スーパースポーツから電動モデルまで! モビリティショーで見たグッとくるバイク8選

東京モーターショーから名前を変え、3年ぶりに開催された「ジャパンモビリティショー2023」。会期中には100万人を超える来場者を集め、色々と面白そうな乗り物(モビリティ)が展示されていました。その中から、バイク乗りの視点で“乗ってみたい”と感じたバイクっぽい乗り物を紹介します。

 

1. レプリカ世代垂涎のヤマハ「XSR900GP」

レーサーレプリカブームの頃にバイクに乗り始めた世代なら気になる存在がヤマハの「XSR900GP」。ベースは同社の「XSR900」ですが、1980年代のワークスマシン「YZR500」を意識したカウルを装備しています。そのカウルもエンジンが見えるハーフカウルとされているところもグッときます。

シングルシートっぽいシートカウルは、現行のオプションとしても購入できる外装キットのもの。ハンドルはセパレートタイプとされ、ライディングポジションも一新されています。車体剛性やサスペンションセッティングも見直されているとのことで、レプリカっぽい走りが味わえそうです。日本では2024年の夏以降に発売となる見込みなので、期待して待ちたいところ。

 

2. TWの車体を3輪駆動のLMW化したヤマハ「TMW」

同じヤマハブースで、気になった存在が「TW200」の車体をベースにフロントを2輪としたLMW(Leaning Multi Wheel=車体を傾けて曲がる3輪以上の乗り物)「TMW」。同社の車両実験部が考案・作製したもので、市販予定などはないとのことですが、今すぐにでも乗ってみたい! と感じる魅力を持っていました。

フロント周りは「トリシティ300」のものを流用しているとのことですが、太い前輪にはどちらにもインホイールモーターが組み込まれていて3輪駆動に。すべての車輪が駆動することで、滑りやすいオフロードでの走破性が飛躍的に上がっているとのことです。転びにくいLMWはオフロードとの相性が良いと思っていたので、このままの形でなくても製品化を望みたいところです。

 

3. 遊べそうな電動ミニバイク「E-FV」

もう1台、ヤマハの参考出展モデルで気になったのが「E-FV」。こちらは過去のミニバイク「TZM50R」の車体に、同社の電動トライアルバイク「TY-E」の電動ユニットを搭載しています。こちらも若手エンジニアの有志が作ったものだということですが、ミニバイクコースではベース車よりも速いペースで周回できるほど走るそう。

実際に製作に関わった人に話を聞いたところ、電動化によって変速操作が必要なくなるため、よりコーナリングに集中できるとか。タンクの部分にはサウンドデバイス「アクティブ・サウンド・コントロール」が搭載されていて、テスト時は過去の2ストレーサー「TZ250」の排気音を流して走っていたとのこと。2ストサウンドを聞きながら走れるミニバイクって相当面白そうです。

 

4. カワサキのクラシカルな「メグロS1」「W230」

カワサキのブースで一番目立っていたのは「メグロS1」。メグロとは、かつて存在しカワサキに吸収されたバイクブランドですが、近年ブランドが復活!

2024年はメグロ創設100周年に当たるとのことで、その年に導入される見込みなのが230ccの空冷単気筒エンジンを搭載した「メグロS1」です。

ちなみに、同じエンジンを搭載したマシンはカワサキブランドでは「W230」として登場する見込み。基本設計は同一でデザイン違いですが、こちらのデザインが好きという人もいるのではないでしょうか。カワサキには過去に「エストレア」というレトロな単気筒モデルがあり、中古市場でも人気が高いので発売されたら支持を集めそうです。

 

5. 電動&ハイブリッドのカワサキ「ニンジャe-1」「ニンジャ 7 ハイブリッド」

同じくカワサキブースで注目を集めていたのが、電動のスポーツマシン「ニンジャe-1」とハイブリッドの「ニンジャ 7 ハイブリッド」。これまで、国産の電動バイクというとビジネスモデルやスクーターがほとんどでしたが、ようやくフルサイズのスポーツマシンが登場してくれました。どちらも2024年の国内導入が見込まれています。

デザインは同社のニンジャシリーズらしいスポーティなものですが、電動の「ニンジャe-1」はマフラーがないところが電動の証。排気量でいうと125ccクラスになりそうですが、最大トルクは40Nm(欧州モデル)あり、400ccクラス並の加速が味わえそう。

「ニンジャ 7 ハイブリッド」は2輪車としては世界初のストロングハイブリッドシステムを採用し、エンジンとモーターを合計した最高出力は69PS。モーターならではの加速力を活かす「e-ブースト」モードも備えていてリッターマシン並の加速力を誇るというから早く乗ってみたくなります。

 

6. 新時代のモトコンポ!? ホンダ「ポケット コンセプト」

ホンダブースの最も目立つところに展示されていたのが、かつての「シティ」とそのトランクに積み込める「モトコンポ」を思わせるコンセプトマシン。4輪は「SUSTAINA-C Concept(サステナ・シー コンセプト)」、2輪は「Pocket Concept(ポケット コンセプト)」という名称で、再生素材を車体に使っているところもポイントです。

「ポケット コンセプト」は、コンパクトな車輪に前後ともインホイールモーターを搭載。どんな乗り味になっているのか気になるところです。コンセプトマシンっぽい作りで、このままの形で登場する可能性は低いですが、電動になればガソリンやオイルの漏れなどを心配する必要がないので車載もしやすそう。「モトコンポ」のコンセプトは今の時代でも求められていることが感じられます。

 

7. 国内にも導入してほしいホンダ「モトコンパクト」

同じく「モトコンポ」を思わせるネーミングで、すでに海外では発売がアナウンスされている「モトコンパクト」。最高時速は15マイル(24.1km/h)で、満充電で最大12マイル(19.3km)走れるとのことで、バイクというより近距離モビリティという位置づけですが、日本でも特定小型原付の枠で発売したら面白そう。ぜひとも導入を期待したいところです。

 

8. 電動化したスズキの「e-チョイノリ」に期待!

スズキのブースにも電動や水素を動力源とする2輪モデルがいくつか展示されていましたが、個人的に気になったのは「e-チョイノリ」。その名の通り、かつて販売されていた「チョイノリ」を電動化したマシンです。2003年に発売された「チョイノリ」はシンプルな作りと5万9800円という低価格が特徴でしたが、そのコンセプトを活かしたまま電動化されています。

モーターやバッテリーには、パナソニックの電動アシスト自転車用のものを採用。元がチェーン駆動なのでこうした流用も無理がないように見えます。

航続距離や最高速度などのスペックは明らかにされていませんが、文字通りちょい乗りに適した作り。かつての「チョイノリ」にも電動化キットというサードパーティ製のカスタムパーツが存在したのですが、メーカーがそうしたモデルを手掛けてくれたことにワクワクします。ぜひ市販化してほしいところ!

<取材・文/増谷茂樹

増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。

 

 

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