手のひらサイズのプライヤー付きマルチツールは43gと超軽量なチタン合金製“バーツール”

【男前マルチツールの世界】

マルチツール。それは、手に収まるほどのコンパクトなボディにさまざまな道具を詰め込んだ“ハンドツール”。とかく専用ツールに比べ「間に合わせ」と思われがちですが、そこにはマルチツールだからこそ味わえる奥深い世界が存在します。

そんなマルチツールの男前な魅力を紹介する連載第26回は、TGZUOのチタン製マルチファンクション「クロウバー」(購入価格:5580円)です。

 

■日常で使えるツールを詰め込んだ軽量“バーツール”

海外通販サイト(AliExpress)を見ていて気になって入手したものです。円安の最中、あまりお買得と言えるほど安価ではありませんでしたが、チタンマニアでマルチツール好きとしては手に入れたいと思っていたアイテムでした。

分類的には「バーツール」と呼ばれる薄い棒状のマルチツールになります。手の平に収まる全長108mmのチタン合金製のボディにたくさんのツールが付いていて、重量は43gととても軽量。鍵束などに付けて日常使用に適したツールがメインです。

▼スプリング内蔵のレンチ

▲クロウ(=カラス)という商品名の由来と思われるレンチ部分

くちばし部分は開口するとレンチになり、20mmのナットをくわえられます。可動部にはスプリングが内蔵されており、指を放すと自動で閉じる。パチンとフリクションを伴う動作が面白い。

レンチの内側はトレンチが刻まれており、20mm以下の六角ボルトであれば調整することなくとらえてくれます。またボルトを締める際、レンチ自体を回転させずにウォーターポンププライヤーのようにキャッチ&リリースを素早く繰り返すことも可能です。狭い場所での作業に使える、バーツールとしては異例のギミックです。

 

▼切れ味抜群!着脱式の折り畳みナイフ

折り畳み式のナイフが付けられます。デフォルトでは付いていませんが、付属する刃を付けることでナイフになります。ナイフというか、カッター、デザインナイフといった感じですね。

鋭く切れ味は抜群。ただ…取り付け取り外しには別途プライヤーが必要だと思います。小さく鋭い刃なので、安全を鑑みてもプライヤーを使ったほうが良いでしょう。

取り付ける際は、プライヤーで刃の先端付近を掴み、刃の中央部に設けられた穴に支柱のストッパーを入れ、そのまま本体方向に向かって押し込みます。支柱には僅かに隙間があり、そこに刃が差し込まれます。

刃を交換する際は、赤丸の部分を爪で起こし、支柱のストッパーをオーバーハングさせ、プライヤーで引き抜きます。

そんなに難しくないですが、初めて触れた装着方法なので少し戸惑いました。

切れ味は本当にカッターそのもの。紙やテープを切るのに最適です。細かな切り出しにも向いています。

ただし、ストッパー機能が無い。手前に引いて切ることはできますが、押して切ることはできません。

交換用の刃は8枚付属。漢方薬みたいな袋に入っていました(笑)。

ナイフを付ける必要が無い人にとっては、こうした取り外し可能なものはいいかもしれないですね。鍵束にマルチツールを付けたいが、ナイフ付きは持ちたくない、そんな人にはピッタリでしょう。

 

▼マグネット付きドライバービット受け

付属品は無いですが、ドライバービットをボディ中央に差し込めます。ビットの受け口にはマグネットが仕込まれており、ビットが自重で落下することはありません。

ビットを支えるマグネットが存外に強力かつボディの適合性がいいためか、T型トルクレンチとして充分に使えます。

ランヤードホールがあるのでキーリングにも通しやすい。ドライバービットを入れたカプセルと一緒に持ち歩くと便利かもしれないですね。ちなみにボディ側面には4cmルーラー(定規)が付いています。

プラスドライバーだけであれば、レンチの反対側にも付いています。押し込みながら使う感じですね。露出部のネジであれば使えます。

カラスの尾っぽの部分は釘抜。ただ、構造的にそのままでは使いにくく、木っ端などを挟まないと使えませんでした。

横ではなく、溝を縦に入れてくれれば、テコの原理を上手く使えるんですけどね。

 

■ナイフレスで日常携行したい人におすすめ

他に栓抜き、蓄光管スロット、クリップなどの機能があります。バーツールはサイズの都合上、あまり機能を付加出来ないものですが、私としては必要充分かなと思えるものでした。

特にオートマチックレンチは面白い。実際にボルトを締めるのに使わなくても、指で弾いてフリクションが楽しめます。スピナー的な手慰みガジェットになりそうです。

素材のチタン合金ですが…やっぱり柔らかい。軽いことはいいのですが、ステンレス鋼のツールに比べて柔らかいのが気になりました。

チタンというと丈夫で硬いイメージをお持ちの方は多いと思いますが、実はそんなことはなく、工具で使われる多くの炭素鋼と比べると柔らかいんです。実際に工具として考えると、強いトルクをかけたり叩いたりするような仕事には使われません。

このバーツールはあくまでも日常携行しやすさが魅力。ナイフレスでも使える、鍵束に付けて持ち歩きやすいマルチツールをお探しの方、そしてチタンガジェットが好きな方にはおすすめです。

 

>> [連載]男前マルチツールの世界

<取材・文/GOL>

GOL|歯科技工士、ECディレクター、webライターまで幅広く活動しております。指先に伝わるハンドツールの質感や重さ、音などアナログな部分に惹かれて今に至ります。一番好きなのは懐中電灯。

 

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