Snapdragon 8 Gen 2がiSIMを搭載〜iSIMとeSIMの違いとは

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Qualcommが、かねてから開発を進めてきた「iSIM」を、同社が開発するシステム・オン・チップ(SoC)Snapdragon 8 Gen 2モバイルプラットフォームに搭載していることを明らかにしました。
 
iSIMとは「Integrated SIM」の略であり、SIM機能を統合したプロセッサを指します。

Snapdragon 8 Gen 2はGSMA認定のiSIMを搭載

Qualcommは、サイバーセキュリティ企業Thalesとともに、スペイン・バルセロナで開催されたモバイル通信技術の世界最大の展示会「MWC Barcelona 2023」において、ハイエンドスマートフォン向けのSoC、Snapdragon 8 Gen 2に、iSIM機能を搭載することを明らかにしました。
 
同時に両社が取り組むiSIMが、標準化団体GSMAによるセキュリティ認証を受けたと発表しました。この認証はiSIMが、最新世代のeSIMと同等の高いセキュリティ水準を満たしていることを意味します。
 
QualcommはSnapdragon 8 Gen 2が、GSMA認証を受けたiSIMを搭載する世界初の商用製品になると述べています。
 
Qualcommは数年前よりiSIMの開発に取り組んでいます。2022年1月にはVodafone、Thalesと共同でiSIMの実証実験を行いました。

物理SIM、eSIM、iSIMの違いとは

スロットカード必須の物理SIMからeSIMへ

あらためてiSIMとは何で、eSIM、そしてSIMカードとは何が違うのでしょうか。
 
SIMといえば、従来はカード形状の物理的なSIMカードが主流でした。これはスマートフォンのスロットに挿入する必要があり、を変更する時などには新たなSIMカードと交換しなければなりません。またスマートフォン本体にはスロット分のスペースが必要です。
 
一方iPhoneを含め、最近急速に普及が進んでいる「eSIM(embedded SIM。組み込み型のSIM)」は、スマートフォン内に予め実装された小さなチップ形状のSIMです。最初からスマホに内蔵されているので、カードスロットが不要です。
 

米版iPhone14シリーズはeSIMオンリーモデルに

iPhoneでは2018年発売のiPhone XRとiPhone XSで初めてeSIMが導入されました。2021年発売のiPhone13シリーズはデュアルeSIM対応となり、現行の最新モデルである2022年発売のシリーズは、アメリカ販売版のみではありますが、物理SIMカードスロットが廃止され、eSIMのみに対応するモデルとなっています。
 
eSIMは物理SIMと異なり、機種変更やキャリアの変更などの場合にもわざわざSIMカードを交換する必要がなく、リモートでの情報書き換えが迅速、簡単に行えます。
 

小型、低コスト、低消費電力のiSIM

ではiSIMとは何かというと、eSIMのようにSIM機能を持つ別のチップを用意するのではなく、CPUやGPUを集積するSoCに、SIM機能も組み込んでしまおう、という技術です。
 
iSIMは必要な部品数が少なく、占有面積が小さいため、基板の小型化やコスト削減につながり、スマートフォンのさらなる小型化にも貢献すると見られています。またiSIMはeSIMに比べて大幅に消費電力が少ないため、スマートフォンなどのモバイルデバイスだけでなく、モノのインターネット(IoT)デバイスへの搭載(通信機能をもたせることができる)も期待されています。
 
iSIM

 

安全性の高いeSIMとiSIM

eSIMそしてiSIMには、SIMカードよりもセキュリティが高いというメリットがある、と前述のThalesはプレスリリースにおいて述べています。
 
SIMカードは取り外しが可能なため、紛失や盗難の危険性があります。SIMカードが盗難にあった場合、セルラーネットワークに勝手にアクセスされてしまうばかりでなく、個人情報流出の危険性もあります。
 
一方eSIMやiSIMの場合はスマートフォンなどのハードウェアに直接実装されているため、SIMそのものの紛失や盗難のリスクはありません。
 
なお、今回QualcommとThalesが、iSIMが最新世代のeSIMと同等の高いセキュリティ水準を満たしていることがGSMAから認定されたと発表したように、eSIMとiSIMの安全性は同等だと、Thalesは説明しています。

eSIMとiSIMの今後

物理SIMが今後はeSIM、そしてiSIMと移行していくのは確実でしょう(時間はかかると思われますが)。
 
Thalesは最新調査として、2025年までにはiSIMを搭載した家電およびIoTデバイスの数は2億台にのぼると記しています。
 
また調査会社Kaleido Intelligenceの市場予測によれば、iSIMは既存のSIMカードやeSIMを補完する存在として普及し、2027年までには3億台のiSIM搭載製品が市場に流通、eSIMの出荷全体の19%を占める見通しとのことです。

 
 
Source:Qualcomm, Thales
(lunatic)


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