発売から四半世紀!ユニフレーム「ファイアグリル」が今も多くの人に愛用される理由を探る|The ORIGIN of the CAMP GEAR

【The ORIGIN of the CAMP GEAR】

世にあるたくさんのキャンプ道具の中でも誰もが知っている“ド定番”なキャンプギアたち。多くのギアがあふれる今だからこそ、改めて定番アイテムの魅力をご紹介する「The Origin」企画、スタートです。

 

■焚き火台のド定番!ユニフレームの王道焚き火台「ファイアグリル」

「こんなにご愛用いただけるとは思ってもみませんでした(笑)。火を取り扱うアイテムだからこそ、安全に長い期間お使いいただけるように設計しています。長いこと使っていただくには、耐久性だけではなく使い勝手も重要です。大きく形は変わりませんが、発売当初からちょこちょこと細かい調整を続けています」

こう話すのは、商品開発の現場から営業、広報窓口と幅広い業務をおこなう株式会社 新越ワークス、ユニフレーム事業部の野﨑正浩さん。

金属加工の街、新潟県燕三条地域を拠点に、日本のキャンプシーンを支えるユニフレーム。同ブランドの「ファイアグリル」(7700円)はキャンプ好きが必ずと言っていいほど、一度は購入を検討するほどの王道焚き火台です。

1998年の発売以来、20年以上にわたり売れ続けていて、ユニフレームどころか日本を代表する焚き火台といっても過言ではありません。そりゃ誰でも知ってる焚き火台なわけであります。

多くのキャンパーに長く愛され続ける「ファイアグリル」の魅力を紐解いていきます。

 

■使い勝手◎丈夫さ◎アフターケア◎

「丈夫で壊れない、一般的なサイズの薪が使える、使用時も収納時のサイズもちょうど良い。他商品に比べて特別秀でているわけではないですが、特別な欠点もなく安心感がすごい、いいヤツです」

毎月キャンプに出かけるキャンプラバーTさんにとって、ユニフレームの「ファイアグリル」は必ず持っていく相棒的ギアなんだそう。

▲筆者愛用の「ファイアグリル」。かれこれ10年間かなりハードに愛用していますが、未だに壊れる兆しもなく、現役の1軍選手

構成パーツも少なくシンプルな構造のため誰でも使える。機能美すら感じてしまいます。また、焚き火台としてはもちろん、BBQや調理とキャンプでやりたいことをこれ1台でこなしてしまうのも実に良い。

ベテランキャンパーSさんによると「15年前にキャンプを始めたときに買って以来、いまだに使い続けています。最近では販売価格が安いものを良コスパと言う人もいますが、これこそ真の良コスパですよ」とのこと。

ただ安いだけじゃなく、長く使える。10年使えば、現在の販売価格(7700円)で考えても年間770円で購入できたみたいなものです。使用回数で割れば1焚き火=40円弱くらい。コスパ激高ですね。

▲大きな火床で扱いやすく、しかもよく燃えて高耐久

それに加えて“アフターケア”も長く愛される理由だと感じます。

公式から修理用パーツが販売されていて、多少の不具合であれば自分で修理できちゃいます。他にも、使い勝手をより向上させてくれるオプションパーツも販売されています。売りっぱなしで終わらずに、その先までサポートしてくれるのはユーザーとしてはありがたい。

キャンプ歴ウン十年のベテランキャンパーから駆け出しキャンパーまで、幅広いキャンパーに愛されている「ファイアグリル」は、まさにキャンプの定番焚き火台と言えるのではないでしょうか。

 

■シンプルデザインで使い勝手良し!

焚き火台には、小さく折り畳んで収納できるタイプや、多くのパーツに分けられてコンパクトにできるタイプもたくさんあります。収納性が高く、持ち運びが容易で、軽量な上に独創的なデザインはたしかに魅力的。昨今のキャンプブームで特に躍進したカテゴリーではないでしょうか。

しかしそれらは、組み立てが複雑だったり、使うまでに手間がかかってしまうなんてことも。

一方「ファイアグリル」を構成するアイテムはたった3つ。

▲焚き火台本体(火床)とロストル(底板)、脚の3つで構成されている。これに加えて網が付属する

火床となる焚き火台本体と、その中に敷くロストル(底板)、そしてそれらを載せる脚だけです。

▲唯一の展開パーツである脚も広げるだけ。注意点は、脚先端の爪が上に向くように展開することだけ

折りたたまれた脚を広げ、本体を載せるだけのとにかくシンプルな構造なので、初めて人でも簡単に組み立てられちゃいます。

火床も非常にシンプルで扱いやすく、本体の中にロストル(底板)を敷くだけで即使用可能です。

▲適当に薪をボンボン放り込めるこの火床の広さが、決定的な使い勝手の良さ

火床となる焚き火台本体は十分な広さが確保されていて、一般的に販売されている薪をなにも気にせずそのままくべられる。なので、キャンプを始めたばかりで薪割りなどの道具があまり揃っていない人も気軽に焚き火に挑戦できます。

▲広い火床でナイフワークなどもやりやすい。ブッシュクラフト風に焚き火を楽しみたい人にも便利なサイズ感

「一般的な薪のサイズが約40cmですから、最低限その薪が入る広さというのはマストで決めていました。サイズを大きくしすぎると持ち運び時の収納性が犠牲になりますから、使用感とのバランスを見て、現在の形に。さらに『ファイアグリル』を2台スタッキングできて、スタンドが2個入るサイズにしています。ですので、2台所有しても、持ち運ぶサイズは1台分とほぼ変わりません」(ユニフレーム野﨑さん)

▲収納時も本体のサイズそのままになるので、コンパクトな焚き火台を探しているキャンパーには残念ながらおすすめできない

ただ、折りたたみ機構などがないため「展開サイズ=収納サイズ」になります。収納性が重要な徒歩キャンプやバイクキャンプを楽しみたい人にはおすすめできません。

私もバックパックにキャンプ道具を詰めて遊びに行くときは、他の折りたたみ式の焚き火台をチョイスします。自分のメインのキャンプスタイルに合わせて他の焚き火台と比べて検討しましょう。

 

■メンテナンスフリーなのが助かる!

使い勝手と言えば、使用後のメンテンスがしやすいかどうかも気になるところ。

▲本体にロストル(底板)を載せるだけのシンプル設計のため、メンテに余計な手間ひまがかからないのがズボラキャンパーに刺さる

どんな道具でも長く愛用していくためには使用後のメンテナンスが重要ですが、「ファイアグリル」はメンテナンス性も高い。使用後は灰を捨てて軽くブラッシングするだけです。

これは「ファイアグリル」に限ったことではありませんが、焚き火後すぐの取り扱いには注意が必要です。

「特別なメンテナンス方法ではありませんが、使用後に急冷することは控えてください。どうしても変形します。焚き火が終わった直後、まだ本体が熱い状態で水をかけてしまいますと捻じれたように曲がった状態に固まってしまいます」(ユニフレーム野﨑さん)

ちなみに私事で恐縮ですが、<焚き火する→外に放置して夜露で濡れる→そのまま収納しちゃう>を繰り返していたら、当たり前ですが表面がサビサビになったので、皆様には同じ轍を踏んでほしくないのです(戒め)。

▲脚の接合部。リベットで固定されているため、緩みようもない。安心して使用可能

脚の接合部はリベットで固定されているので、特別になにもしなくてもOK。リベットなので、接合部パーツにたまにありがちな「勝手にネジが緩んでいて気づいたときには取れてなくなっていた」みたいな事態も起こりません。

 

■丈夫な素材と安定感のある設計、独自機構でとにかく頑丈

そして何と言っても耐久性がとにかく高い。かれこれ10年ほど「ファイアグリル」のユーザーなのですが、多少の変形はありつつも壊れる気配がありません。

「ファイアグリル」ユーザーが「他の焚き火台をつまみぐいしたくなっても、壊れなさすぎて買い替えができなくて困った」なんて冗談を言ってしまうほどの耐久性の高さです。

▲脚の先端に爪がついており、四方から本体をがっちりホールド

本体には頑丈でサビに強いステンレス鋼を採用していて、とにかく丈夫。

さらに、しっかり広がる4本の脚に均等に荷重がかかる構造なので、スキレットはもちろんダッチオーブンのような重量のある調理器具を載せても、安定感ばっちりです。

またすべての鉄は、どんな素材、厚みでも、大なり小なり熱を加えると膨張します。焚き火台やBBQグリルで、この熱による膨張を逃がすことができない構造になっていると変形が起こりやすくなります。ホームセンターで特価で販売されているような長方形のBBQグリルが、使用後にねじれるように変形してしまうのはこれが原因です。

▲焚き火台やBBQグリルと熱膨張は切っても切り離せない。「ファイアグリル」は独自の構造でその影響を最小限に留める

この熱膨張の影響を少なくするために素材の鉄板を厚くするという方法もありますが、その分重量が重くなり、取り扱いが難しくなります。重い焚き火台は運ぶのも片付けるのも大変ですよね。

そんな熱膨張による変形問題を、「ファイアグリル」は独自構造で解消しています。

▲4隅に配置されたスリットが熱膨張を逃し、変形の影響を少なくする独自構造

「焚き火台本体の4隅に隙間を設けています。この隙間が熱により膨張した分の逃げ場になるため、全体が変形しにくくなります。また、この隙間は空気孔としても機能するので、効率よく燃焼させる工夫でもあります」(ユニフレーム野﨑さん)

▲流石に10年ガッツリ使うと変形も出てくるが、逆に言えば10年使ってもこの程度。まだまだ現役だ

ちなみに、ロストル(底板)は使い始めたらすぐに熱でベッコベコになりますが、心配無用。

「使用後、まだ多少熱を持っている時に、アスファルトの上で踏んでやればまた平たくなるんですよ」(前出Tさん)

ちょっとしたパワープレイでのメンテナンスですが、たしかに私もそうやって10年経ちました(笑)。

 

■安心のアフターケアでより長く、快適に使い続けられる

最後にご紹介したいポイントは、別売オプション品の豊富さです。

他の荷物を汚さずに持ち運べる専用ケースをはじめ、焚き火台に備わってると便利な機能を拡張できるオプション品がしっかりと準備されています。

「キャンプ好きの社員が実際にキャンプを楽しむ中で、商品アイデアが生まれることもあります。それ以外にも、イベントでユーザーさんと直接お話をさせていただいたり、販売店の方からいただくアドバイスも重要です。社内外問わず広く声を取り入れながら、どんなアイテムがあれば『ファイアグリル』がもっと使いやすくなるかを模索しています。オプション品にはそういった声を実現したものも多いですね」(ユニフレーム野﨑さん)

▲本体に持ち運び用のハンドルがついており、灰捨てが簡単にできるのも地味だが便利な仕様

付属の網もありますが、ヘビーロストルや鉄板を使用することで、BBQグリルとしての使い勝手もより向上します。

4~5人程度のファミリーキャンプやグループキャンプにぴったりのサイズ感なので、BBQを楽しんだあとはそのままシームレスに焚き火を楽しめます。

「ファミリーキャンプでは、焚き火に炭をいれて着火しつつダッチオーブンで一品仕込む。薪の火が落ち着いたころには、炭火が熾きてダッチオーブンの料理も仕上がるので、そのままBBQ。食べ終わってお腹が落ち着いたら、そのまま薪を焚べて焚き火を楽しめる。ファミリーだとどうしても道具が増えるので、1台で食事も焚き火も賄えるのはうれしいですよね」(前出Tさん)。

▲オプションパーツの、火ばさみなどをぶら下げられる「FGハンガー」(1980円)に、ダッチオーブンも吊るせる「FGポットハンガー」(7700円)。どちらも本体に取り付け可能でスマート

「FGハンガー」や「FGポットハンガー」は、「ファイアグリル」の脚に簡単に取り付けられるので、手軽に拡張可能です。焚き火で沸かしたお湯でコーヒーやお茶を淹れて楽しんだり、ダッチオーブンを使って遠火でじっくり調理したい場合に便利です。

また、どれだけ頑丈で優れた設計でも、長期間使い続ければ流石に不具合も生まれますが、そんなときのために、ユニフレームは「ファイアグリル」に限らず交換パーツを準備してくれています。

▲気づいた時になくなっているパーツNO.1の脚先端の樹脂キャップ「ファイアグリル スタンドキャップ(4個組)」(990円)も交換パーツとして用意されている。いい機会だから交換しようかな…

*  *  *

焚き火台としてもBBQグリルとしても使用できる優れたアイテムで、その組み立てや使用は非常にシンプル。耐久性も高く、長期間にわたって使い続けることができる。さらに豊富な別売オプションで、自分の使い方や好みに合わせてカスタマイズまでできちゃうユニフレームの「ファイアグリル」。

既にお使いの人は、ぜひ擦り切れるまで使っていただきたい(何年かかるか分かりませんが)。そしてこの記事で始めて知ったという人はこの機会にぜひ!

>> ユニフレーム

 

>> [連載]The ORIGIN of the CAMP GEAR

<取材・文/山口健壱

山口健壱(ヤマケン)|1989年生まれ茨城県出身。脱サラし、日本全国をキャンプでめぐる旅ののち、千葉県のキャンプ場でスタッフを経験。メーカーの商品イラストや番組MCなどもつとめる。著書に「キャンプのあやしいルール真相解明〜根拠のない思い込みにサヨウナラ」(三才ブックス)

 

 

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