阪急うめだに約2万点の西陣織の図案を活用したデジタルアート空間出現

株式会社阪急阪神百貨店は、西陣織の老舗「細尾」らと連携し、西陣織の帯図案を活用したアート作品の展示・販売会「MILESTONES-余白の図案」を開催します。

会場は阪急うめだ本店 9階 阪急うめだギャラリー、会期は9月21日(水)~26日(月)です。

デジタルアーカイブから図案生成・着彩

細尾は、京都芸術大学との産学連携プロジェクト「MILESTONES」において、約2万点の伝統的な図案をデジタルアーカイブ化。西陣織の伝統を後世に残すとともに、学生のダイナミックな感性で帯図案を新しいデザインに展開することを目指しています。

今回は、そのデジタルアーカイブをもとに、コンピュテーショナルデザイナー/プログラマーの堂園翔矢氏が新たな図案を生成。この図案にクリエイティブ・ユニットSPREADが着彩を施しています。

インスタレーションと未着彩の図案を展示

展示会場には、堂園氏とSPREADによって制作された図案をインスタレーションとして展開。床面に広がる鮮やかなインスタレーションが白い壁面に反射する空間は、“余白とは余った部分ではない”ということを表現しているといいます。

また、下書きにあたる未着彩の図案約2万点も展示。図案が未着彩なのは、時代に合った色を入れられる余地を生むためであり、何世代にもわたり受け継がれるための工夫だといいます。

さらに、帯図案を使ったピクセルアート作品7点の販売および50点の帯図案と7色のカラーからそれぞれを選ぶオーダー作品の受注も実施するようです。

なお、同店9階アートステージでは、西陣を代表する老舗織物の帯などを展示する「“NISHIJIN(西陣)”の美意識」も同時開催します。

伝統文化を次世代につなぐ取り組み

細尾は、東京大学大学院情報学環 筧康明研究室および株式会社ZOZO NEXTとの共同研究プロジェクトにも取り組んできました。

そして3社は、西陣織の構造や意匠に先端素材やデバイスをかけ合わせ、周囲の環境に応じて表情や質感を変化させるスマートテキスタイル「Ambient Weaving」を開発。国内外で展示し、EU Comission主催の「STARTS Prize 2022」にてHonorary Mention(栄誉賞)を受賞しました。

バーチャルギャラリーでは、電圧で発光したり、紫外線で硬化したりする織物を鑑賞できます。

このように、伝統ある西陣織にテクノロジーをかけ合わせ次世代に引き継いでいく取り組みは、伝統文化の継承と新たな価値創出において大きな意味がありそうです。

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(文・Higuchi)


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