SUV人気が続いた2022年、新型プリウスが登場する2023年【クルマゆく年くる年】

ガソリン価格の高騰や半導体不足による生産の遅れなど、クルマを取り巻く状況は決して良いとは言えなかった2022年でしたが、クルマ自体は魅力的なモデルが数多く登場しました。

そしてそれは2023年も変わりません。「プリウス」を筆頭に多くのニューモデル投入が予定されています。そこで、2022年に登場し注目を集めたクルマを振り返りつつ、2023年デビュー予定のモデルに思いを馳せる、クルマ版のゆく年くる年をお送りします。

 

■SUV人気いまだ衰えず

2022年をひと言でまとめるなら「SUV覇権揺るがず」。10年近く前から始まったSUVブームも今やすっかり定着。乗り降りしやすく荷物も積めて、アイポイントが高く運転もしやすい。そんなメリットに多くの人が魅力を感じ、それを受けてメーカーもさまざまなモデルを投入しました。

▲他を圧倒する風格とハンパないポテンシャルを誇る「LX」

1月にはレクサスのフラッグシップSUV「LX」が登場。ジャブで牽制することなく、いきなりガツンと先制パンチをお見舞いします。その後はしばらく様子見が続くのですが、5月にはトヨタからバッテリー専用車、bZシリーズの第1弾としてSUVの「bZ4X」が登場(リースのみ)。

▲モーターで走る「bZ4X」の最大後続距離は約559km

7月には「クラウン」のワールドプレミアが行われ、さまざまなボディタイプが発表されましたが、その先陣を切って9月に登場したのがクロスオーバーモデル。同月には日産の新型「エクストレイル」やメルセデス・ベンツの7人乗りSUV(EV)「EQB」も登場しました。

▲「クラウン」は、セダン、エステート、スポーツより先に、まずクロスオーバーがデビュー

▲4世代目のエクストレイルは、電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」など先進のシステムを搭載

▲最大航続距離約520kmを実現した7人乗りのEV「EQB」

9月に入るとマツダが「CX-60」をリリース。さらに攻勢をかけていきます。

そして怒涛のラッシュとなったのが11月。スバルからは同社初となるコンパクトSUV「レックス」、レクサスからはフルモデルチェンジした「RX」、そしてフォルクスワーゲンからフル電動SUV「ID.4」がデビューしました。

▲「CX-60」はガソリン、ディーゼル、ディーゼルハイブリッド、PHEVなどパワーユニットのラインナップが豊富

▲「レックス」はダイハツからのOEMで、「ロッキー」やトヨタ「ライズ」の兄弟車。意外にもコンパクトSUVとしてはスバル初

▲5世代目となる「RX」は、新たな4WDシステム“DIRECT4”を採用。さらにPHEVモデルも導入している

▲「ID.4」の最大航続距離は約618㎞。「だから?」な話だが、ポルシェ 911と同じRRレイアウトを採用している

このように、2022年はSUVに始まりSUVに終わるといった、王者が貫禄を見せつけた年となりました。ただ一方で、新たな潮流が生まれた年でもありました。

 

■軽自動車の商品力が大幅に向上

ちなみに「2022-2023 日本カー・オブ・イヤー」の受賞車はご存知でしょうか? 今年は43回の歴史の中で、初めて軽自動車である日産「サクラ」と三菱「eKクロス EV」がダブル受賞したのです。

▲「サクラ」

両車は日産と三菱が共同開発したEVで、サクラには前走車への追突回避などをサポートする運転支援システム「360°セーフティアシスト」や、高速道路での渋滞時や巡航走行時にアクセルやブレーキ、ステアリング操作をアシストする「プロパイロット」などが設定されています。

▲「eKクロスEV」の上級グレードには、縦列駐車などをサポートする“マイパイロット パーキング”を設定

軽自動車という規格は、もともとクルマの普及のために国が定めたガラパゴス規格で、一般的な乗用車に比べ装備面で格下感があるのは否めませんでした。しかし2021年11月に軽自動車も含め緊急自動ブレーキの搭載が義務化されたこともあってか、先進装備を中心とした装備面は一般乗用車と遜色のないものになっています。

ちなみにサクラは5月の発表から、わずか3週間で1万1000台以上受注。この背景にはガソリン価格の高騰などといった要因も大きいと思いますが、軽自動車の商品力が大幅に向上したということの表れかもしれません。

 

■“見えない魅力”にこだわったセレナ

もうひとつ取り上げたいのは、ファミリーカーの代表的存在である日産の「セレナ」です。クルマの良し悪しを判断する基準として挙げられるのは、燃費や馬力、荷室の広さといった数値や目で見えるものが一般的です。

しかしセレナが訴求したのは、静粛性や快適性といった目に見えないものでした。子どもが乗っても酔いにくい、家族が心おきなく会話を楽しめる(静粛性が高い)、見晴らしが良く開放感があるといった実際に乗ってみないと分からないような点を徹底的に追求し、商品化しています。

こういった目に見えない部分は魅力が伝わりにくいのですが、それでも訴求ポイントとしたのは、クルマの売り方としても新たな潮流ではないかと思います。

 

■2023年はプリウスが目玉!でもSUVは変わらずアツい!

ゆく年に対して、くる年はどうなのか。これはもうやっぱり「プリウス」ですよね。日本に“エコカー”という存在や価値を知らしめたハイブリッドカーの元祖です。11月に新型が発表され、現時点でグレード構成や装備の詳細は明かされていませんが、2023年上半期の目玉といえる存在です。

パワートレインは、1.8Lと2.0Lエンジンを搭載したハイブリッドに加え、新型にも2.0Lのプラグインハイブリッド(PHEV)が用意されるようです。

他方、SUVラッシュは2023年も続きます。ホンダからはブランニューSUVとなる「ZR-V」が4月に登場予定。ちょっと国産車っぽくないというか、これまでのホンダのデザインとも少々異なる印象のSUVです。

▲エンジンは1.5L直噴ターボに加え、ハイブリッドモデルには「CIVIC e:HEV」に搭載される2.0L直噴エンジンを搭載する「ZR-V」

登場月はまだ未定ですが、スバルからは都市部からアウトドアまでシーンを選ばず活躍するクロスオーバーSUV「クロストレック」が登場予定。シンメトリカルAWDを基本としたガチの走破性を誇り、未舗装路などにもガンガン入っていけそうです。

▲優れた走破性を備える一方、新世代アイサイトに広角単眼カメラを組み合わせるなど、安全性も大幅に高まっている「クロストレック」

クルマは見ても乗っても楽しいものですが、アレ欲しいなぁコレ欲しいなぁと妄想するのもまた楽しいもの。世界的なEVシフトが進む中、2023年に話題をさらうのは、はたしてどのクルマになるのでしょうか。

 

<文/金子剛士(GoodsPress編集部)>

金子剛士|クルマのドレスアップ誌から中古車情報誌の編集部を経て、現在はモノ情報誌『GoodsPress』編集部所属。クルマやバイクといった自分で動かす乗りものが得意分野。DIYなどの手仕事も好きではあるが、絶望的に不器用。好きなものは昭和プロレス、嫌いなものはサランラップ。

 

 

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