iPhoneユーザーならやっぱりコレ。「Apple TV 4K(第3世代)」はW杯のテレビ観戦にもピッタリ

W杯真っ只中の11月下旬の今、アップルが11月4日に発売した「Apple TV 4K」(第3世代、以下略)が我が家に届きました。テレビ向けのメディアプレーヤーとしてスティック型端末が定番化するなか、「Apple TV 4K」は最新世代で少し小型化。価格はWi-Fiモデルで1万9800円、Wi-Fi+Ethernetモデルで2万3800円です。

▲Wi-Fi+Ethernetモデル

今回はそんな「Apple TV 4K」Wi-Fi+EthernetでW杯のライブ中継観戦したりメディアプレーヤーとして使ったりしてみました。

 

■ポイントはApple製品でしかできない連携

「Apple TV 4K」の新しさは、実は結構わかりにくい。まず内部のプロセッサは“A15 Bionicチップ”にアップデート。第2世代のA12から約40%高速化しつつ、筐体自体は小型・軽量化されWi-Fi+Ethernetで重量は214g。ただ、メディアストリーミング端末は元から小さいし、重量もあまり気にならないんですよね。

▲テレビ接続用のHDR対応フォーマットに“HDR10+”を追加

オーディオビジュアルの視点で見ていくと、従来から対応するDolbyVision&Atmosに加えて、“HDR10+”に対応というところがポイントになります(Amazonプライム・ビデオがHDR10+を採用)。

そんなマニアックな変更点はともかく、最新の「Apple TV 4K」は、操作画面も含めて、昨年までの「Apple TV 4K」との違いは大きいとはいえません。ただ、見方を変えて「スティック型端末など、他のメディアプレーヤーではなく、Apple TV 4Kを選ぶ理由がどこにあるか」と考えると面白さが出てくるんですよね。

▲初期設定はiPhoneにポップアップ画面が表示されてスムーズ

それは、セットアップを始める過程から現れています。この手のテレビ接続系デバイスの導入で面倒なポイントが、Wi-Fi接続やアカウント登録、パスワード入力といった部分。「Apple TV 4K」は手元のiPhoneとBluetoothを経由して連携する形でスムーズに進みます。

▲ホーム画面の最上位階層。これはアプリ導入済みのもの

ホーム画面にはデフォルトで「AppleTV+」「Apple Music」「写真」、そして「Apple Arcade」などのアプリが並んでいます。僕自身、Appleのサブスク「AppleOne(Apple Music・Apple TV+・Apple Arcade・iCloudストレージセットで個人プラン月額1200円)」を契約している程度にはApple信者ですが…さすがにiPhoneユーザーでも他社製アプリは必要です。

▲AppStoreからアプリ導入。W杯期間中だからAbemaがトップ

AppStoreにアクセスすれば、YouTube、Abema、Netflix、プライム・ビデオ、ディズニー+など必要なアプリがズラリ。そしてこの「Apple TV 4K」が届いたのは、W杯真っ只中の11月下旬。AppStoreのランキング1位はW杯を全試合無料中継しているAbemaアプリ。

▲“A15 Bionicチップ”搭載でレスポンスも高速

Abemaのアプリ起動時間は約2.5秒で、元からやや操作の重いUIもカク付くことなくゆったりと操作できるレスポンスは優秀ですね。

じゃあ「Apple TV 4K」が、単独で使って最高のメディアプレーヤーかというと、いくつか不満もありまして…。

付属リモコンは上下左右がフリックで誤操作しやすいし、ホーム画面のUI階層もいまだ迷ってしまうほど。それに、例えば「他社を見習ってYouTubeやAbemaのアプリへのダイレクトボタンがリモコンにあっても良いのでは?」と思うところも。ここらは、僕のAppleへの忠誠心が足りていないところかもしれません。

▲リモコンはSiriによる音声操作には対応

ただ、W杯を観戦していて便利だなと感心したのが、iPhoneでAbemaのアプリを開いて、そこからテレビに飛ばすという流れのスムーズさ。

▲iPhoneからのAirPlay2による操作前提なら結構便利

アップル純正のAirPlay2だから認識が超高速。そして「Apple TV 4K」からテレビはHDMI CESで電源連動するので、テレビ側の電源もスタンバイ復帰が働く。ちなみに、この使い方のみなら実のところ「Apple TV 4K」側にAbemaアプリは必要ありません。

それに最新機能というわけではないけれど、「Apple TV 4K」にはApple製品と連携する機能が他にもあります。

ひとつは“カラーバランス”という機能。

▲iPhoneのカメラと連携して色バランスを調整する“カラーバランス”

「Apple TV 4K」とiPhoneのカメラを連動させて、「Apple TV 4K」出力側の色補正を実施して、正確な色で出力してくれます。これはAV業界ではキャリブレーションと呼ばれ、数万円以上の機材が必要になるため、無料で使えるお得感があります。ちなみに、僕はDolbyVision対応のテレビに接続したため、この機能は不要と表示されました。

もう一つは”空間オーディオ”の対応です。

“空間オーディオ”というと音楽向けを想像する人が多いのですが、本当に利用価値が高いのはAppleTV+、Netflix、Disney+など映像サブスクでも超リアルなサラウンド機能として使えます。そして重要なのがハードウエア。iPhoneユーザーにとって定番のAirPodsシリーズが使えるわけです(今回使ったのは「AirPods Pro(第2世代)」)。

▲最新のミュージカル映画『スピリテッド』なんて、空間オーディオにするとまさに映画館

*  *  *

最初にも説明したとおり、テレビ向けのメディアプレーヤーにはスティック型端末が定番で、価格も数千円クラスで買えてしまいます。そんななか、Wi-Fiモデルで1万9800円、Wi-Fi+Ethernetモデルで2万3800円と高価格の「Apple TV 4K」の魅力となると、実は製品自体の出来の良さではないと思っています。

iPhone、AirPodsシリーズを持っていると、機能が広がっていく。これってAppleユーザーにとって、どんなスペックの強化よりも魅力的なことだと思いますよ。今回の検証を経て、W杯は「Apple TV 4K」でのテレビ観戦が確定しました(笑)。

>> Apple「Apple TV 4K」

 

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube「オリチャンネル」

 

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