いよいよSTOVLエンジンの製作、そして機体塗装!【達人のプラモ術<F-35B ライトニングII>】

【達人のプラモ術】
タミヤ
1/48 傑作機シリーズ No.125
「1/48 ロッキード マーチン F-35B ライトニングII」
04/06

いよいよ発売間近(2023年12月9日ごろ発売予定)となったタミヤ「1/48 F-35B ライトニングII」。いや待ち遠しいです! さて一足早くの製作第4回は、いよいよF-35B最大の特徴でもあるSTOVL(短距離離陸/垂直着陸性能)性能を持つF135-PW-600エンジンの製作。そして機体の塗装を進めていきます!(全6回の4回目/1回目2回目3回目

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube
モデルアート公式チャンネル」
などでもレビューを配信中。

 

■これがSTOVLエンジン!

F-35BはSTOVL性能を持つエンジンを搭載しており、短距離離陸と垂直着陸性能を有しています。キットは駐機状態、短距離離陸状態、垂直着陸状態の3つの形態の中から1種類を選んで組み立てることができ、それぞれのモードに応じてエンジンの組み立て工程が変わります。

作例はロールポストを作動させエンジンノズルが真下を向いた特徴的な垂直着陸状態(命名:全部開いてますモード)で製作を進めているので、インスト43ページからの『垂直着陸状態(工程106~147)』の指示に沿って製作を進めます。

▲製作するモードに応じて、パートごとに分けられた組み立て説明書。ちなみに総ページ数は59!

▲画像上段が駐機状態のエンジンノズル。中断が短距離離陸状態で使用するノズル。そして下段が垂直着陸時のエンジンノズル。それぞれ形状が異なる

 

■寄木細工みたいなエンジンパーツの精度

先に解説したように、エンジンは3つのモードを選ぶことができるので、それぞれに応じた形状の違うパーツが用意されています。インストをよく読んで(ナナメ読み厳禁!)、使用するパーツを間違えないようにしてください。

エンジン本体そして、モードに応じたエンジンダクトを組んで塗装し、組み合わせていきます。ダクトにモールドで再現されている配線類は塗装がちょっと大変。しかし垂直着陸モードではエンジンダクト・ノズル下部のドアが開いた状態となり、独特の構造や配線のディテールが見せ場にもなるので、ここは頑張って塗り分けましょう。

基本、エンジンパーツは精度が高いこともあり、個々のパーツで塗装して組み上げていく方が良いようです。塗料を溶かしてしまう接着剤のはみ出しには要注意です。

5枚のパーツで構成されたノズルのアイリス板は2枚のパーツを組み合わせて裏表の複雑な形状を再現。それにしても、機体のみならずこのエンジンパーツのピタパチ精度は、まるで職人技の寄木細工を組み上げているような感じで正直驚きました。

▲エンジン基部は塗装、デカールを貼ってから機体に組み込む

▲鮮やかなグリーンの部分は特徴的な下地塗装の色

▲垂直着陸モードのエンジンパーツ。インストの指示に沿って個々のパーツで塗装していく

▲エンジンノズルのアイリス板は5枚(1枚につき裏表の2パーツで構成で再現される。組み合わせ前に塗装できるのでマスキングの手間がない

▲エンジン本体の配線は、モールで再現されている配線類は指定色で塗装していく。塗装後にエンジン全体にスミ入れ塗料のブラックでウォッシングすることで陰影を強調している

▲塗装と組み立てが完了したエンジン。ノズルが90度曲がっている

▲P&W F135ジェットエンジンは回転面がずれた3つの筒部を互い違いに回転させることで、真後ろ方向から垂直下方までジェット排気の推力を偏向させられる

 

■機体の製作

エンジンの組み立てが完了したら、前回製作したウエポンベイなどを組み込んで機体の上下を合体させます。精度が高いので各パーツブロックがピタリと収まります。胴体の接着は特に難しいことはないのですが、注意してほしいのが機首側面部分の接着です。

F-35の機首は正面から見ると〈〉型になっているのですが、合わせ目がちょうどクサビ型のエッジ部分にくるので、接着剤がはみ出したりすると、後の研磨処理でエッジのシャープさが損なわれてしまいます。なので接着には充分気を付けてください。

▲胴体の接着に際しては、矢印で示したエッジを接着剤のはみ出しで潰さないように注意

 

■機体の塗装

インストではエンジンの組み立て後は主脚の工作となるのですが、脚を取り付けてしまうと機体塗装の際のマスキングが大変になるので、この時点で機体塗装を行います。

機体塗装のメインとなるグレーは、第2回で製作したグレー同様に調色が指示されているので、調合して色を作ります。以前調色したグレーに比べて、やや暗いグレーとなります。第2回でも書きましたが、F-35のグレーは、光源の違いや見る角度によっても微妙色調が異なって見えるので、自分が思う色に塗るのが正解になると思います。調色が苦手と言うのであれば、モデルカステンからステルス機専用のグレーも発売されているので、それを使っても良いでしょう。今回の作例では、タミヤの指定に合わせてグレーを調色しています。

▲機体メイン色となるグレーの調色に指定されているタミヤラッカー塗料「LP-15(横須賀海軍工廠グレイ)」と「LP-59(NATOブラウン)」(各220円)

▲左が前回「LP-14(舞鶴海軍工廠グレイ)」をベースに調色したグレー、右が今回「LP-15(横須賀海軍工廠グレイ)」をベースに調色したグレー。こちらが機体塗装のメインとなる

▲F-35Bは機体の開口部が多いので、塗装に際してはしっかりとマスキングをしておく。特にウエポンベイは塗料が吹きこんでしまったら苦労が台無しになるので要注意。

▲機体はグレーサーフェイサーで下地を整えたのち、今回調色したグレーをエアブラシで塗装していく。RAM(Radar-absorbent material)塗装は見た目がベタ塗りといった感じなので、陰影を強調するための黒によるパネルラインへのシェード塗装はあえて施していない

▲画像だとわかりづらいが、主翼手前側はまだ下地のサーフェイサーグレーの状態。ステルスグレーはサフの色に近いのが分かる。実機がそうなのだから仕方ないのだが、機体を塗っている感がなぜか感じられない

▲グレーでの機体の塗装が終わった状態

▲マスキング内への塗料の吹込みもなく一安心

▲底面も問題なし

▲機体の塗装後、垂直着陸モードで下を向くエンジンノズルに合わせて開くカバーとエンジンノズルを仮り組みした状態。仮り組みでもドアの角度がピタリと決まる

 

■次回も機体の製作を進めます!

エンジンの製作と機体の塗装を済ませたことで、完成が見えてきました(まだまだやることはたくさんありますが…)。次回も機体の製作と、そう!ウエポン類の製作塗装を進めなくちゃいけませんね。主翼にも武装を搭載したビーストモードをチョイスした自分を呪いつつ次回も製作を進めます! 乞うご期待!

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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