iPhone15と同時にUSB-C化した「AirPods Pro(第2世代)」レビュー。音質やノイキャン性能の違いは?

9月22日にPhone15シリーズと同時に発売された、「AirPods Pro(第2世代)」のUSB-C版モデル。完全ワイヤレスイヤホンのAirPods Proシリーズに最新モデルが登場!? と思いきや、名前は「AirPods Pro(第2世代)」と2022年9月に登場したLightning端子搭載モデルと全く同じ扱い。アップル製H2チップによるコンピュテーショナルアルゴリズムを使ったノイズキャンセルや空間オーディオという特徴も同一です。

でも製品情報を注意深くチェックしてみると、仕様に違いがあります。Lightning版の防塵防水はIPX4だったはずが、新発売のUSB-C版はIP54と防塵性能も明示。そしてUSB-C版は、6月に発表したゴーグル型デバイス「Apple Vision Pro」との接続時には、48kHz/20bitのロスレスオーディオ対応という新機能の予告も。

そこで最新の「AirPods Pro(第2世代)」USB-C版と、「AirPods Pro(第2世代)」のLightning版を揃えて、外見から音質、ノイキャン性能まで現時点でできる実機レビューで比較してみました。

 

■音質、ノイキャンも同じでは…?

▲表側のパッケージは同じだが背面の写真に違いあり

パッケージは、箱のサイズも形状もソックリ。ただし、裏面にある写真入はしっかりUSB-C仕様になっています。

 

▲MagSafe充電ケース。サイズなどは全く同一

そして新機能のポイントは充電ケースですね。MagSafe充電ケースの端子が、ライトニング端子からUSB-Cに変更されています。またスペック上は充電ケースもIP54等級の防塵性能と耐汗耐水性能とタフネス性能がアップ。

▲付属の充電ケーブルもUSB-Cケーブルに

ケースはどちらもUSB-C端子による充電のみならず、Apple Watchの充電器やMagSafe充電器が使えて、Qi規格のワイヤレス充電も利用できます。ケース側に“探す”アプリでも使えるスピーカーを搭載している点も同じです。

▲充電端子部。上がUSB-C版で下がLightning版

充電ケースの役割は、もちろんワイヤレスイヤホンを充電すること。バッテリースペックも変更はなく、アクティブノイズキャンセルをオンにした状態でイヤホン本体が最大6時間再生、ケース込みで30時間再生になっています。

ではイヤホン本体の違いは? というと、外見上はデザインも寸分違わず同じです。

▲並べても全く違いの分からない「AirPods Pro(第2世代)」のLightning版とUSB-C版

ただし、USB-C版が「Apple Vision Pro」との接続時には48kHz/20bitのロスレスオーディオ対応のため、中身のハードウエア構成は異なっているという可能性もあります。

そこで、iPhone15 Pro Maxに「AirPods Pro(第2世代)」のLightning版とUSB-C版を接続してみました。

▲USB-C版のAirPods Proを接続。なお、表示する名前は登録後に手動で変更しました

iOSの画面に一体化している設定画面で、ノイズコントロールに“適応型”という見慣れない設定項目があるのですが、これは9月19日に配信された“iOS17”の追加機能。最新のUSB-C版だけでなくLightning版でも利用可能で、USB-C版とLightning版では、iOSの画面上に違いはありません。

▲iOS17版の「AirPods Pro(第2世代)」設定画面

では実際に「AirPods Pro(第2世代)」のUSB-C版とiPhone15 Pro MaxでApple Musicの宇多田ヒカル『あなた』から聞いてみます。若干シャープな高域とゆったりとした中低域。正直言って、聞き覚えのあるサウンド。Lightning版に変えても、即座に同じ音と判断できてしまいました。他の楽曲や空間オーディオでも同じでした。内部のハードウエア構成まで厳密に同一とは限りませんが、アップルはコンピュテーショナルアルゴリズムで出音まで完全にコントロールしているのでしょう。

▲2台の「AirPods Pro(第2世代)」で音質聴き比べ

ノイズキャンセルについても、USB-C版とLightning版を同一環境に持ち出して比較してみました。

▲2台の「AirPods Pro(第2世代)」で騒音低減を比較

電車内でUSB-C版を装着してみると…走行時の重低音を大部分低減して、ガタガタと聞こえる中域を抑え込む強烈な騒音低減性能。少し高域側に聞こえるホワイトノイズ、騒音の大きさに伴い強めに出る違和感もUSB-C版とLightning版で全く同じ。あまりに特徴が同じ過ぎて、iPhoneの画面を見て確認しないと2台の区別も付きません。

▲電車のノイズキャンセル効果はUSB-C版とライトニング版も同じでした

最後に“iOS17”の追加機能であるノイズコントロールに“適応型”についても紹介しておきます。これは一言でいうと“外部音取り込み”と“アクティブノイズキャンセリング”の中間で、周囲の音を取り込みつつ騒音も若干落とすものです。

▲“適応型”は屋外でも安全を確保しつつ、騒音をボリュームダウンする用途向け

9月22日に発売となった「AirPods Pro(第2世代)」のUSB-C版ですが、音質、ノイズキャンセル性能共にLightning版と同一。現行ユーザーは、USB-C端子が必須でなければ、買い替えるほどの変化でもないでしょう。僕もLightning版のユーザーですが、ワイヤレス充電がメインなのでUSB-C版でなくても問題なし。

ゴーグル型デバイス「Apple Vision Pro」と組み合わせた際に48kHz/20bitのロスレスオーディオ対応という仕様は期待してしまうところですが、Lightning版ユーザーでワイヤレスで充電しているという人は、買い替えるなら「Apple Vision Pro」の様子を見てからでもいいかも。それも「Apple Vision Pro」を使うならですが。

もっとも、Lightning版はUSB-C版の登場に伴い販売を終了しているので、新たに購入する人はUSB-C版しか選べません。

>> Apple「AirPods Pro(第2世代)」

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube

 

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