マイナンバーカード(個人番号カード)を発行したものの「実際にどんなときに利用できるのか、よく知らない」という人はいるのではないでしょうか?
マイナンバーカードはすでにさまざまなビジネス現場で活用されています。
そこで今回は、一般社団法人官民共創未来コンソーシアムの官民共創データ利活用エバンジェリストである川崎浩充氏に、マイナンバーカードの活用事例やマイナンバーカードの今後についてご寄稿いただきました。
変化はもう始まっている
多くの人と「苦手だ」「面倒だ」と共感して盛り上がれる話題とは何でしょうか?
私は、書類作成・書類対応じゃないかなと思います。
もし「できることなら全部誰かにやってほしい発狂ものの作業ランキング」なんてものが昔からあったのなら、100年くらい首位を独占してきたんじゃないかと思うのですが、みなさん、いかがですか?
今日は、誰もが幾度となく直面するこの問題を、日本政府が力を入れて解消しようとしていることや、マイナンバーカードの普及がその鍵となっていることを、具体的なストーリーと共にお伝えします。
タイトルにもある通り、マイナンバーカードに関する話は、ビジネスの場にこそ必要な情報です。もっと言えば、忙しい社会人や、大切な人との時間も大事にしたいすべての人にこそ、役に立ちます。
変化はもう、あちこちで始まっています。国内最大手のドラッグストアで、月に1500件もの手続きミスが削減される見込みが発表され、病院や役所の手続きが劇的に短縮されたりする事例が出ています。
目が早い人だと、すでに何かしら恩恵を受けているかもしれませんね。
それでは、マイナンバーカードが具体的にどんなときに役立つのか、解説していきます。
Case1:在宅ワーカーの家庭で子どもが発熱したとき
マイナンバーカードは、在宅ワークで家事も仕事も立て込んでいる状況で、子どもの体調が優れないときに役立ちます。
例えば、子どもが発熱したときは「1秒でも惜しいのに、病院の受付はいつも時間がかかる」「ドラッグストアでお薬をもらうのにもさらに時間がかかる」「仕事の予定が次々先送りになる」などの弊害が生まれます。
やっと受付できると思ったら、子どもが急にぐずり出す。子どもの様子をみながら診断書を記入するだけで、どっと疲れる。帰る頃にはクタクタ。小さなことでイライラ。家庭がピリつく。あぁ、明日が思いやられる……。そんな経験をした人は多いのではないでしょうか?
こうした苦労は、今後なくなります。マイナンバーカードを専用のカードリーダーにかざすだけで、病院での受付が終了します。健康保険証提示が「5分」から「10秒」に短縮できるようになりました。
これまでは、新しく通う病院で保険情報を登録するときは、受付担当者に手作業で入力してもらうことが必要でした。
入力には、一人あたりおよそ5分の受付時間がかかり、手作業のためミスを完全に防ぐことは困難です。しかし、カード読み取りなら保険確認の所要時間はわずか10〜20秒で済み、正確性は万全です。
続いて、薬局での活用事例をみていきましょう。ドラッグストア最大手のウェルシアHD傘下のウェルシア薬局は、今年の5月末までに約1600店舗で、マイナ保険証を読み取る「顔認証付きカードリーダー」を導入しました。
従来だと、患者は薬局の窓口で、健康保険証を提出し、それを薬剤師さんが目で確認し、情報をシステムに入力していました。しかし、今回のカードリーダー導入により、マイナ保険証を顔認証できるカメラ付きの機器にかざすだけで、自動で保険診療のデータベースにつながるようになります。
これにより、手続きが大幅に短縮。薬剤師の負担も大幅に減り、当然人為的なミスも減ります。
何と、カードリーダー導入によって、導入店舗であるウェルシア薬局の約1600店舗にて、1か月あたりで合計1500件ミスが減るだろうという試算が出ているくらいです。
薬剤師のミスで手続きを一からやり直すということもなくなります。
Case2:新居に引っ越しして住所変更をするとき
会社に勤めるビジネスパーソンが新居に引越すときにも、マイナンバーカードは活躍します。
引っ越しの際は住所変更の登録のため、まとまった時間を取る必要があります。しかし、市役所は平日しか空いていません。結局、いつまで経っても都合がつかず、有給を消化する羽目に……ということが、今までの日本では当たり前でした。
しかし、もうすでに、マイナンバーカードを持っていれば行政手続きさえ一瞬で済むようになっているのです。
マイナンバーカードを取得すると、住民票の写しや各種課税証明書、印鑑登録証明書といった書類を役所まで足を運ぶこともなく、かんたんに取得できます。
取得方法はいたってシンプル。コンビニエンスストア等に設置されたマルチコピー機を、丁寧な案内に従って操作するだけです。当然、祝日・休日でも利用できます。
自治体によっては、自分のスマホからマイナンバーカードの各種証明書の取得が可能です。こちらは、新型コロナワクチン接種証明アプリでの証明取得の際に利用した人もいらっしゃるでしょう。
マイナンバーカードの今後
今回示した2つの事例に限らず、さまざまな場面でマイナンバーカードの恩恵が受けられるようになります。
総務省は、全力でみなさんの面倒な手続きを一掃しようとしているのです。
手始めに、総務省は2022年度中に、マイナンバーカードの電子証明書機能のAndroidスマートフォンへの搭載を実現するとのこと。iPhoneの方はもう少しかかるようですが、近いうちに実現されます。
出典:総務省
この「マイナンバーカードの電子証明書機能のスマートフォンへの搭載」がどう私たちを面倒ごとから解放してくれるのか?という点については、総務省が図にまとめています。
出典:総務省
ここで取り上げられている手続きを経験したことのある人なら、どれだけ時間がかかっていたかを覚えているのではないでしょうか?それらをすべて、劇的に楽にしてくれるのがマイナンバーカードです。
詳しくはこの図の引用元であるこちらから。
ちなみに、2024年度末には運転免許証としての利用も可能となる予定です。あらゆる場面でマイナンバーカードが使えるようになるのは、時間の問題です。
仕事・子育てで多忙な人にこそ必要なマイナンバーカード
デジタル社会の基盤として、生活のあらゆる場面において、スムーズで快適な手続きをサポートするマイナンバーカード。
子育ての最前線、社会の最前線で働く多忙な人にこそ、なくてはならない一枚と言えるでしょう。
「クリエイティブな仕事に集中したい」大切な人との時間をしっかり確保したい」
そんな人にこそ、マイナンバーカードが必須であることが、今回の記事で伝わったのではないでしょうか?
今回は業務効率化を中心に話を進めてきましたが、マイナンバーの本質は顧客IDであり、マイナンバーを活用した今後の行政サービスは、これまでの業務本位から顧客本位のものになっていくと考えられます。
今後、住民・顧客本位のサービスがたくさん登場することで、より加速度的にマイナンバーの取得率が上がり利用も増えるでしょう。
つまり、使う人が増えるほど、より便利になっていくということです。
今後も一般社団法人官民共創未来コンソーシアムは、各地域でのマイナンバー利活用好事例を発信していきたいと思います。
<著者プロフィール>
川崎 浩充
官民共創データ利活用エバンジェリスト
株式会社Public dots & Company金融系13年、IT系業務を13年経験し現在に至る。1社目のオリエントコーポレーションでは、2000年からpaymentビジネス営業・企画、ECモール運営など実施後、全社横断DXプロジェクト(加盟店軸のビジネスモデルから顧客軸のビジネスモデルへの変革)を推進。中期経営計画策定を実施後、顧客WEBサービス再構築、金融API設計及びAPI利活用ビジネスの立ち上げから専門部署設立までを遂行。大企業での経営決定プロセスと新規事業構築を経験。
2社目のデジタルガレージでは、新たなテクノロジー・デジタルによるDX事業や新規事業企画の推進と組織スケールを得意とし、ゼロから10年で年60億、100人の組織まで拡大させた実績を持つ。同時に複数の子会社役員の他、5年にわたって複数のスタートアップ支援、メンタリングを行い、次世代事業の創出にも注力。パブリック領域の新規事業部も設立を行う。
現在は官民共創における事業開発支援や民間データ活用による可視化領域などに従事。
- Original:https://techable.jp/archives/187001
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:はるか礒部
Amazonベストセラー
Now loading...