元チップ開発責任者への訴訟、Appleが突然取り下げ

ジェラルド・ウィリアムズ 訴訟 apple qualcomm
 
社内での立場を利用して創業準備を進めていたのは裏切り行為だとし、Nuvia創業者のジェラルド・ウィリアムズ氏(画像中央の人物)をが訴えていた件で、訴訟の取り下げがApple側から申し立てられたことが判明しました。

取り下げた理由は不明だが

Appleが訴えていたのは、iPhoneやiPad向けチップ(A5〜A12X)のデザインを統括していたジェラルド・ウィリアムズ氏です。
 
訴訟は2019年から続いていましたが、先日になって突然、Appleが同氏への訴訟を取り下げるべく、米カリフォルニア州の裁判所に申請書を提出していたことが分かりました。取り下げた理由は明らかにされていません。

2019年から続いていた訴訟

ジェラルド・ウィリアムズ氏は2010年にAppleへ入社しましたが、2019年には独立してNuviaを立ち上げます。残る2人の共同創業者も、Appleの元社員です。Nuviaは2021年、Qualcommに14億ドル(約1,910億円)で買収されており、次世代チップのSnapdragon 8 Gen 4もNuviaの技術が活用されていると噂されています。
 
これだけの大物が去っていったのを、Appleが手放しで喜べるはずがありません。
 
Appleは、ウィリアムズ氏がまだ在籍していた2018年当時からNuviaの設立準備を始めていたと主張、社内の情報を不当に利用していたとし、2019年に契約法違反で訴訟を起こしました。

Qualcommを気遣った可能性も

訴状では具体的に、ウィリアムズ氏が採用候補者とのやり取りについて、Appleに見つからないよう、意図的に文面ではなく電話を使ったり、他人を使っていたりしたことが記されています。さらに同社の言い分では、チップデザインもNuvia設立を見越して巧妙にコントロールされていたのだそうです。
 
これに対しウィリアムズ氏は、このような契約に法的拘束力はなく、反競争的だと反論していましたが、Appleの主張を聞いている限りでは、同氏に非があるようにも思われます。
 
それだけに今回の動きは不可解ですが、Appleが訴訟を取り下げた可能性の一つとして、Nuviaを買収したQualcommとの関係を悪化させたくないという思惑があるのかもしれません。2023年秋に発表が噂されるにも、Appleの自社開発モデムではなく、Qualcommの5Gモデムが採用されると考えられています。
 
 
Source:Bloomberg via AppleInsider
(kihachi)


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