Apple Watchのカーボンニュートラル宣言にEUが警鐘

apple watch series 9
 
Appleは9月に催した新製品発表イベントで、Apple Watch Series 9Apple Watch Ultra 2同社初のカーボンニュートラル製品として華々しく打ち出しましたが、この“カーボンニュートラル”という概念がヨーロッパ連合(EU)で問題視されており、2026年までに禁止となる見通しです。
 

■3行で分かる、この記事のポイント
1. Apple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2がApple初のカーボンニュートラル製品として打ち出された。
2. EUではカーボンクレジットを使用したカーボンニュートラル主張が2026年までに禁止される見通し。
3. Apple Watchのカーボンニュートラルはグリーンウォッシングではないかと疑われている。

Appleは2030年の目標を達成できない?

EUで問題とされているのは、“カーボンニュートラル”という主張の中でも、カーボンクレジットを使用するものです。カーボンクレジットとは、削減できなかった温室効果ガス(GHG)の排出量を、森林保護などで得られるGHG削減効果を購入することで相殺するというアイデアで、最近ではグリーンウォッシング(環境を配慮しているように見せかけること)と言われることが多くなっています。
 
Appleは2030年までにすべての製品をカーボンニュートラルにするという目標を掲げていますが、もしEU圏でカーボンニュートラルという言葉が使用できなくなった場合、このゴールを達成することが不可能となってしまいます。
 
EUの決定はAppleの運営方針に大きな影響力を持つことで知られており、最近ではiPhone15でLightningからUSB-Cポートへの切り替えを余儀なくされたばかりです。

Appleが使用するカーボンクレジット自体にも問題

Appleは新型Apple Watchで確かにリサイクル素材の使用率を上昇させてはいるものの、カーボンニュートラルに達するために使用しているカーボンクレジット自体にも問題があると一部専門家は指摘しています。
 
Appleは質の高いカーボンクレジットを利用していると述べていますが、この具体的な中身はパラグアイやブラジルでの森林再生プロジェクトで、これらのプロジェクトで植えられた木々の大半は10年足らずで木材として販売されるために切り倒されることがわかっています。
 
“カーボンニュートラル”と紐付けることで、あたかも新型Apple Watchを買っても環境的なインパクトがいっさいないかのような印象を消費者に与えてしまうため、グリーンウォッシングではないかと疑われているわけです。
 
 
Source:Financial Times
Photo:Apple
(lexi)


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