米商務省、半導体生産を支援する「CHIPS法」に充てられる資金の使途を明らかに

半導体
 
米商務省が、同国の半導体産業の育成のための基金「CHIPS for America Fund」の使途を明らかにしました。同時に、いくつかの注意点についても触れています。

CHIPS法への資金の使途が明らかに

米国の半導体の生産を支援するCHIPS法が2022年7月に米連邦議会で可決され、現地時間8月9日には、バイデン大統領が署名し、同法案が正式に成立しました。これにより、同国の半導体業界の発展のため、総額500億ドル(約7兆1,500億円)の資金が投じられることとなります。
 
The New York Timesによると、商務省はこの度、この資金の使途を明らかにしたということです。その大半は、新工場建設のための助成金と融資に充てられ、残りは研究と既存の製造業の拡大のために使われるといいます。
 
ジーナ・レモンド商務長官は、「これは国内安全保障を確保し、米国の製造業を活性化し、同国のイノベーションと研究・開発を活性化するための一生に一度、一世代に一度の機会です」と同紙に語っています。また、「だからこそ、私たちは緊急性を持って取り組んでいますが、正しい方向に向かわなければなりません。そのために今、戦略を練っているのです」と続けています。

資金配分について

最終的に、業界のどの部分にどれだけの資金が投じられるかは、どの企業が何を申請するかによって決定します。しかし、同紙によれば、プロセッサの製造と組み立てのための新しい施設の建設に関連する設備投資に280億ドル(約4兆150億円)が投じられると予想されているとのことです。
 
その上で、まだ詳細は明かされていないものの、研究・開発に110億ドル(約1兆6,000億円)が投じられる予定です。最後に、約100億ドル(約1兆4,000億円)が、自動車や通信に関わる旧世代チップの製造拡大のために充てられます。
 
商務省は、米国立標準技術研究所の後援の下、新たなオフィスを設けて資金申請プログラムを立ち上げる予定だということです。

資金の受給についての注意点

この新たな資金は米国でのプロセッサ製造の促進を目的としていますが、政府はチップの輸出や海外での生産に対する制限も加えています。低技術なレガシー・プロセッサを除き、この資金を受給した企業は今後10年間、あるいは状況によってはそれ以上、中国やまだ名前の挙がっていない米国に懸念を抱かせる国への新たな投資ができなくなります。
 
バイデン政権内でも、これらの国の産業に投資している米国企業を精査するために行政措置を講じることで合意していますが、まだ詳細は決定していません。資金提供を可能にする超党派の法案は、特に米国のプロセッサ製造と中国との競争力を強化するために作成されました。また、バイデン大統領が、国家安全保障上の問題と呼んでいる世界的なチップ不足を緩和するという狙いもあります。
 
 
Source:The New York Times via AppleInsider
Photo:Pixabay
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