2023年第1四半期(2023年1月〜3月)における世界スマートフォン出荷台数、売上高、利益を調査会社Counterpointが発表しました。世界的な景気減速の影響を受けスマートフォンの出荷台数が前年同期比14%減と落ち込む中、長期間使える端末を選ぶ傾向が強まったこともあり、Appleは出荷台数の落ち込みが小幅でした。iPhoneが世界的不況にも強い理由をCounterpointが分析しています。
Apple、シェアトップの座をSamsungに明け渡す
Counterpointによると、2023年第1四半期(2023年1月〜3月)における世界のスマートフォン出荷台数は2億8,020万台で、前年同期比14%減、直前期比7%減となりました。
Apple(iPhone)の出荷台数は5,800万台で、前年同期の5,900万台から2%ほど減少しています。Appleは2022年第4四半期には7,000万台を出荷してSamsungを抜いていましたが、前年同期比19%減ながらも6,060万台を出荷したSamsungに首位の座を奪い返されています。
世界的景気減速で、消費者は長持ちするスマホを求める傾向
2023年第1四半期のスマートフォン市場の冷え込みについてCounterpointのシニアアナリストであるハーミート・シン・ワリア氏は、2013年以降で最も不調だった2022年のホリデーシーズンの落ち込みが続いていると指摘し、その要因として中国市場の回復が遅れていること、相次いだ金融機関の破綻などによる先行き不透明感が、消費者心理に影響したのだろう、と分析しています。
さらに、消費者が買い替えの頻度を落とし、長期間使えるスマートフォンを選ぶ傾向が強まったことから、主要スマートフォンブランドの在庫量が増え、各ブランドが新製品の供給を絞ったことも影響した、とみています。
出荷台数が減っても利益と売上高が安定しているApple
以下の3つのグラフは上から順に、利益、売上高、出荷台数の、2022年第1四半期〜2023年第1四半期にかけてのシェアの推移を示しています。
Appleは、出荷台数シェアが低下しても、利益と売上高では他社を大きく引き離しており、特に利益ではその差が大きいことがわかります。
Appleが不景気でも強い4つの理由
世界的な景気減速傾向の中でもAppleが比較的安定している理由として、Counterpointでリサーチディレクターをつとめるジェフ・フィールドハック氏は以下4つの要因を挙げています。
- Appleのエコシステムの吸引力により景気が悪くなっても顧客が低価格モデルに流れにくい
- iPhoneが世界の中古品販売数で約半数を占めていることが示すように、消費者は長期間利用できるデバイスを購入する傾向がある
- 西洋のZ世代に好まれるブランドであり、安定的な成功を収めている
- Huaweiが抜けた市場を獲得している
iPhone生産の中核拠点であるFoxconnの中国・鄭州工場で問題が発生した2022年第4四半期にも、シェアを他社に奪われずにiPhone14シリーズの需要に対応できたのも、Appleのブランドロイヤルティ効果だろう、とフィールドハック氏はコメントしています。
スマホ業界全体は苦しい時期が続く見込み
Counterpointのリサーチディレクター、タラン・パサック氏は、OPEC諸国が原油生産量削減を決定した影響でインフレが進行し、消費者の購買力が低下すると予測し、スマートフォン出荷台数が下げ止まったとしても、業界全体として年末のホリデーシーズン前に大きな回復は期待できず、向こう数四半期は苦しい時期が続くだろう、と予測しています。
Source:Counterpoint
Photo:Apple
(hato)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-535733/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania
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