キリンホールディングス株式会社(以下、キリン)と明治大学 総合数理学部先端メディアサイエンス学科 宮下芳明研究室(以下、明治大学)は、微弱な電流で減塩食品の塩味を約1.5倍にするスプーンとお椀型のデバイス「エレキソルト」を開発しました。
このエレキソルトを活用した実証実験を9月より開始し、2023年のデバイス発売を目指すとのことです。
拡大する減塩市場、消費者の多くは味に不満?
日本人の1日当たりの食塩摂取量は、WHOのガイドライン(5.0g未満/日)と比較して非常に多いことがわかっています。しかし近年、健康志向の高まりから減塩・無塩市場は拡大傾向にあるようです。
キリンが2021年6月に実施したアンケート(対象:首都圏在住40~79歳男女4411名)では、「減塩食にしている・する意向がある」と答えた人のうち約63%が減塩食に課題を感じており、その約8割は味に対する不満でした。
このことから、減塩食の味を改善することで、消費者の健康課題改善や減塩・無塩市場のさらなる拡大に寄与できる可能性があるとしています。
箸型デバイスで塩味約1.5倍を確認
キリンと明治大学は、人体に影響しないごく微弱な電流を用いて塩化ナトリウム(塩味のもと)やグルタミン酸ナトリウム(うま味のもと)などが持つイオンの働きを調整し、疑似的に味の感じ方を変化させる「電気味覚」の技術活用について2019年より研究してきました。
その成果として、減塩食の塩味を増強させる電気刺激波形を開発。今年4月には、この技術を搭載した箸型デバイスを開発し、臨床試験において箸型デバイスで減塩食を食べたときに感じる塩味が約1.5倍に増強されることを確認したと発表しました。
エレキソルトで食べたいものは?
そしてこのたび、電気刺激波形の技術を発展させて搭載した「エレキソルト -スプーン-」と「エレキソルト –椀-」を開発。
これら2つのデバイスは、電源を入れて好みの強度(4段階)を選択し、通常通りに使用するだけで効果を発揮します。スプーンは先端から電流が食品に流れ、お椀は底部を手で持つと椀内部に電流が流れる仕組みです。
なお、デバイスがスプーンとお椀型になったのは、減塩食を食べている人が濃い味で食べたいものの1位がラーメン、2位がみそ汁だからだといいます(キリン調べ、n=120)。
2023年発売へ向け、9月より実証実験
キリンは、株式会社オレンジページ(以下、オレンジページ)および減塩専門店「無塩ドットコム」を運営する株式会社ノルト(以下、ノルト)と共同で、エレキソルトと減塩食を用いた実証実験を9月に開始するようです。
オレンジページとノルトの会員を対象に参加者を募り、9月~11月の期間、会場での試食調査とホームユーステストを実施します。
その後は、同実験での有用性を検証し、2023年の国内販売を目指すとのことです。
(文・Higuchi)
- Original:https://techable.jp/archives/185302
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口
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