【令和の新殿堂入り傑作モノ】
ロボット掃除機といえば「高価格」が当たり前だった。しかしこの数年は、高性能でありながら、手を出しやすい価格帯のモデルも登場している。また、より高度な能力を持った進化型も誕生。その中から家電ライフプロデューサーの神原サリーさんが選んだオススメ機種を紹介していく。
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初代ルンバがアイロボット社から発売されたのが2002年。それから20年の時を経て、“ロボット掃除機=高価”というイメージも少しずつ変わりつつある。
神原さんは「この7月に発売された『ルンバ i2』がその典型です。3万9800円という価格ながら、『ブラーバ ジェット m6』との連携にも対応し、バッテリー切れが近づくと自動充電・再開する機能もあるなど、素晴らしいですね。他のメーカーも高性能で低価格な製品を出しています」と話す。
これまで、興味はあるけど手が出せない…と尻込みしていた人は、まずはこの記事で紹介している機種あたりから使い始めてみるといいだろう。
低価格でも吸引力や拭き取り能力がイマイチということはない。どれもしっかりと床を掃除してくれる能力は備えている。毎日の掃除はロボットに任せ、気になる部分だけスティック掃除機で吸引というのが賢い使い方だろう。
外出中でも自動的に起動して部屋の中をきれいにしてくれるロボット掃除機は、家事の一部が省略できるのだから、きっと生活スタイルを変えてくれる。例え部屋が狭くても、特に忙しい一人暮らしや共働き家庭などでは、自分や家族との時間が生まれて生活にゆとりが出てくるはずだ。
家電ライフスタイルプロデューサー 神原サリーさん
出版社や新聞社に勤務後、フリーランスとして独立。幅広いテーマを取材、執筆する中で家電分野に興味を持つ。家電をスペックや数字だけでなく、暮らしの中でどう役立てるかを提案するプロフェッショナル
【10万円を切る価格で高性能の「コスパ型」はコレだ!】
■価格は抑えてパフォーマンスはアップ!
上位モデルと同じ2本のゴムブラシを採用しているため、髪の毛やペットの毛が絡まりにくくお手入れも簡単です(神原さん)
iRobot
「ルンバ i2」(3万9800円)
7月に発売されたばかりのルンバの最新機種。自動ゴミ収集機能があるクリーンベースは付属せず、障害物回避機能を搭載していないが、価格を抑えつつも、パワフルな吸引力と学習機能などの基本機能は十分にアップしている。
▲エッジクリーニングブラシが掻き出したゴミを2本のゴム製デュアルアクションブラシが浮き上がらせて強力な吸引力で取り除く
▲特にゴミが多い場所を検知するダートディテクト技術を搭載。集中的に清掃する
▲清掃習慣を自動的に学習してライフスタイルに合ったスケジュールを提案する
▲フロアトラッキングセンサーによるナビゲーションで広範囲を規則正しく効率的に清掃
▲清掃が終われば自動でホームベースに戻り、充電が少なくなった場合も戻って再充電する
■同社従来品の約7.5倍の圧倒的吸引力
スマホアプリでのマッピングや音声アシスト機能にも対応するマルチな一台。水拭き掃除を優先したいならこちらに(神原さん)
Eufy
「RoboVac X8 Hybrid」(5万9800円)
ロボット掃除機としては世界で初めて2000Paの吸引力を生み出すダービンをふたつ搭載。同社従来モデルの約7.5倍の吸引力を誇る。フローリングへの水拭き機能も備えた2-in-1モデル。
▲独自のレーザーナビゲーターシステム搭載に加え、本体充電量が少なくなると自動でステーションに戻り、充電後に清掃を停止したエリアから掃除を再開する
▲段差を乗り越える力も高く、絨毯やカーペットで自動的に吸引力を上げる独自技術を搭載
▲強力な吸引清掃に加え、フローリングでの水拭き機能を備えたモッピングモードも備える
■さまざまなトラブルを回避しながら丁寧に掃除
吸引と水拭き時はカーペット回避に加え、ゴミ収集までできるモデルながら10万円を切る価格なのが魅力です(神原さん)
エコバックス
「DEEBOT N8 PRO+」(8万5000円)
一般的なロボット掃除機に起きやすい衝突などのさまざまな走行トラブルを回避しながら作動する。掃除が完了すると、たまったゴミを自動でAuto-Empty内の密封型紙パックに吸い上げ、最大約60日分のゴミを収納可能。
▲ふたつのサイドブラシでゴミを掻き集め、V字型メインブラシで塵をかき集めて強力に吸引する
▲アプリを使えば動きや清掃場所をリアルタイムで確認したり、侵入禁止場所を設定したりできる
▲フル充電で1回の最大清掃時間約110分。吸引清掃と水拭きを同時にも行える
▲3D物体回避テクノロジーで立体物やコードを回避しながら走行する
■この価格で2in1。隅々まで効率良く掃除
吸引・水拭き・ゴミ収集のオールインワンでこの価格は、コスパの高さではナンバーワンですね(神原さん)
スイッチボット
「ロボット掃除機 S1 Plus」(6万9800円)
4Lの自動ゴミ収集ベースが付属。最大で約70日間分のゴミを収納でき、本体を清潔に保てるだけでなく、ゴミ捨て時に手を汚さずに済むなど手間を大幅に省ける。水量コントロールが可能なタンクを搭載し、吸引清掃と一緒に水拭きもできる。
▲LDSレーザーセンサーでAIレベルの高精度かつ高速なマッピング機能を備えている。また清掃エリアをパターン分けし、掃除を最適化する
▲外出中や夜間の自動運転清掃はもちろん、スマートスピーカーにも対応し、話しかけるだけでスタートさせることも可能
■ロボット掃除機デビューに向くモデル
IoTを活用した機能が充実。デザインもシンプルですし、ロボット掃除機デビューに向く一台といえるでしょう(神原さん)
I LIFE
「ロボット掃除機 A10」(3万7980円)
スマホのアプリやスマートスピーカーと連携し、留守中に部屋を掃除させられるほか、清掃エリアを指定したり、マップを編集したりできる。マップは複数保存できるので、部屋ごとにルートやエリアを設定可能。
▲リアルタイムスキャンで障害物の位置を検知。障害物を回避しながら掃除する
▲レーザースキャンでマップを生成。複数のマップを保存してルートやエリアを設定できる
▲ILIFEHOME APPでいつでもどこでも本体を操作でき、特定の部屋やエリアの掃除、エレクトロウォールを作成して侵入禁止エリアを指定できる
■ハイエンド型ロボット掃除機はAIテクノロジーも掃除能力もアップしている
ロボット掃除機は手頃な価格の製品が登場し始めた一方で、さらに高度な、進化した能力を与えられた機種も誕生してきている。
神原さんは「センサーに加えてカメラも搭載し、障害物の回避性がより高くなったモデルが多くなってきました。そのうえ、意外と面倒な水拭きの準備や手入れなども自動化されて、本当の意味で手間の掛からないロボット掃除機もあります」と話す。
単純に高精度のセンサーやカメラを取り付けただけでは、ロボット掃除機の性能は向上しない。それらが検知した物が何であるかを判断し、次の動きを命令するアルゴリズムを与えるプログラミングや、AIテクノロジーを使って学習させることが必要なのだ。
ハイエンド型のロボット掃除機は、AIテクノロジーが優れていると同時に、掃除能力もアップしていることは間違いない。クルマの運転アシスト機能や自動運転のレベルが進化しているように、ロボット掃除機の機能も日進月歩、そのうち人間は電源を入れるだけで、あとは全部お任せの機種が出てくるかもしれない。
神原さんが実際に使って選んでくれた、今買っておけば間違いない高性能のロボット掃除機を見ていこう。
【さらに進化を重ねている「ハイエンド型」】
■同社最強のオールインワンロボット掃除機
前面カメラ搭載で障害物の回避性能が高く、水拭きの準備や手入れも自動になった“本当に任せられる”ロボット掃除機です(神原さん)
DEEBOT
「X1 OMNI」(19万8000円)
抜群の物体回避能力とエコバックス史上最強の5000Paの吸引力で、カーペットの中に入り込んだ毛髪や埃までキレイにできるほか、全自動で水拭き掃除もできる。デンマークの世界的なデザイン事務所、ヤコブ イェンセン・デザインが設計を手掛けた。
▲床に密着するメインブラシとふたつのサイドブラシ、毎分180回転する加圧回転式モップで掃除する
▲120万画素、148.3度の超広角カメラで暗所でもはっきりと障害物を検知して回避行動を取る
▲15分毎にステーションに戻り、モップを洗浄&乾燥させて水補給してから水拭きを再開
■見分けて、避けて、掃除する賢いロボット掃除機
ルンバ初の前面カメラ搭載モデル。障害物回避能力が素晴らしく、ペットを飼っている家庭にもおすすめです(神原さん)
iRobot
「ルンバ j7+」(12万9800円)
コードやスリッパをはじめ、ペットの排泄物まで障害物を見分けて認識し、確実に清掃を実行するので、事前の片付けが必要ない。回避した障害物は掃除終了後に画像と位置がアプリに送信されるので、今後の対処をフィードバックできる。
▲クリーンベースが縦型から横型になった。デザインもシックでインテリア性に優れている。最大で1年間のゴミが収納できるのでゴミ捨ての手間が掛からない
▲エッジクリーニンブラシでゴミを掻き出し、微細なゴミや毛髪まで強力に吸引する
▲常にライトを点けてカメラで障害物を認識。回避データは任意でユーザーのクラウドに送られる
■ふたつのカメラ+センサーでインテリジェンスがさらに向上
障害物回避機能が高く、水拭き機能も優秀で、給水からモップ洗浄まで全自動なのが手間いらずでいいですね(神原さん)
Roborock
「S7 MaxV Ultra」(21万7800円)
顔認識技術を応用したストラクチャードライト&カメラとRGBカメラの搭載で、従来のS6 MaxVよりも障害物の認識速度が70%速くなり、回避精度が22%向上。水拭き性能が高く、毎分3000回の高速振動するモップで床をキレイにする。
▲ドックはゴミ収集からモップの洗浄、給水まで全て自動。水拭き時に水が不足するとドックに戻り給水を始める
▲毛足が4mm未満のカーペットを感知すると水拭きモップが5mmリフトアップして吸引掃除のみになる。4mm以上の場合はアプリでカーペット回避モードを選択
■3センサーで素早く学びアップデートで進化していく
洗濯物やおもちゃなどにぎりぎりまで近づいて床を素早くキレイに。約2cmまでの段差ならば乗り越え、敷物も巻き込みません(神原さん)
パナソニック
「RULO MC-RSF700」(10万2300円)
クリーンセンサー搭載で、ゴミが多い場合はパワーアップしたり、往復/首振り運動したりして、フローリングから絨毯まで見えないゴミもしっかり掃除ができる。
▲360度のレーザーセンサーで室内全体を検知し、正確に間取りを認識してマッピングする
▲スポットモードにすると人の足を検知して、掃除したい場所までついてきて開始位置を中心に螺旋状に掃除する
▲進行方向と逆回転してゴミを中心に集めるV字構造のブラシで集塵性を高めてしっかりと吸引
▲独自の三角形状ボディで部屋の隅までブラシが入り、ゴミをきれいに掻き出す
■部屋の状況を学習する拭き掃除のスペシャリスト
静音性の高い拭き掃除専用機として、唯一無二の実力を持つロボット掃除機だと思います(神原さん)
iRobot
「ブラーバ ジェット m6」(5万9800円)
ジェットスプレーで汚れやベタつきを浮き上がらせて拭き取るウエットモードだけでなく、ドライモードで静電気を利用してゴミや埃、毛髪を捕らえる乾拭きもできるので、毎日すっきりと床を仕上げ掃除できる。
▲iRobot Homeアプリを使用して掃除のスケジュールや場所を指定しておけば、操作の手間を最小限にして部屋をキレイに保てる
▲ルンバi2やj7とのセット使いがおすすめ。ルンバがしっかりゴミや埃を吸い取った後にブラーバが出動。キレイに拭き掃除の連携プレイができる
▲高精度のマッピング&ナビシステムで部屋の広さや形状を把握し、規則正しく動いて効率的に掃除する
※2022年10月6日発売「GoodsPress」11月号40-43ページの記事をもとに構成しています
<取材・文/松尾直俊>
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/487548/
- Source:&GP
- Author:&GP
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