レプリカ世代がターゲット!? 今年登場する”ひと味”違うフルカウルバイク3選

1980〜90年代のレーサーレプリカ全盛時代を知る世代なら、フルカウルをまとったバイクにグッとくるという人も少なくないはず。とはいえ、1000ccや600ccの本気のスーパースポーツ(SS)モデルだとエンジンもライディングポジションも過激で、乗るのにちょっと躊躇してしまうのではないでしょうか? 筆者はまさにその世代なのですが、SSは前傾姿勢がキツ過ぎて中年ライダーには腰にきます。

そんな中で注目したいのが、SSではないけれどレーサーレプリカ的なフルカウルを採用しているマシン。セパレートタイプのハンドルを装備していますが、前傾姿勢がそれほどキツくなく、エンジンもレースベースとなるSSと違ってストリートでも扱いやすくなっています。このカテゴリーは近年ラインナップも充実していて、国産だけでなく輸入メーカーも注力しています。そんなフルカウルモデルの中から2024年発売の注目マシンをピックアップしてみましょう。

 

1. 往年のGPマシンを思わせるヤマハ「XSR900GP」

昨年の東京モビリティショーで公開され注目を集めていたのがヤマハの「XSR900GP」。ベースとなっているのは同社の「XSR900」ですが、“GP”の車名が表す通り、往年のGPマシンである「YZR500」をオマージュしたカウルが装備されており、モビリティショーでもケニー・ロバーツがフレディ・スペンサーとバトルを繰り広げた1983年型の「YZR500」と並べて展示されていました。

カウルの形状は現代のSSと比べると、かつてのレーサーレプリカ的な形状。ハンドル位置が下げられてフロント荷重が増えているのに合わせて、サスペンションのセッティングなども見直されているとのこと。エンジンは評価の高い「XSR900」と同様なので、888ccの3気筒で118PSを発揮。かなりパワフルで加速の鋭いパワートレインですが、SSマシンに比べるとストリート向けの特性で電子制御も充実しているのがポイントです。

 

2. 評価の高いマシンをフルカウル化したスズキ「GSX-8R」

もう1台、国産マシンで注目したいのがスズキの「GSX-8R」です。昨年発売された「GSX-8S」にフルカウルを装着し、セパレートハンドル仕様となっています。搭載されるエンジンは775ccの並列2気筒。270°クランクに「スズキクロスバランサー」と呼ばれるバランサー機構を採用し、2気筒エンジンらしいトルク感を持ちつつも不快な振動を低減しています。

ベースとなっている「GSX-8S」は試乗したことがありますが、2気筒らしいストリートでの扱いやすさがありながら、振動はキャンセルされているという不思議なフィーリング。最高出力は80PSですが、もっと出ているように感じるスピード感でした。足回りも現代的でコーナリングも楽しめますが、過激さがないので中年ライダーでも安心して楽しめる感じ。乗り味はスポーツマインドを掻き立てる感じなので、フルカウルやセパレートハンドルとの相性も良さそうです。

 

3. Moto2ゆずりのエンジンを搭載したトライアンフ「デイトナ660」

そして年明けに発表されたのがトライアンフの「デイトナ660」。同社の「デイトナ」といえば、2006年に登場した3気筒エンジンの「デイトナ675」を思い起こす人もいることでしょう。フルカウルをまとったこのマシンは非常に評価が高く、後に同じエンジンを搭載したカウルレスの「ストリートトリプル」も発売され、現代でも人気のマシンとなっています。

この3気筒エンジンは、その後、排気量が765ccにアップされ、今はMotoGPのMoto2クラスに供給されるエンジンへと進化しました。新型の「デイトナ660」に搭載されているのは同じ3気筒ですが、660ccで扱いやすさを向上させたもの。最高出力は95PSとされていて、ショーワ製の倒立フォークやリモートプリロード調整式のリアショックを採用するなど足回りも充実しています。

本気のSSにも見えるビジュアルですが、ハンドル位置は低すぎずサーキットよりはストリート向けのマシン。Moto2ゆずりの3気筒エンジンを搭載している点も、レーサーレプリカ好きにはグッとくるポイントでしょう。

*  *  *

サーキット向けに進化を続けている現代のSSマシンと異なり、スポーツマインドを感じさせつつもストリートにフォーカスしたフルカウルマシンたち。ラインナップが充実していることからも世界的に注目されているカテゴリーであることが感じられます。“あの頃”の思いを忘れたくない中年ライダーにもおすすめしたいマシンです。

<文/増谷茂樹

増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。

 

 

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