冬キャンプで人気の石油ストーブ、テントサイズによる最適モデルを検証してみた

冬キャンプシーズン真っ只中。今年こそは冬キャンプに挑戦!と思っているキャンパーも多いのでは。

手軽さと暖かさから、冬キャンプの暖房器具として不動の人気を誇る石油ストーブですが、石油ストーブ初心者からすれば、様々な種類の石油ストーブの中から、自分のキャンプスタイルにあったものを探すのは至難の業。

今回は、石油ストーブのタイプ分けから、テントサイズに合わせた石油ストーブの選び方をざっくりと紹介していきます。今年の冬キャンプデビューの方の一助になれば幸いです。

 

■石油ストーブは対流式と反射式の2種類

石油ストーブは大きく分けて、対流式と反射式の2タイプ。

対流式は、空気の自然な流れを利用して、取り込んだ冷たい空気をストーブの熱で暖め、空間に放出するという原理。空気そのものを暖めていくので、時間はかかりますがじんわりと空間全体が暖まる、そんなイメージです。

▲ガラスホヤを採用している対流式はその炎の美しさも特徴のひとつ。まるで小さな焚き火を愛でているかのよう

トヨトミの「レインボーストーブ」(4万2460円)はキャンプシーンでの対流式の代表格のひとつ。火のゆらぎが幾重にも見えるその美しさが人気の理由。

ガラスのホヤから直接熱は感じませんが、ストーブ上部から暖かい空気が上がっていきます。

▲反射式はその熱量の高さが魅力。遠赤外線により直接身体を暖めてくれる

一方の反射式は、熱源からの輻射熱によって身体を直接暖めつつ、熱源によって周囲の空気も同時に暖める仕組み。内部の反射板によって、熱を反射することでストーブ正面を効率よく暖められるので、すぐに暖かさを感じやすい特徴があります。

私が使用している反射式ストーブはフジカ「ハイペット」(6万4680円)。抜群の暖かさに加え、その強い熱量は煮込み料理にもってこい。人気すぎて一時は納品まで2年待ちだったほど。私は大人しく2年待ちました。

このように対流式、反射式で暖め方が異なりますので、それに伴って暖かさも変わってきます。自宅での使用とは異なり、屋外で、しかもテントの中。このチョイスを間違えるとせっかく購入しても「なんだか寒い…」あるいは「暑すぎる!」といったことも起こります。

そこで、テントサイズに合わせてどんな石油ストーブを選べばいいのか、試してみました。

 

■ソロテントは対流式、2ルームテントは反射式がおすすめ

まず結論を。ソロやデュオキャンプ向けの小型テントで使用したい方には対流式が、ファミリーやグループキャンプ向けの大型テントの方は反射式がおすすめです。

▲ソロテント+反射式ストーブはよほど寒い時期、場所でないと暑すぎることも

反射式ストーブは、ストーブ前面に強い熱を送り出しつつ、空気を暖める特徴があるため、対流式に比べて熱量が多い傾向があります。

ソロテントで使用すると一瞬で暖かさを感じられますが、ストーブとの距離も近くなりがちですし、そもそも空間が狭いので空気もすぐに暖まってしまい、暑いと感じることもしばしば。

氷点下10度以下の極寒の環境ならいざ知らず、平地での冬キャンプではオーバースペック感が否めません。

▲ソロテント+石油ストーブの個人的な最適解は対流式

一方、対流式ストーブは空気を自然に暖めることで空間全体を暖めるので、ソロテントのサイズを暖めるのにちょうどいいんです。空間が狭いので、暖める速度がゆっくりでも気になりにくい。

モデルにより違いはありますが、熱源からの輻射熱もそれほどはないので、どうしてもストーブとの距離が近くなりがちなソロテント内でも比較的安心です。

ちなみに、優しい暖かさのため、天板上での調理はそこまで得意ではない印象。煮込み料理をしたい場合は、事前にバーナーで火をいれてからのせるといいですよ。

次に2ルームテントのような大型テント、シェルターについて。

対流式では少し弱い印象です。テント内の空間が広いため、ストーブが空気を暖めるよりもテント外からの吸気の量が勝ってしまうイメージ。

もちろん大型の火力の強いモデルであればそれでも十分ですが、そうすると石油ストーブも大型化しますので、持ち運びに難が。

インナーテントを吊り下げてテント内の空間を狭めてもなお、時折肌寒さを感じることもあるので、大型テントと対流式の組み合わせは個人的にはあまりおすすめしません。

大型テントの最適解は、ソロテントではオーバースペック気味な反射式ストーブ。足元を輻射熱でしっかり暖めつつも、その熱量の高さでテント内の広い空間を暖めてくれます。

ちなみにストーブ正面の暖かさもさることながら、天板に登る熱もかなり強く、ダッチオーブンなどをのせれば煮込み料理も可能です。実際、一部の反射式ストーブには、鍋をのせられる専用ゴトクも販売されています。

湿度が高いほど暖かく感じやすくなるので、乾燥対策も兼ねてケトルをのせておくのもいいですね。いつでも暖かいお湯割りを楽しめます。熱燗もいい…。年末年始、まさにこのスタイルでおこもりキャンプしてきましたが、最高なんだよなぁ。

*  *  *

対流式でも大型テントで活躍できるモデルや、ソロテントで使える反射式ストーブもあります。ですが、大まかにこういう使い分けができることを念頭にいれて探すことで、自分のキャンプスタイルにぴったりの石油ストーブを探しやすくなりますよ。

最後になりますが、テント内での火気の使用は火災や一酸化炭素中毒の危険があります。近年では火気の使用を前提として設計されているテントも販売されているため、それらの使用を推奨します。

>> 冬キャンプの必需品「一酸化炭素チェッカー」は安心できる製品を選ぶべし

また、必ずテント上部や下部に設置されたベンチレーション(換気口)を開けておく、30分〜1時間に1回は換気のためドアを開けておく、万が一に備えて持ち運び可能な消化器を準備しておくなど、万全な体制を整えておくことをおすすめします。

特に、灯油ストーブはテント内の空気を燃焼させてしまうので、吸気・排気が非常に重要です。換気には十分に注意を払いましょう。

<取材・文/山口健壱 写真/逢坂聡>

山口健壱(ヤマケン)|1989年生まれ茨城県出身。脱サラし、日本全国をキャンプでめぐる旅ののち、千葉県のキャンプ場でスタッフを経験。メーカーの商品イラストや番組MCなどもつとめる。著書に「キャンプのあやしいルール真相解明〜根拠のない思い込みにサヨウナラ」(三才ブックス)

 

 

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