浜松ホトニクス株式会社(以下、浜松ホトニクス)は、高輝度大型ハドロン衝突型加速器(以下、HL-LHC)実験で使用するアレイディテクタの開発と量産体制の確立に成功しました。今回開発したアレイディテクタの大きさは8インチピクセルと、HL-LHC実験で用いられるCMS実験装置では世界最大となります。
過去最大のサイズを実現
8インチピクセルアレイディテクタは、現在販売されているフォトダイオードアレイのなかでは過去最大のサイズを誇る製品です。
同製品は、ガンマ線や電子などの放射線のエネルギーを測定する高エネルギー物理学領域で使用されます。これまでの製造プロセスを見直し、ウエハ上に形成する膜の厚さや不純物の濃度などの均一性を高めた結果、従来モデルからPDアレイの面積を約2倍まで大型化することに成功しました。
同製品は、スイス・ジュネーブで欧州合同原子核研究機構(CERN)が準備を進めているHL-LHC実験にて使用される予定。2月27日(月)より本格供給が開始され、2025年の夏ごろまでに2万7,000個を納入する方針です。
CERNが大面積化を要請
HL-LHC実験とは、ヒッグス粒子の精密測定や未知の物質であるダークマターの探索などに向け、陽子同士の衝突頻度をLHC実験より高めた実験です。
衝突頻度を高めることでより多くのデータを得ることができますが、発生する放射線のエネルギーが従来よりも高くなるため、エネルギーを測定するためのPDアレイには高い放射線耐性が要求されます。
浜松ホトニクスは高放射線耐性で直径が6インチのウエハからひとつだけ作ることができる大面積のPDアレイの試作に成功しましたが、デッドスペースやコストを削減するため、CERNから大面積化を求められており、今回の開発に至りました。
浜松ホトニクスについて
浜松ホトニクスは1953年に創業した企業。光電子増倍管やフォトダイオード、レーザ、LED、計測用ランプといった製品の開発・製造を行っています。2012年にCERNによって実施され、ヒッグス粒子を発見したLHC実験には、同社の光電子増倍管(PMT)や、アバランシェフォトダイオード(APD)などが使用されました。
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000081184.html
(文・S.Inosita)
- Original:https://techable.jp/archives/198137
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:井上智文
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