ヤスリ掛けなどで消えてしまった凸モールドをモデラーズナイフで再生!【達人のプラモ術<震電>】

【達人のプラモ術】
ハセガワ
「九州 J7W1 局地戦闘機 震電 『ゴジラ-1.0』 劇中登場仕様」
03/04

ハセガワの1/48震電はロングセラーキットゆえに、パネルラインが凸モールドで表現されており、ヤスリ掛け等の作業でどうしてもモールドが消えてしまいます。

そこで第3回となる今回は、ヤスリがけで消えてしまった凸モールドを復活させる簡単テクニックを紹介していきましょう。(全4回の3回目/1回目2回目

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube
モデルアート公式チャンネル」
などでもレビューを配信中。

 

■簡単テクニックでの凸モールドの再生と機体塗装

左右分割されている胴体や機首の機銃カバーの接合部は、接着後の合わせ目処理のサンディングでどうしても消えてしまいます。凹モールドであれば、ラインチゼル等のスジ堀リツールで彫り直せば良いのですが、凸モールドはなにしろ出っ張っているワケですから再生はなかなか難しい…いやいや、今回の震電のような1/48スケールであれば凸モールドの再選は難しくはないんです。

▲組み上げ、パーツの合わせ目を消すためのサンディングで凸モールドはどうしても消えてしまう

▲主翼端もパーツのヒケをパテで修正したので、凸モールドがほとんど消えてしまった

 

■モデラーズナイフがあればOK

作業は、消えてしまった凸モールドに合わせてガイドテープを貼り、モデラーズナイフの刃でモールドを彫り描いていきます。えっ? それじゃあ凹モールドになってしまうんじゃないの? と思われるかもしれませんが、いやいやご心配なく、これで大丈夫なので焦らずに作業を進めましょう。

モデラーズナイフでパーツの表面を切り込むと、当然ながら凹線となるのですが、刃で切り込んだことにより、切り込んだ個所の左右のプラが僅かに盛り上がります。この部分を凸線として利用するわけです。0.1~0.3ミリ程度の凸線ならば問題なく再生可能です。

▲凸モールドと凹モールドの概略図。飛行機モデルに関して言えば80年代ごろまでは凸モールドでパネルラインを再現したキットも多かったが、近年のキットでは凹モールドが当たり前になり、凸モールドによるパネルラインの表現はリベット等の再現を除き、ほとんど見られなくなった

▲モデラーズナイフの刃を押し付けるようにパーツ表面に切り込みを入れていくことで、刃で押し広げられた部位の左右が盛り上がる。この部分を凸モールドとして利用する

盛り上がる線の太さは切り込みを入れる際の力の入れ方で変わるので、事前にプラ板などで感覚を掴んでから本番に臨んだ方が良いでしょう。本来の凸モールドと線の太さが同じになるように力の入れ加減を調整するのがポイントです。

またフリーハンドだと切り込む際に線がずれやすいので(特に曲線部分)、必ずガイドテープを使用してください。万が一、線がずれてしまった場合は、高切削性の瞬間接着剤で埋め戻して研磨すれ、改めて切込みを入れられます。1/72、1/48スケールの凸モールドであれば、ほとんどこの方法で再生可能です。

▲タミヤ「モデラーズナイフ」(1210円) 細かな部品のパーティングラインの仕上げや、刃を立てて削る作業でも刃こぼれしにくい。パテ盛り後の成形などにも最適なナイフです。替刃は25枚セット。使用済の刃を入れるケース、キャップ付き

▲モデラーズナイフの刃は新品を使用すること

▲残っているパネルラインに合わせて消えてしまった部分にガイドテープを貼る

▲ガイドテープに沿ってナイフの刃を押し付ける感じで切り込み線を入れていく

▲ハイキューパーツ「スジボリ用ガイドテープ ハード6mm(2個入)」(440円) 本来はラベルライター用のプラスチックテープだが、スジボリ用ガイドテープとして発売されている。硬質PVC素材に強粘着タック加工されたテープ。厚みがあるのでナイフの刃がそれにくい

▲粘着力あるテープなので曲線部分でもしっかりと貼り付いてくれる。ただし一度剥がすと粘着力が落ちるので再利用は不可

▲モデラーズナイフ1本で凸モールドの再生が完了した震電

▲機体底部の凸モールドも再生完了

 

■薄めた溶きパテで凸線を整える

モデラーズナイフで切り込むことで生じた凸線はそのままでもいいのですが、刃を切り込むと切り口の左右が盛り上がるプラの特性を利用しているので、再生した凸線の中央には切り込み線が凹ラインとして残っています。0.2ミリ以上あると再生した凸ラインが不自然に見える事もあるので、ひと手間加えましょう。

ビン入りサーフェイサー(溶きパテ)を溶剤で2倍程度希釈して、エアブラシで、再生した凸モールド部分に厚塗りにならないように軽く注意しながら塗布します。これにより、切り込んだ際に生じた凹線部分が溶きパテで埋まるので、中央部分にへこんで見える不自然さがなくなります。

▲ナイフで切り込んだ際に生じた切り込み線が不自然に見えないよう、2倍前後に希釈した溶きパテをエアブラシで塗布することで埋め戻す

▲切り込んだ際に生じた凹部分(イラストの赤部分)に溶きパテを流し込むことで中央部がへこんだ不自然さを解消する

 

■機体の塗装

凸モールドの再生が完了したら、いよいよ機体の塗装です。

映画『ゴジラ-1.0』の劇中に登場する機体は、日本機の標準的な上面「暗緑色」、下面「明灰色」に塗られているので(実機の下面は無塗装の銀色だった説もあり)、それに準じた塗装を行います。

塗装が単調にならないように、下地としてセミグロスブラックで機体全体のパネルラインにプレシェーディング塗装を行います。

▲上面暗緑色、下面明灰色の塗装は単調になりやすいので、プレシェーディングによるパネルラインの強調は良いアクセントになる

 

■塗装は明るい色から暗い色の順番で重ねていく

今回、機体色はタミヤラッカー塗料を使用。機体上面が「LP-31暗緑色2(日本海軍)」、機体下面は「LP-32明灰色(日本海軍)」となります。

劇中機は、スクリーンで観る限りやや明るめの緑という感じですが、個人的な好みで、作例はやや暗い暗緑色をチョイスしました。

塗装は機体下面の明灰色→暗緑色の順で重ねていきます。上下塗装の塗り分けの境目はわりとハッキリした波線なので、エアブラシで塗り分けたのち、筆で境目をタッチアップしてボケ具合を調整しています。

機体の基本塗装が完了したら、主翼前縁をマスキングして味方識別帯の黄橙色を塗装していきます(暗緑色の上だと黄橙色は発色が悪くなるので必ず下地に白を塗装すること)。

▲味方識別帯の塗装では黄橙色の発色を良くするため、下地に白を塗装しておく

▲白の上から黄橙色を塗装

▲味方識別帯が入ったことで、日本機らしくなってきた震電

▲タミヤラッカー塗料「LP-31暗緑色2(日本海軍)」と「LP-32明灰色(日本海軍)」(各220円)

▲日本機の敵味方識別で主翼の前縁に塗られていたオレンジ味の強い黄色は、タミヤラッカー塗料ではリリースされていないので、Mr.カラーを使用。Mr.HOBBY「Mr.カラー #58番 黄橙色(日本機識別マーク他)」(220円)

 

■次回完成!マーキングとデカール貼り

ということで今回はここまで。

厄介と思われがちな凸モールド再生ですが、今回は簡単かつシンプルなやり方ということで、モデラーズナイフを使いプラを盛り上げて凸線を再生するやり方を紹介しました。

次回は塗装した機体のマーキング(デカール貼り)とウエザリング新アイテムを使ったチッピング塗装を紹介。震電の完成を目指します! 乞うご期待!

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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