JBL、oladance、NTTソノリティ、耳を塞がない“ながら聴き”系ワイヤレスイヤホン比較レビュー

2023年の新トレンドアイテムが、耳を塞がず周囲の音が聞こえるワイヤレスイヤホン。以前は骨伝導イヤホンが主流でしたが、今年に入り開放型の“イヤースピーカー”などと呼ばれる新タイプが続々登場。さらに新トレンドとして、音漏れを防ぐ技術の搭載にも注目が集まっています。

今回はそんななかでも、2万円台で購入できる2023年の最新モデルとして、10月発売のJBL「SOUNDGEAR SENSE」、8月発売のoladance「OWS 2」、4月発売のNTTソノリティ「nwm MBE001」の3機種を用意。3機種とも音漏れを防ぐ独自技術も搭載しています。

▲JBL「SOUNDGEAR SENSE」実勢価格は2万2000円

▲oladance「OWS 2」Amazonでの販売価格は2万3800円

▲NTTソノリティ「nwm MBE001」実勢価格は2万4200円

装着感、バッテリー&接続性能、音質、音漏れ、通話マイクなど全方位でテストしてみました。

 

【ポイント1】デザインと装着感

JBL「SOUNDGEAR SENSE」は装着がラクな細いフックで、閉じる方に4段階の角度調整が働く構造。装着してから動かす2アクションで、耳へとしっかり固定できます。ちなみに着脱式ネックバンドで左右繋がった状態での使用も可能。

▲本体大きめでフックで固定

▲JBL「SOUNDGEAR SENSE」の装着状態

oladance「OWS 2」は、全体として本体サイズが小さく、イヤホンの重さを耳全体に分散させる構造が特徴。フック部分を若干指で広げられるのは、装着時に広げて取り付けて自然と耳に収まる狙いでしょうか。なお、構造的に片手での装着がもっともしやすいモデルになります。

▲シリコン系のフックを採用

▲oladance「OWS 2」の装着状態

NTTソノリティ「nwm MBE001」は小型のスピーカーハウジング部を耳の上に載せて、本体部分が耳の後ろに収まるような構造。フック部分は力を加えれば少しだけ広がりますが、基本的には位置を固定しています。

▲スピーカー位置を固定する思想

▲NTTソノリティ「nwm MBE001」の装着状態

3機種を装着してみると、耳を塞ぐ面積も違えど、どれも耳がオープンで十分快適。フック構造のおかげでどれも落ちる心配はなそうです。見た目のデザインはお好み次第ですが、着脱のしやすさはoladance「OWS 2」、装着後の安定感はJBL「SOUNDGEAR SENSE」が優秀です。

 

【ポイント2】バッテリー&接続性能

次に、ワイヤレスイヤホンとしての使い勝手に関わるバッテリー周りのスペックを紹介していきます。

JBL「SOUNDGEAR SENSE」は、イヤホン単体が約6時間で充電ケース使用で合計24時間。もちろんマルチポイント接続にも対応と、今どきのワイヤレスイヤホン仕様。なお、アプリによるカスタマイズも豊富です。

▲JBL「SOUNDGEAR SENSE」はカスタマイズ機能が最も豊富

oladance「OWS 2」はAmazon版と家電量販店版で2パターンあります(今回の使用機はAmazon版)。Amazon版の方は本体のみで連続再生19時間で、付属ケースはバッテリーを内蔵しないただの充電器。家電量販店版は充電ケース式で再生時間を95時間延長できますが、価格は約3000円高くなります。こちらもマルチポイント接続対応です

▲oladance「OWS 2」のAmazon版。アプリではイコライザなどを設定可能

NTTソノリティ「nwm MBE001」はイヤホンのみで連続再生6時間。注意すべきポイントとして付属ケースは充電ケースではなくキャリングケース及び充電器の位置づけでバッテリーを内蔵していません。なお、9月のアップデートでマルチポイント接続に対応しています。

▲NTTソノリティ「nwm MBE001」。イコライザのほかボタン操作カスタマイズも豊富

 

【ポイント3】音楽リスニングの音質

耳を塞がないワイヤレスイヤホンでも、購入する主目的は音楽や動画などのリスニング。音質についてもチェックしてみました。なお、利用シーンを鑑みて、「音楽をしっかり聴く音量」と、「周囲の音が聴きやすい小音量」の2パターンで音質をチェックしました。

JBL「SOUNDGEAR SENSE」の特徴は、空間を満たすような低音のパワー。同時に中高域の歌声のクリアさ、臨場感と情報量の豊富さを上手く満たしています。高域のキツさがないところもポイント。小音量でも低音のパワーと中高域のクリアさは残ります。

▲JBL「SOUNDGEAR SENSE」は低音も中域も厚みあるサウンドが特徴

oladance「OWS 2」は、特に空間再現に振り切ったような臨場感系サウンド。低音は振動させるような重低音ですが、歌声は少し遠く、シャキシャキとした高域が特徴。小音量で聞いてもサウンドバランスが変わらないところもユニークです。

▲oladance「OWS 2」は海外メーカーらしいディープな重低音サウンド

NTTソノリティ「nwm MBE001」は他の2機種と異なる中域重視のサウンドで、低音の再現性は弱め。ややレンジの狭いサウンドなので、音楽リスニングの迫力や臨場感よりは聴きやすさ重視。なお、他の2機種よりも最低音量が小さいところは評価したいポイントです。

▲軽やかなサウンドのNTTソノリティ「nwm MBE001」

 

【ポイント4】音漏れと周囲の音の聞こえ方

耳を塞がないワイヤレスイヤホンは、音楽を再生しなければ、当然ながら周囲の音は聞こえます。当たり前ですね。では、どれくらいの音量まで周囲の音に気づくかというと…、これは音量と環境音との兼ね合い。家族に協力してもらって音漏れの有無もチェックしました。

▲3機種とも条件を揃えて音漏れと周囲の音の聞こえ方を比較

まず、エアコンが効いている程度の静かな室内で「音楽を聴きながら周囲の人と会話ができて、音漏れもしない」音量を探ってみると…3機種とも最低音量の1で聴かないとダメ(音漏れする)という結果。これが音質検証で使った「周囲の音が聴きやすい小音量」の設定値です。

音質検証で使った「音楽をしっかり聴く音量」の設定値でもテスト。聴感上の音量で3機種揃えていて、周囲の音の聞こえ具合は、「インターホンや人からの呼びかけは気づくが、会話は難しい」程度です。当然ながら3機種とも音漏れしますが、音漏れの傾向として気づいたのは、1mの距離で音漏れして聞こえるのはもっぱら高域のシャカシャカした音であるということ。

聴感上の音量で揃えると、重低音の強いJBL「SOUNDGEAR SENSE」は音量の割には音漏れが小さく、一方低音弱めで音量を上げる必要があるNTTソノリティ「nwm MBE001」が、最も音漏れを指摘される意外な結果に。

周囲の音の聞こえやすさは真逆で、低音の強いJBL「SOUNDGEAR SENSE」は周囲の音を最もマスキングしていて、NTTソノリティ「nwm MBE001」は比較的良く聞こえます。Oladance「OWS 2」は音漏れも周囲の音の聞こえやすさも、両者の中間といったところでしょうか。なお、街中レベルの騒音下でテストしても音量は違えど傾向は同じでした。

 

【ポイント5】マイク音質

耳を塞がないワイヤレスイヤホンの用途として、PCと接続してビデオ会議用に使う人もいるでしょう。3機種ともBluetoothのマルチポイント接続対応なので、スマホ接続と同時に仕事用マシンとも接続できます。

Zoomのビデオ会議で通話マイク音質テストしてみると、JBL「SOUNDGEAR SENSE」は声の音の厚み、情報量も含めてマイク音質は優秀。適度にノイズキャンセルも働いているようで、バックグラウンドサウンドも押さえています。

oladance「OWS 2」の通話マイク音質は、デジタル的な圧縮がはいっているような完全ワイヤレスイヤホンにはよくあるタイプの音。音の情報量、特に声の低音があまり出ていないし、また騒音が入ると音質劣化があるようです。

NTTソノリティ「nwm MBE001」は、マイク自体は音を良く拾うのですが、常にホワイトノイズが入ることが気になりました。またノイズキャンセルが弱く、良くも悪くも周囲の音を強めの感度でリアルに拾います。ビデオ会議ソフト側でしっかりノイズリダクションが働くと良くなりそうです。

 

■まとめ

最近話題の耳を塞がないワイヤレスイヤホンの最新モデル、JBL「SOUNDGEAR SENSE」。そしてジャンル先行メーカーの8月発売モデルであるoladance「OWS 2」。春に話題となったNTTソノリティ「nwm MBE001」。これら3機種を比較してみました。

結果は、JBL「SOUNDGEAR SENSE」が10月発売の後発モデルの強みか機能性や音質などトータルで優秀さが目立ちます。ただし、サイズは少し大きく、軽めの装着感が好みならoladance「OWS 2」が良いし、音漏れ検証で協力してもらった家族に音質のコメントを求めたら“NTTソノリティ「nwm MBE001」の軽めの音が好き”と言われたので、そうなると音質も好み次第。

3機種で周囲の音の聞こえ具合も異なるので、実際に試してベストの1台を選んでみてください!

<取材・文/折原一也 取材協力/JBL、oladance、NTTソノリティ>

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube

 

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