マルチツールでこじ開けろ! 困難を打開する“小さなバールのようなもの” OLIGHT「Opry」

【男前マルチツールの世界】

マルチツール。それは、手に収まるほどのコンパクトなボディにさまざまな道具を詰め込んだ“ハンドツール”。とかく専用ツールに比べ「間に合わせ」と思われがちですが、そこにはマルチツールだからこそ味わえる奥深い世界が存在します。そんなマルチツールの男前な魅力を紹介する連載第29回は、OLIGHT「Opry(プリー)」(公式サイト価格:5595円)です。

OLIGHT(オーライト)はフラッシュライト(懐中電灯)の専門ブランドとして界隈では人気のブランドです。中国製のライトでは高級ブランドというポジションで、ネット通販を中心に流通しているので、高性能の懐中電灯を探していると簡単に見つけられます。最近は懐中電灯に限らず、自転車用ライト、キャンプ用品、そしてナイフ、ハンドツールなどの関連のアイテムもリリースしていて、北米を中心にセールスを展開しているので、全体的にアメリカ人が好きそうなアイテムが多いという印象です。

 

■12種のツールを搭載

「小さなバールのようなもの」

それが今回紹介するアイテムを形容するに最もふさわしい言葉です。

▲チタン製の軽量バーツール 重量55g

全長117mm、全幅21mm、厚さ6.3mmのチタンプレート。12種のツールをこの小さなバールのようなものに備えています。

▲持ちやすく携帯しやすい絶妙なサイズ感

作りは非常に精緻。こう書くと「ただのチタンのプレートが?」といぶかしく思う人もいるでしょう。ですが、実際に手にすると分かります。面の取り方、仕上げ研磨、レーザーで刻まれたスケール(測り)の手触りetc. 今まで手にしてきたこの手のツールでは段違いに良いんです。

 

■各ツールの詳細

▲裏面には4mmサイズのビットを2本収納

ビットを固定する回転式プレートを水平にするとビットを取り出せます。ビットはステンレス製で、プラスとマイナス、星形のT6とT8のトルクスの2種類。日本では星形トルクスはあまり使われていませんが、北米ではポピュラーなネジのようです。

▲テール部に4mmの六角レンチ

お尻にあたる部分にビットを挿して使用します。レンチ内部にはバネ式のストッパーがあるので確実にビットを保持してくれます。すごく細かな小技ですが、素晴らしい心配りですね。

▲ビットの精度は良好

ストッパーのおかげでトルクがかけやすく使いやすい。もちろん、ビット側を下に向けても自重で落ちることはありません。

またプレートに設けられた4mmレンチ部分にビットを挿しても使えるので、トルクをかけたい時に便利です。結構きっちりと力を入れることができますが、こちらにはストッパーはないのでビットの紛失には注意。

▲14mm レンチ

プレート中央にはマルチレンチが付いています。最大で14mmのボルトに対応。4点支持で使えるのは14mmのみですが、適合性はかなり良好。持ちやすい棒状のデザインであることも使いやすさに寄与しています。14mmのレンチの前にある小さなレンチはM6(6.35mm)です。

14mm以下のボルトにも使えなくはないですが…2点支持になるのであまりおすすめはできません。緊急時にこれしかレンチを持っていなかった時に使える程度と考えておくといいかも。

▲スケール(定規)

インチとセンチのスケールが側面にあります。

先述しましたが、レーザーによる深い刻印は視認性が良く、触るとスケールの凹凸を指先で感じられます。年齢を重ねるごとに細かい文字が見え難くなるのは自然な加齢だと諦めています。文字が小さいのは致し方ないですね。

▲小さなバールなので缶の蓋開けは得意分野

バールの先端の厚みは約1.2mm。幅は21mmとこの手のバーツールとしては幅広なので、ちゃんとバールとして使えます。いかせんチタン合金製なのでステンレスに比べると柔らかい素材になりますが、厚みが充分にあるので脆弱さは感じません。

▲力技で段ボールカッターとしても

 

■「どう使うか」「何に使うか」はあなた次第。それがマルチツール

「何かをこじ開ける」という行為は、専用の道具を持たない人がその状況を打開する行為のひとつです。専用品を使ってスマートに仕事をこなす人と、あるものを使って何とかしのぐ人、それぞれ考え方、行動に違いがあります。

日本でマルチツールがアメリカほど普及していない理由は、銃刀法など法的な制約が大きいと思われがちですが、一番の違いはマインドだと思います。

簡単に物品や資材が調達できる場所ではなく、隣町まで数百キロの僻地に住んでいたら「あるもので何とかしなければ」と考えるのは自然なことだと思います。アメリカにはそういった町がいくつもあり、そのような場所では、マルチツールの所有率が高いと言われています。マルチツールがアメリカで普及した理由のひとつにそういった地理的な要因もあるのではないかと思います。

マルチツールについたバール、または幅広のマイナスドライバーは、あらゆる「ラフな使い方」に多用されます。まさにマルチツールらしいツールのひとつです。

「正しい使い方」を知りたがる人がいますが、マルチツールに「正しい使い方」は実は無いのです。実際、このアイテムには「取扱説明書」は添付されていません。付属として付いているのはランヤードの切れ端のみ。

「どう使うか」「何に使うか」、それはあなたが考えること。その状況を想像して手にしてみるのも楽しいと思います。

>> OLIGHT

 

>> [連載]男前マルチツールの世界

<取材・文/GOL>

GOL|歯科技工士、ECディレクター、webライターまで幅広く活動しております。指先に伝わるハンドツールの質感や重さ、音などアナログな部分に惹かれて今に至ります。一番好きなのは懐中電灯。

 

 

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