、2017年に登場したフォードGT(2代目)もガルウィングを採用。GT40を思わせる地を這うようなフォルムも健在です

 

【ケーニグセグ】

■トータル1700psの4人乗り「ケーニグセグ ジェメラ」

▲早口言葉のようなケーニグセグはスウェーデンに本拠を置くメーカーで、ジェメラは4シーターのスーパーカー。ドアが垂直に開くのが特徴です

▲とにかくパワーユニットが強烈で、エンジンは3気筒の2Lをターボで武装し600ps。それに3基のモーター(計1100os)を組み合わせたシステム総出力は驚異の1700psを誇ります

▲シートレイアウトはフロント2座、リア2座の4人乗り。リアまでバケットシートのようなサイドサポートの張り出し具合が、このクルマの性格を物語っています

 

これまではひと目でダダもんじゃないオーラを発するスーパーカーが中心でしたが、最後はガルウィングという”飛び道具”を持った一般的なクルマをご紹介したいと思います。パッと見フツーながら、開けたらスゴいんです、なクルマたちをぜひご覧ください。

 

【テスラ】

■リアドアがまさかのガルウィング「テスラ モデルX」

▲イーロン・マスクやオートパイロットで広く知られた米国・テスラ社のEV、モデルX。一見、ただのSUVに見えますが…

▲リアドアがガルウィングというまさかの機構を採用しています。子どもがクレヨンで描いた未来のクルマ感満点です

▲シートアレンジも優秀で、趣味の道具もたっぷり載せられます。ドアが跳ね上がるので荷物の出し入れもしやすそう

▲17インチのタッチスクリーンを備えるなど、インテリアはもはやリビング。いろんな意味でひとりになりたい時に最適!?

 

【トヨタ】

■庶民のガルウィング「トヨタ セラ」

▲ガルウィングが採用されるのはほとんどがスーパーカー。お値段もスーパーなだけに、その開閉感が味わえるのは、一部の選ばれし人のみでした。そんな状況にあってトヨタが「一般の人でも味わえるガルウィング」として1990年にリリースしたのがセラだったのです

▲スターレットベースだけに、見た目はコンパクトクーペなんですが、ドアを開けると雰囲気が一変。過去に運転したこともありますが、乗降時は注目度バツグンです(少々恥ずかしい)。ガラスエリアが広いので、開放感があるのも特徴です

▲インテリアは時代相応で、奇をてらった感はありません。ちなみに中古車は、全国で5~7台前後流通しているようです。価格は100万円以上がほとんどなのでオトク感はありませんが、まだ現実的にギリ買えます!

 

【マツダ】

■軽自動車のスーパーカー「マツダ AZ-1」

▲国産のガルウィングというとセラのイメージが強いですが、マツダのオートザムチャンネル(当時)で販売されていたAZ-1も忘れてはいけません。こちらは正真正銘のガルウィングで、軽のミッドシップスポーツとして1992年に誕生しました

▲全長3295×全幅1395×全高1150mmというコンパクトサイズで、車両重量もわずか720kgしかなかったことから、とにかくキビキビ走るハンドリングマシンとして注目を集めていました。いまこの手のクルマに乗ったらめちゃくちゃカッコ良さそうですが、悲しいかな中古車はちょいプレミア価格に…

*  *  *

かなり長くなってしまいましたが、ガルウィング名鑑いかがだったでしょうか。悩殺ボディのスーパーカーは見ているだけでテンション上がりますし、会社的には利益が薄いであろう(販売台数が少ないため)クルマでもリリースしてくれたトヨタやマツダといった国産メーカーの“心意気”にも頭が下がります。これだからクルマ好きはやめられないんですよね。

 

<文/金子剛士(GoodsPress編集部)>

金子剛士|クルマのドレスアップ誌から中古車情報誌の編集部を経て、現在はモノ情報誌『GoodsPress』編集部所属。クルマやバイクといった自分で動かす乗りものが得意分野。DIYなどの手仕事も好きではあるが、絶望的に不器用。好きなものは昭和プロレス、嫌いなものはサランラップ。

 

 

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