【達人のプラモ術】
アオシマ
1/350 サンダーバード3号&発射基地
04/04
さて、今回は前回完成したサンダーバード3号(以下 TB-3号)と格納庫に電飾を組み込んで、3号の発進シーンを再現。発光ギミックを組み込んだことで、リアルな格納庫のディテールがさらに引き立ちます。リチウム電池と一体のLEDを使用することで面倒な配線もなし、誰でも簡単に電飾ギミックを楽しめます。(全4回の4回目/1回目、2回目、3回目)
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube「
モデルアート公式チャンネル」でもレビューを配信中。
■エンジンに発光ギミックを搭載
前回は製作した格納庫に白色のミライト(LED付きリチウム電池)を組み込んで壁面の照明を再現。いかにも地下格納庫といった雰囲気が再現できました、さらにTB-3号のエンジンには赤色のミライトを組み込んでロケットエンジンを発光させました。以前製作したロケットのアーク号でも同様にLEDでロケットエンジンを発光させたのですが、イマイチ目立たなかったので、今回はガッツリと発光させて、TB-3号の発進シーンを再現していこうと思います。
使用したミライトはコンパクトサイズ(直径3ミリ、長さ約16ミリ)で、通常のLEDでありがちな、抵抗をハンダ付けするといった必要がないのもありがたいです。電池交換はできませんが点灯させたままでも6~7時間発光してくれます。
▲エンジンにはミライト435R(赤色)を使用
▲噴射口を開口したエンジンにミライトを差し込んで固定。交換時のことを考えて接着はしない
▲エンジン3基にミライトを取り付けた状態。スイッチのオンオフはミライトを引き抜いて行う
■リフトオフ!的な発進シーンを作る
今さら言うまでもなくTB-3号は宇宙用ロケットなので、格納庫の発射台からドドドッと飛び立っていきます(これがまたカッコ良いんですヨ)。そこで作例は、TB-3号が発射台からリフトオフ(打ち上げ)したシーンを再現してみました。
TB-3号のロケットエンジンは3枚の翼の先端に取り付けられており、そこにLEDを組み込んでいるので、本体下部の乗降用ハッチ部分に直径5ミリの透明プラパイプを貫通させてベースに接着。機体を支えるようにしています。パイプはプラ棒より剛性があるので機体が揺れずに済みます。機体は発射台から10センチほど上昇した状態で固定しています。
または白煙を再現するための綿を支えるために、3基のエンジン部分が収まる部分にも2ミリの透明プラ棒を取り付けておきます。
▲打ち上げシーンを再現するために、TB-3号の後端に穴を開けて直径5ミリの透明プラパイプ(機体の固定用)を差し込む
▲打ち上げ台のエンジン台には、噴射炎再現用の綿を支える2ミリの透明プラ棒を取り付けておく
▲機体固定用のプラパイプをベースに接着、TB-3号を固定した状態
■ロケットエンジンンの噴射炎を再現
LED付きリチウム電池のミライトは当初エンジン内部にすっぽりと収めていました。これでもかなりの光量があったのですが、TB-3号の発進シーンを動画でチェックしたら、ロケットエンジンの噴射口からかなりの噴射炎が出ているんですよ。これは再現しないとアカン! ということで、LEDの発光部分に鉛筆のキャップよろしく、赤いカバーを被せて噴射炎としてみました。ミライトは釣りの浮きとして使用するため、軟質樹脂性のカバーが付属しているので、それを使用しています。カバー付けた状態で発光させると、バッチリ良い感じになりました。
▲ロケットエンジンの噴射炎を再現するため、ミライトのLED部分に付属している軟質樹脂のカバーを接着
■煙といったら綿でしょう!
ジオラマで煙の再現には綿を使うのが一般的で、今どき綿ですかぁ?なんてことも言われるアナログ素材ですが、形のつけやすさや扱いやすさ、さらにコスパも良くて、煙の再現は今のところ綿に勝る素材はないかなと思います。
綿は適当なサイズにちぎって使用するのですが、単体では自立してくれないので、機体を固定している透明プラパイプと、ロケットエンジンの噴射口に取り付けたプラ棒を隠すように巻きつけて樹脂ボンドで固定します。
劇中の発射シーンでは思いのほか白煙が目立たないというか、あっと言う間に上昇してしまうので(発進シーンであまり煙を出すと3号自体が見えなくなってしまうからではないかと)、作例では白煙を多めに、なんたってロケットの打ち上げなので出血大サービスで白煙を盛っております。
▲使用したのは100均ショップで購入した手芸用の綿。柔らかい繊維でちぎっても形がつけやすい
▲今回は白色のまま使用したが模型用塗料で着色も可能
▲適当なサイズにちぎった綿をベースに取り付けたプラ棒が見えなくなるように巻きつけながら、いかにも噴射煙に見えるように広げていく
▲広げながら「ボンド Gクリヤー」で接着固定
▲綿を使った噴射煙を接着したあと、TB-3号を取り付けてみてみた状態。この時点で煙(綿)の形状が不自然にならないように調整する
■完成! TB-3号リフトオフ!
完成したモデルは、LEDを点灯させていない状態だとイマイチ打ち上げシーンの迫力が感じられないのですが、点灯させたらこれがかなり良い感じになりました、白煙の中に伸びる噴射炎が良い感じに効いております。
TB-3号のジオラマキット自体の完成度の高さもありますが、LEDを使っての発光ギミックを追加することで、サンダーバードの世界観を再現した作品に仕上がったと思います。
▲LED部分に追加したカバーがリアルに噴射炎を再現
▲発射シーンを上からの俯瞰で。このアングルは迫力満点。壁面のライトを再現した白色LEDも良い雰囲気を演出してくれている
個人的にもお気に入りの作品になりました。また機会があればTB-2号のコンテナドックやペネロープ号も作ってみたいですね。
それでは次回もお楽しみに!
■こんなサンダーバードプラモありました
サンダーバードに登場するメカの中でも特別な存在と言えば、救助隊のロンドンエージェントとして活躍したレディ・ペネロープ(CV:黒柳徹子)の愛車スーパーロールスでしょう。
鮮やかなピンク色のボディはガスタービンエンジンを搭載して、前4輪、後2輪にグラスキャビンというスタイルが目を惹きました。そしてロールスロイスを象徴する大型フロントグリルには機関銃と機関砲を装備。水上走行も可能なスーパーロールスロイスイマイのペネロープ号のプラキットは、当然ながら当時プラモデルも発売されていました。1967年に販売され、2002年のイマイの倒産まで発売されていたロングセラーキットでもあります。
面白いのが、ペネロープ号といえばボディカラーはピンクなのですが、イマイが1974年に再販した際には、ボディカラーがボックスアートを含めて青にされていたんですね。
これには諸説あるのですが、当時イマイの社長が「ピンクは男の子に不人気だから青に変えよう」ということで、青いペネロープ号が発売されたということらしいです。
ペネロープ号は現在サンダーバードシリーズを発売しているアオシマからも発売されていますが、2022年12月にペネロープと執事兼運転手を務めるパーカーのフィギュアを追加したバージョンが発売されました。車体はもちろんピンクですよ。
▲キットが青になったことでボックスアートも小松崎茂画伯により青いボディで描き直されたペネロープ号
▼FAB1「レディ・ペネロープ」「パーカー」フィギュア付き
スケール:1/32
アオシマ文化教材社
4950円
現在アオシマから発売されているフィギュア付きFAB1ペネロープ号。キット自体はイマイの金型を使ったモデルで、新たにレジン製のフィギュア2体が追加されている。
Thunderbirds TM and (c) ITC Entertainment Group Limited 1964, 1999 and 2020.Licensed by ITV Ventures Limited. All rights reserved.
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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- Original:https://www.goodspress.jp/howto/522031/
- Source:&GP
- Author:&GP
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