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自宅で高音質なサウンドに没頭できる環境を手軽に作りたいなら、ミドルクラスのヘッドホンはベストな選択肢だといえる。そこで、AV評論家の折原一也さんとヨドバシカメラ新宿西口本店のオーディオ担当である山本周さんに、ヘッドホンのトレンドや選び方を語り合ってもらい、さらにオススメモデルをピックアップしてもらった。
AV評論家 折原一也さん
オーディオ・ビジュアル専門誌やWeb媒体、商品情報誌でトレンド解説や製品レビューなど多彩な記事を執筆。2009年よりVGP(ビジュアルグランプリ)審査員も務める
ヨドバシカメラ新宿西口本店・オーディオ担当 山本周さん
ヘッドホン・イヤホン担当歴8年。オーディオ好きが高じてTwitter上に毎週さまざまな動画を投稿中。
ヨドバシカメラ 新宿西口本店
定番からマニアックなヘッドホンまで、オーディオ専門店顔負けの品揃えを誇り、全て試聴可能。モデルヘッドホン売り場は「マルチメディア館北館」4Fにある
* * *
折原さん(以降、敬称略):販売員というお立場から、最近のヘッドホンの売れ筋や傾向はどのように感じていますか?
山本さん(以降、敬称略):コロナ禍による巣ごもり需要もあり、自宅で音楽をもっといい音で聴きたいという方が増えているように感じます。今やサブスクでいろんな種類の音楽が手軽に聴けることもあり、やはり、もっと音にこだわりたいと。そんな方にはミドルクラスのヘッドホンをオススメします。
折原:日本の住宅環境からしても、手軽に高音質を求めるならヘッドホンにお金をかけるのは妥当な考え。ワイヤレスと有線では、どちらが人気ありますか?
山本:ミドルレンジの中心価格帯が4万円前後だと思うのですが、これ以上になると圧倒的に有線を買われる方が多いですね。
ーー同価格帯の場合、ワイヤレスと有線はどちらの音質が良いのでしょうか?
折原:一概にどちらが良いとは言えません。有線ヘッドホンの場合、再生する機器に音質が左右される部分が多いんです。だから再生機器との相性次第ですごく良い音が出ます。一方、ワイヤレスの場合は再生機も含めて設計されているので、一定の完成度が望めます。それにしても、オススメのラインナップをみると結構マニアックですね。これ全部、売り場で販売しているんですか。
山本:はい。全機種試聴ができるようにしています。
折原:ヘッドホンは一度試聴してから買うべきだと思うので、気になったモデルを聴き比べできるのはありがたいです。
――おふたりにそれぞれ挙げていただいたおすすめモデルの中で、唯一重複したのがソニー「WH-1000XM5」でした。
山本:前モデルから1年8ヵ月ぶりに登場した待望のモデルです。「マーク5」という名称からマイナーチェンジの印象を抱いてしまいますが、実はドライバーの設計から全く違う、いわば別物です。
折原:完成度の高さは凄い。とくに空間の臨場感が見事で、サラウンドヘッドホンみたいです。ワイヤレスでは、ほかにゼンハイザーの新モデルも挙げていますね。
山本:「MOMENTUM 4 Wireless」も待ちに待った新作。デザインも一新、サイズもコンパクトになり洗練されたイメージです。もともと定評の高かった低音にさらに音の幅が加わった感じで、前モデルから相当グレードアップしていると思います。
折原:実は4万円前後の価格帯は、高級オーディオブランドも多く進出していて、今や相当な激戦区。僕はバランス重視でオススメをセレクトしました(笑)が、その先にはさらにマニアックかつ奥深い世界が広がっています。
山本:おっしゃる通りです。少しでも気になるヘッドホンがあれば、まずは気軽に来店して聴き比べていただきたいです。
折原:その際はサブスクやCDなど、普段自分が音楽を聴いている環境で試聴することが大切。購入したヘッドホンで末永く音楽を楽しむためにも実践してみてください。
【AV評論家 折原さん】 定番から個性派モデルまでバランス重視でセレクト
1. 至高のアップル純正ヘッドホン
高価格で発売当初から批判のあったモデルですが、深い重低音、透明感のある中音域の再現性は本物。予算があればおすすめ(折原さん)
Apple
「AirPods Max」(8万4800円)
自社設計による40mm口径のダイナミックドライバーと「H1チップ」を左右のイヤーカップに搭載。ノイズキャンセル対応で、iOSやMacと接続すれば空間オーディオにも対応する。
2. 名門スピーカーブランドの音を聴け
スピーカー800シリーズのエンジニア監修とあって、音はまさにB&Wの高級スピーカー。高解像かつ音像型のサウンドは絶品(折原さん)
B&W
「Px7 S2」(実勢価格:6万500円)
Hi-Fiスピーカー最高峰と名高い英B&Wのヘッドホン。BluetoothワイヤレスでaptX Adaptiveコーデックとノイズキャンセルにも対応し、機能性もハイエンドだ。
3. モニター系高音質ヘッドホンの新星
AKGのサウンドを継承する精緻なモニター系サウンドは見事。音の情報量とリスニングのバランスも秀逸です(折原さん)
Austrian Audio
「Hi-X60」(実勢価格:5万6870円)
2017年に名門・AKGの元メンバーが集まり誕生した新ブランド。44mmドライバーとリング磁石システムを搭載。有線の密閉型オーバーイヤー・モニター・ヘッドホンだ。
4. STAXのネーム入りモデル最高峰
平面磁界型らしいレスポンスの良さ。音の分離感や透き通るような音再現は傑出。一度は体験すべきサウンドです(折原さん)
Edifier
「STAX SPIRIT S3」(実勢価格:4万9990円)
中国EdifireがAudezeと日本STAXの平面磁界型ライバー技術を導入した規格外のワイヤレスヘッドホン。Bluetoothワイヤレス接続はaptX Adaptiveにも対応する。
【ヨドバシカメラ 山本さん】気になるモデルは購入前に店舗で試聴を!
5. 国産の楓をハウジングに採用
音質はフラット、いい意味でニュートラル。アーティストの声や楽器の音をストレートに伝えてくれます(山本さん)
TAGO STUDIO TAKASAKI
「T3-01」(実勢価格:5万9400円)
究極のナチュラルサウンドを目指し、ハウジングに楓を採用したスタジオヘッドホン。新開発40mmのドライバー搭載で、原音に忠実かつ温もりあるサウンドが楽しめる。
6. よりスタイリッシュになった新モデル
幅が広がった低音をはじめ、すべての面で音質が進化しています。とくにアコースティック系サウンドの再現力は見事!(山本さん)
ゼンハイザー
「MOMENTUM 4 Wireless」(実勢価格:5万4890円)
新開発42mmドライバーを採用した最新モデル。Bluetooth用と信号処理用にふたつのチップを搭載し、通信面やノイズキャンセリング機能が大幅に強化されている。
7. 素材に麻を使用した個性派モデル
素材にヘンプを使っているため、クリアながらみずみずしさも感じられる音に。音との距離が近いのも魅力です(山本さん)
GRADO
「The Hemp Headphone Ver2」(実勢価格:5万6100円)
高密度に圧縮した麻をハウジングに使用した開放型。メープル材と組み合わせて、専用ダイナミックドライバーによる鮮やかさと暖かさが共存するサウンドを再現した。
8. 2012年発売のロングセラーモデル
10年ほど前の開放型モデルなのですが、音場感、臨場感の表現力はいまだトップクラス。定番中の定番モデルです(山本さん)
オーディオテクニカ
「ATH-AD2000X」(実勢価格:5万5740円)
専用設計の53mmドライバーを搭載、ジョイントとフレームにマグネシウム合金、さらに新開発バッフルを採用して軽量化を実現した、開放型ヘッドホンのロングセラー。
■折原さんと山本さん両者がオススメするモデル
9. 期待のさらに上を行く新モデル
立体的なサウンドとノイズキャンセル性能、そして音質・機能ともに優秀。オールマイティな一台を選ぶならWH-1000XM5でしょう(折原さん)
音質はもちろんですが、使い勝手や多機能さなど、ガジェットとしての完成度も秀逸。期待を裏切らない新モデルです(山本さん)
ソニー
「WH-1000XM5」(実勢価格:4万8380円)
業界最高クラスのノイズキャンセリングや通話品質を実現。専用設計の30mmドライバーユニットを搭載して音質にも抜かりがない、まさに死角なしの仕上がり。
※2022年9月6日発売「GoodsPress」10月号46-47ページの記事をもとに構成しています
<取材・文/折原一也 撮影/湯浅立志(Y2)>
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/478484/
- Source:&GP
- Author:&GP
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