Apple、開発者擁護団体に多額の資金を提供。方針決定に影響を与えている可能性も

apple ロゴ
 
開発者擁護団体である「App Association(ACT)」の資金は、メンバーではないものの、Appleがその大半を提供しており、同団体の方針の決定を支配する立場を得ていると報じられています。

AppleとApp Associationとの関係

擁護団体やロビー活動団体は、世論、司法、政治に何らかの影響を与えることを目的として主張することが多く、大手ハイテク企業に関するいくつかのニュースでも、それが顕著に現れています。開発者の権利を擁護することを目的としたACTは、概してAppleに対して好意的な見解を示しています。
 
4人の元ACT職員がBloombergに語ったところによると、同団体の資金の大半はAppleから得られているとのことです。ACTは、Appleから半分以上の資金を得ていることを認めていますが、元職員によれば、実際の割合はもっと高いといいます。
 
開示書類から得られる直近のデータによると、ACTに対する全寄付者からの寄付金は2020年に900万ドル(約13億円)に達しており、Appleが数百万ドル規模の寄付を行っていることを示唆しています。この資金提供によってAppleは団体内で大きな影響力を持つこととなり、元職員らはこれによって同社が、団体の方針を決定する上で重要な役割を担っていると主張しています。
 
こうしたことから、明らかにApple寄りの声明がなされることもあります。例えば、Epic GamesとAppleの裁判の余波で、ACTはAppleは独占企業ではなく、開発者に利益をもたらし、サイドローディングを防止することは、有害なソフトウェアをブロックするためには良いことだとコメントしています。
 
しかし、資金提供を受けているにも関わらず、ACTはAppleの資金に影響されていないと主張しています。ACTの幹部は、方針の決定はメンバーの意見に基づいており、Appleから指示を受けることはないが、同社の立場も考慮していると述べています。

ハイテク業界の関係者から批判の声

ACTは、定期的に米議会で証言したりAppleの立場を擁護する法廷準備書面を提出するなど、非常にApple寄りであるため、ハイテク業界の関係者からも批判されています。これには、徴収するApp Storeの手数料、支払いポリシー、その他の制限に影響を与える可能性のある法律を変更しようとすることも含まれます。
 
アプリ公平性のための連合(Coalition for App Fairness)の代表であるリック・ヴァンメター氏は、ACTとAppleとの関係を考えると、ACTがアプリ開発者を代表していると称しているのは欺瞞的であると述べています。さらに、「主張のために事実と異なることをするのは、法律を作るプロセスにとって悪いことです」とも語っています。

アプリ公平性のための連合について

アプリ公平性のための連合は、Appleの方針に対抗するために結成された団体で、App StoreをめぐるAppleとの裁判でEpic Gamesを支援してきました。
 
しかし、その訴訟中に発見された電子メールから、Epicのマーケティング責任者が、報道の支援と支持集めのためのツールとして、アプリ公平性のための連合の創設を提案し、最終的に資金を提供していたことが明らかとなりました。Epicは、連合の存続期間中に最大70万ドル(約1億円)を投じる予定であり、また、方針に対して高いレベルの支配力を行使するつもりだったということです。
 
しかしその計画は、より民主的な組織づくりを優先し取り下げられたようです。

ACTは、この非難について反論

一方、ACTの代表を務めるモーガン・リード氏は、同団体がAppleの隠れ蓑であるという非難について反論しています。「私たちの仕事は、政府が意図せずとも、クールなフトウェア製品を作っているすべての中小企業に影響を与える可能性があることに、注意を払うことです」としています。
 
 
Source:Bloomberg via AppleInsider
(m7000)


Amazonベストセラー

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA