“飛行機プラモあるある”な胴体接着部分の強度不足に悪戦苦闘【達人のプラモ術<エアバスA300-600ST ベルーガ>】

【達人のプラモ術】
ドイツレベル
「1/144 エアバス A300-600ST “ベルーガ”」
02/04

エアバス・ベルーガの製作の第2回は、前回に引き続き、キットでは省略されている胴体内部(カーゴ内部)の構造を自作して、ディテールを再現していきます。今回は黙々と組んで削って…。それもまたプラモデル製作の楽しみ。(全4回の2回目/1回目

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube
モデルアート公式チャンネル」
でもレビューを配信中。

 

■キットで省略されているカーゴ内部の再現(その2)

前回はカーゴハッチを切り離したのち、床と機体内部の肋材として1ミリ角のプラ棒を胴体片側16本、左右合わせて32本貼りこんで再現しています。実のところ実機の胴体内肋材は、もっと細く数も多いのですが、それを正確に再現するのは難しいので、見た目不自然にならない程度に省略しての内部再現です。

0.5ミリプラ板で自作した床は、より剛性を出すため裏側前後2か所に1ミリプラ板で補強板を追加して胴体に固定しました。

実機では格納庫の奥に4層に重なる作業スペース的な部分があるのですが、完成後にほとんど見えなくなってしまうので、作例ではそれらしく見えるバルクヘッド(隔壁)としてプラ板で自作しました。また切り離したカーゴハッチの裏側は、胴体内部同様に隔壁が多く設けられているので、こちらも自作。ここは完成後目立つ部分なので、実機写真を参考に可能な限りディテールを再現していきます。

カーゴハッチは開いた状態で固定しますが、機体に取り付ける際に開閉用のヒンジとアクチェーターも自作しないといけません。

▲左右胴体に16本ずつ1ミリ角のプラ棒で肋材を再現。床の裏側2か所に1ミリ厚のブラ板の端材で補強板を追加している

▲カーゴ内の後端部分はプラ板で隔壁を自作

▲切り離したカーゴハッチ裏面はプラ棒とプラ板で肋材とパネルを自作

▲内部ディテールの工作が完了。肋材部分を含めてかなり大味に見えるが、この後塗装をすることで航空機のカーゴルーム内らしい雰囲気が出てくる。要は模型的な見栄えを考えた簡易ディテールアップだ

▲内部工作の完了後カーゴハッチと機体内部は改めて黒サーフェイサーで下地を整えている

 

■カーゴ内の塗装

内部隔壁などの取り付けが完了したら、塗装を行います。実機写真を見る限り、カーゴ内部は黒…あるいはダークグレー、床がグレーのように見えます。またカーゴハッチ裏側はグレーではなくジンクログリーンのように見えます。

床部分はラインが入っているようなので、フィニッシュシートの白と赤を細くカットして貼りこんで再現しました。実機は搭載する荷物によって専用のパレットを使用するため、床の仕様も変わるようです。作例は工場にて整備中の機体を参考にしています。

▲エアブラシを使い胴体内側は黒に近いグレーで塗装。マスキングして床部分をミディアムグレーで塗装している

▲床のラインはハセガワ製フィニッシュシートの白と黒をカットしたものを貼りこんで再現している

▲床のラインは整備中の機体の画像を参考にしている。実機では積み込むものによって専用のパレットを使用しているため、床のディテールも異なるようだ。赤のコの字型のラインは、真下に前脚があるので、注意のために入れられているとのこと

 

■胴体の接着に悪戦苦闘!

内部の塗装が完了したら左右胴体を接着するのですが、今回は思いの他、接着に苦労させられてしまいました。本キットは1/144スケールとはいえ、胴体長が382ミリもあります。しかもプラの厚みが約0.8ミリと薄く接着面が少ないため、接着部分(左右胴体の合わせ目)には強度がありません。そのため完成後に力を入れると、剛性不足から、パキッと接着面が割れてしまう不安がありました(エアラインモデルのありがちトラブル)。

そのため通常なら接着面裏側からプラ板を貼り付ける等の工作で補強をおこなうのですが、今回カーゴ内を再現したため、胴体上面の裏打ち補強をしていません。胴体内側に肋材を貼ったこともあって、多少剛性はアップしているのですが、やはり接着面積の少なさによる強度不足は否めません。

結果として、合わせ目を消すためのヤスリがけの最中に何度も接着面が開いてしまうトラブルに見舞われてしまいました。特にカーゴハッチを切り離したため、機首側胴体上面は、ほとんど強度がなく。ヤスリがけの際、ちょっとでも力を入れると割れてしまい苦労させられました。

あとインスト(組み立て説明書)には胴体接着の際に、完成後のしりもち防止用オモリを機首に積むと指示されているので、コクピット部分に30g釣り用鉛板を詰め込んであります。

▲塗装と床のラインを貼ったのち、胴体を接着する(機種のオモリを忘れずに)。接着はプラスチック用接着剤を使用。接着面の乾燥後に、イージーサンディングを使って接着面の合わせ目を研磨処理。ラッカーパテは乾燥後に肉ヤセするので、あとになって継ぎ目が浮き出てしまうことがあるため合わせ目消しでは使用しない

▲胴体の合わせ目消しの作業では、指し示している部分のプラの剛性がないのと補強が入れられなかったため、研磨中に再三接着面が剥がれるトラブルに見舞われた。プラが歪まないように裏側か合わせ目部分を指で保持しつつ、力を入れずに表面を研磨する(なかなか大変)ことで、なんとか合わせ目を消すことができた

▲胴体裏側は剛性はあるものの、一体のアンテナや凸部が多いので、やはり合わせ目消しは手間がかかる。作業効率を考えてアンテナは切り離しておき、塗装終了後に取り付けるようにした

▲苦労させられながらも合わせ目消しが完了。機首のラインをキレイに出すために、キャノピーは黒で裏から塗装し、接着して段差ができないように外側から研磨している。カーゴハッチは塗装後に開状態で固定するが、胴体とのラインがスムーズにつながるようにすり合わせをしておく

▲「タミヤ瞬間接着剤(イージーサンディング)」(396円)硬化後も一般的な瞬間接着剤に比べて削りやすく、加工性が高い。ゼリー状なので合わせ目の処理や細かいキズを埋めるのに適している

 

■次回機体の塗装!乞うご期待!

というワケで今回は、自作したパーツを組み込んで、ひたすら削るという地味な作業に始終してしまいました。ちなみ今回の作業に4日(1日6時間平均)を要しています。特に胴体の接着では乾燥に時間をかけています。プラモの製作では焦りは禁物、トラブル原因になります。マイペースで参りましょう。

次回は主翼とエンジンの製作、そしていよいよ塗装に入ります。旅客機(ベルーガは輸送機だけど…)は、やはりピカピカのツヤあり塗装で仕上げることで、より美しさが際立つんですね。お楽しみに!

▲巨大なカーゴスペースに同じエアバスの胴体(それも2機!)を積み込むベルーガ。模型で再現したくなる

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作業イメージ画像
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