ディテールの塗装を終え、いよいよデカール貼りに突入!【達人のプラモ術<F-4JファントムⅡ ブルーエンジェルス仕様>】

【達人のプラモ術】
造形村
1/48 F-4JファントムⅡ
ブルーエンジェルス仕様

03/06

3回目はブルーエンジェルスの機体色であるMr.カラー「328番(ブルーFS15050)」で塗装した機体の細部塗装。そして飛行機もモデル製作におけるお楽しみでもあるデカール貼りを進めていきます。(全6回の3回目/1回目2回目

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube
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■イエローラインは塗装で再現

前回ブルーの塗装を済ませた機体の主翼端、水平尾翼端、垂直尾翼端の3カ所にMr.カラー「329番(イエローFS13538)」を使い、イエローラインの塗装を入れていきます。

今回使用しているミルスペック社製のデカールは翼端のイエローラインもデカールで再現できるようになっていますが、翼端は形状的にデカールが貼りにくいため、あえて塗装で仕上げたワケです。

幸いMr.カラーとデカールのイエローの色調にほとんど違いがないので、仕上がりに違和感は出ません。またイエローの塗装は発色を良くするために、必ず下地に白を塗装する必要があります。

▲翼端に塗装されている黄帯はデカールが貼りにくいので塗装で再現。黄色の発色を良くするために、下地色としてツヤあり白を塗装する

▲白の下地色を乾燥させた後、Mr.カラー「329番(イエローFS13538)」を塗装。黄色は隠ぺい力が弱いので最低3回は塗り重ねる

▲主翼上下面の黄帯の塗装が完了

▲垂直尾翼の先端も同様に塗装で再現。後端に後方警戒レーダーのふくらみがあるのでデカールでは綺麗に張ることが難しい部分

 

■機体後部の塗装

F-4ファントムは機体後部のジェットノズル周りが無塗装の耐熱金属で覆われており、外観上の特徴になっているので、それを塗装で再現していきます。

無塗装の金属感を強調するために、まず下地をツヤあり黒で塗装。そこに黒×シルバー×茶×ゴールドで調色した耐熱金属色をエアブラシで塗装し、さらに一部(水平尾翼付け根)をシルバーで塗装して、ナチュラルメタルの質感を再現していきます。

塗装はベタ塗りするのではなく、下地の黒をわずかに残すようにすることで、より焼けた金属感(チタン)を強調。塗装後にリアルタッチマーカーのブラウンとグレーでパネルごとにグラデーションを入れて仕上げています。

この特徴的なエンジンノズル塗装が仕上がると、ファントムらしさが120%増しになるのでモチベーションがぐっとアップします。

▲F-4ファントムの機体後部の特徴でもある無塗装部分を再現するための作業。塗装がはみ出ると修正に手間がかかるので、しっかりとマスキングを施しておく

▲マスキングが完了したら金属色再現のために下地をツヤありの黒で塗装する

▲調色したダークシルバーでチタン素材の部分を塗装

▲続いて、やや明るいシルバー部分(アルミ合金)を塗装

▲乾燥後、リアルタッチマーカーでパネルラインにスミ入れとウエザリングのグラデーションを入れることで、特徴的なディテールを強調している

 

■銀ラインの塗装

ブルーエンジェルスのファントムは主翼前縁と垂直尾翼前縁部分が磨き上げられたシルバーとなっているので、ここも塗装で再現(金属感の強いMr.カラー「8番(シルバー)」を使用)。

機体はインテーク(空気取り入れ口)のリップ部分もシルバーなのですが、写真等を見るとクロームメッキ的な質感なので、ここはフィニッシュシートを貼り込んで再現してみました。きらりと輝くインテークリップがブルーの機体に映えて良いアクセントになります。

▲主翼前縁をMr.カラー「8番(シルバー)」で塗装

▲同じく垂直尾翼もMr.カラー「8番(シルバー)」で塗装

▲インテークリップ部分はクロームメッキの質感を強調したかったので、ハセガワ製ミラーフィニッシュシートを細くカットして貼り込んでいる

▲ハセガワ「ミラーフィニッシュシート」(1100円) 曲面に追従するシート。真空中で金属を加熱・蒸発させ、薄い膜としてフィルムに付着させる「金属蒸着」という技術を使った柔軟な特殊フィルムなので、曲面への貼り込みが可能。塗装では難しいクロームメッキの質感を再現できる

▲翼端の黄帯と前縁のシルバーとノズル周りのメタルカラーの塗装が完了。ここからデカールを貼っていく

 

■デカール貼り(前編)

機体の基本塗装が完了したら、いよいよお楽しみのデカール貼りです。

ミルスペック製のデカールは、ブルーエンジェルスファントムのイエローで塗装されている部分をすべてデカールで再現できるようになっています。ただし先にも書いたように、翼端部分のみは、デカールではなく塗装で仕上げています。

プラモデルの製作では、デカールを貼っていくと一気に完成に近づいていくのでモチベーションがさらにアップするのですが、今回は正直苦労させられました。

デカールは発色も良くブルーの上に貼っても透けることがないのですが、フィルムがとても薄く破れやすいので、扱いに気を遣わされました。機体上面のイエローラインは大判のデカール2枚を左右合わせで貼り込んでいくのですが、台紙から機体にスライドさせた時点で4つに切れてしまい、修正に手間がかかりまくった次第です(泣)。

また、乾燥後もフィルムが脆く、簡単に欠けてしまうので、修正に苦労させられました。タッチアップ用の予備デカールが用意されているので修正では助かりましたが、さもありなんといった感じです。今にして思うと翼端部分を塗装に置き換えて正解でした。

またインテーク両側のBlue AngelsのロゴやUS.NAVYのロゴも、デカールを台紙から持ち上げると簡単に丸まってしまうので、台紙から機体側に慎重にスライドさせて貼り込む必要があります。こちらは予備がないので切れたらアウト!とヒヤヒヤものでした。

さらにエンブレムと機体番号などは、版ずれを防ぐためか一度白で印刷されたものを貼って、その上からイエローで印刷されたデカールを重ねることで発色するようになっており、これをズレないように貼るのにも神経を使わされました。

貼り込みにはリニューアルされたMr.マークセッターを使用しています、従来品に比べて乾燥後に糊の成分が白く残らないのが特徴で、かなりありがたかったです。

▲機体上面に貼る黄色のストライプは左右合わせで再現するが、フィルムが薄く硬いので機体に貼ったのち、4つに切れてしまった

▲左右インテークにBlue Angelsのロゴが入るとぐっとモチベーションがアップ!

▲エンブレムは版ずれ防止のために、下地に白で印刷されたデカールの上から黄色のデカールを重ね貼りする。これで黄色が鮮やかに発色するのだが、ズレないように貼るのがなかなかに大変

▲機体上面のみだがデカール貼りが完了。塗装途中の水平尾翼とキャノピーを仮組みした状態。ブルーエンジェルスらしくなった

▲「Mr.マークセッター」(308円) この4月にリニューアルされたMr.マークセッター。デカール貼りには欠かせないアイテム。デカールを軟化させ、さらに糊の成分でデカールの定着性を向上させる

今回は、機体上面のみにデカールを貼り込んでいます。機体下面は大判のライン、さらにBlue Angelsのロゴが脚カバーにかかるため、その部分を事前にカットしておかなくてはいけない等、このデカールの扱いにくさを考えると、(予備もないし)貼り込み作業にじっくりと取り込むべきと判断したからです。

苦労はさせられたものの、単純な性格なので、イエローのラインとBlue Angelsのロゴマークは入った機体を前に速攻苦労を忘れて「いやぁやっぱりブルーエンジェルスのF-4は最高にカッコいいわ!」とモチベーションが大幅アップしています!

▲ブルーの機体に映えるイエローのUS.NAVYのロゴが最高!

次回はデカール貼り(後編)とクリアーのオーバーコート塗装で、さらに機体をピカピカに仕上げていきます。お楽しみに!

 

■現在ブルーエンジェルスで使われているF/A-18E

今回製作しているのは70年代に使用されたF-4JファントムⅡですが、その後採用されたA-4スカイホークを経て、1986年のブルーエンジェルス設立40周年記念式典の際にマクドネル・ダグラスF/A-18 ホーネット(レガシーホーネット)に機種改変。そして2021年には、アメリカ海軍の第一線に配備されているF/A-18Eスーパーホーネットに変更されています。

ファントムと比べてひと回り大きい機体なので、アクロの演技も迫力満点。また部隊設立以来、初となる女性パイロットの採用などもあってF/A-18Eスーパーホーネット・ブルーエンジェルス仕様もぜひプラモデルで作ってみたいと思うのであります。

▲Blue Angelsカラー塗装されたF/A-18Eスーパーホーネット © 2023 USN Blue Angels https://www.blueangels.navy.mil/

 

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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