iPhoneの各種データを保存しているiCloudなどのデータを簡単に書き出し、他サービスに移行可能にすることをサービス提供企業に義務付ける「データ法」の法案について、欧州委員会が合意に達しました。実際に法律が成立し施行されるには、2年以上かかると見込まれています。
■3行で分かる、この記事のポイント
1. 欧州委員会が「データ法」の法案に合意した。
2. iCloudなどに保存されたデータを他サービスに簡単に移行できることを目指す。
3. EUでは、Lightning禁止、App Store開放などの法律が成立。
欧州委員会で「データ法」に合意
現地時間6月27日、欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会が、2022年に提案されていたデータ法(Data Act)の法案について合意に達した、とReutersが報じています。
データ法は、個人と企業が、スマートフォンなど各種デバイスから生成されたデータをコントロールしやすくすることを目的としており、異なるサービス間でデータのコピー、転送が簡単にできることを目指しています。
iCloudのデータも簡単に移行可能に
データ法が現在の内容のまま施行されれば、iPhoneユーザーがiCloudに保存している写真、連絡先、メール、デバイスのバックアップなど、さまざまなデータを他のクラウドサービスに保存し、Androidなど他のプラットフォームに移行しやすくなります。
ただし、今後の審議には時間がかかることが見込まれるため、実際に法律として施行されるまでには少なくとも2年程度はかかるだろう、と米メディア9to5Macはコメントしています。
データの共有範囲や用途もユーザーが指定可能に
同法案は、データの移行に加えて、ユーザーがデータを保管する企業に対して、データの共有範囲や使用方法を指定できることも目指しています。
例えばスマートスピーカーのユーザーは、サーバーに送信されるデータのうち、サービス提供企業と共有しても良いデータや、データの用途を指定できます。
Apple、AndroidからiPhoneの移行ツール、iCloud写真の移行ツール提供
Appleは、AndroidスマホからiPhoneに連絡先、メッセージ履歴、写真やビデオ、各種設定やブックマークなどを簡単に移行できる「iOSに移行」アプリを提供しています。
Appleは「データとプライバシー」Webサイトから、iCloudに保存されている写真とビデオのデータのコピーをGoogleフォトに転送できるようにしています。ただし、データ量が多い場合には処理に時間がかかるため、誰でも手軽に試せるほど使いやすくはないのが実態です。
App Storeの開放、Lightning禁止などの法律を制定するEU
近年のEUは、データ法のほか、テクノロジー大手企業を標的にしたと思われる法律を次々と成立させています。
デジタルサービス法(Digital Services Act)は、オンラインコサービス提供企業に対してヘイトスピーチや偽物の販売などの有害コンテンツに対処することや、不適切なコンテンツの削除基準やユーザーへのお薦め表示アルゴリズムの開示を求めています。
デジタルマーケット法(Digital Markets Act)はデジタル市場における自由競争を促すことを目指しており、AppleなどにApp Storeを開放させ、サイドローディングを可能にすることを義務付けています。
日本でも、App Storeをサードパーティに開放させる方針が検討されており、Appleは反対を表明しています。
EUでは、2024年までに一般的な充電器の使用をメーカーに義務付ける法律が成立しており、Appleは2023年に発売されるiPhone15ではLightning端子を廃止してUSB-C端子に変更すると予測されています。
Source:Reuters, 9to5Mac, AppleInsider
(hato)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-543418/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania
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