レーサーレプリカに乗りたいなら125ccクラスがおすすめ!? スポーツマインドを感じられる原二マシン2選

1980〜90年代のバイクブームの頃、人気を集めていたのが“レーサーレプリカ”と呼ばれたフルカウルマシン。その頃にバイクに興味を持った世代なら、今でもそういうマシンを見ると胸が熱くなる人も少なくないことでしょう。その後、フルカウルのスポーツマシンは“スーパースポーツ(SS)”と呼ばれるようになり、今も人気のあるカテゴリーです。

ただ1000ccや600ccクラスのSSは、サーキットでの性能を追求した結果、公道で楽しむには性能が高くなり過ぎてしまった面もあります。

そこで、かつてのレーサーレプリカのようなマシンに公道で乗りたいという人におすすめしたいのが125ccクラス。維持費も安く、公道でもスポーツマインドを楽しめるマシンが登場しています。

 

■125ccのスポーツマシンをおすすめしたい理由

「レーサーレプリカのようなマシンに乗りたい」と考えている人に、125ccクラスをおすすめしたい理由のひとつが、維持費の安さです。

原付二種は車体価格が安いことに加えて、クルマを所有している人なら任意保険のファミリーバイク特約でカバーできるので、保険料を抑えることが可能。また、1000ccや600ccのSSはタイヤが太いので、ハイグリップタイヤを履かせると前後タイヤに交換工賃を加えると10万円くらいになってしまうことも珍しくありません。

125ccクラス向けのタイヤなら、ハイグリップラジアルを選んでもその半額程度の予算で対応が可能。限られた予算でスポーツライディングを楽しむなら、排気量は大きくないほうがおすすめです。

理由のふたつめは、公道を走る速度域でもアクセルを全開にできること。大排気量のSSではパワーがあり過ぎて、アクセル全開にできるのは高速道路で合流するときの一瞬だけだったりします。もちろん、そのパワー感はスゴイのですが、アクセル全開でレブリミットまで回す気持ち良さを日常で味わいたいのなら、現状では125ccくらいが限界かもしれません。200PS超えも珍しくないリッターSSを全開にできるのは、サーキットでそれなりの腕を持っていなければ難しいでしょう。

3つめの理由は、車体が軽くて振り回すように乗れること。大排気量のSSは車重もそれなりで、足回りもしっかりしているので安心感はあるのですが、どうしてもマシンに“乗せられている”感じになりがち。その点、125ccクラスなら車重も140kg程度でエンジンも軽いので、ワインディングなどの切り返しも俊敏。意のままにスパッとバンクさせられたりするので、スポーツライディングの気持ち良さが存分に味わえます。

もちろん、125ccだと長距離ツーリングがキツい…という意見もあると思います。それは確かなのですが、1日丸ごと使ってツーリングに出かけられる時間的余裕のある人はどれだけいるでしょう? 休日の午前中だけワインディングに足を伸ばして、短い時間でもスポーツライディングが楽しめたら、その満足感はかなりのもの。バイクに乗ることはスポーツであり、アクティビティなんだと思い出させてくれるはずです。そして125ccクラスなら、長距離ツーリング用のバイクとは別にもう1台所有するなんてことも、ハードルがだいぶ下がるのではないでしょうか。

 

【おすすめ車種①】ヤマハ「YZF-R125」

そんな125ccクラスのマシンとしておすすめしたいのが、昨年登場したヤマハの「YZF-R125」。同社の「YZF」シリーズの血統を明確に感じるデザインで、排気量を知らない人が見たら相当速そうに見えるはず。プロジェクタータイプのLEDライトや、シートカウルの造形なども同シリーズの大排気量モデルと同様で、チープに感じる部分がなく所有欲も満足させてくれます。

エンジンはVVA(可変バルブ)を採用した水冷SOHC単気筒。最高出力は15PSです。4ストロークの125ccなんて…と思う人もいるかもしれませんが、今どきのインジェクションを採用した4ストエンジンは常用回転域でトルクがあり、そしてVVAが切り替わる7400rpmからはもう一段階パワーが盛り上がり1万rpmオーバーまで加速が続きます。回転数が上がると点灯する数が増えるシフトインジケーターランプも気分を盛り上げてくれます。

足回りもフロントに倒立タイプのフォークを採用し、右側が湾曲したアルミ製スイングアームを装備するなどレベルが高いもの。アシスト&スリッパークラッチやトラクションコントロール機構など、昨今のSSには標準的な装備も備えています。実際にワインディングを走ってみても、ハンドリングが軽快な割にコーナリング中の安定感も高いので、“レプリカらしさ”やスポーツライディングの楽しさを満喫することができました。

価格は51万7000円。125ccクラスとしては高く感じるかもしれませんが、250ccクラスでも4気筒の「Ninja ZX-25R」などは100万円近い価格であることを考えると、この完成度でこの価格はお買い得といえそう。ちなみに、同じ車体に155ccのエンジンを搭載した「YZF-R15」(55万円)もラインナップしているので、高速道路も走りたい人は、そちらも検討してもいいかもしれません。

 

【おすすめ車種②】スズキ「GSX-R125」

このクラスの面白さを広めた立役者といえるのがスズキの「GSX-R125」。同社のSSシリーズ「GSX-R」シリーズらしいアグレッシブなスタイリングに、レースシーンを思わせるカラーをまとっています。ハンドルは「YZF-R125」と同様に、トップブリッジ下にマウントされるクリップオンタイプで、レーサーレプリカの雰囲気は十分です。

エンジンは水冷のDOHC。最高出力は15PSを1万500rpmで発揮します。「YZF-R125」のエンジンに比べると、高回転まで回してパワーを発揮するタイプのエンジン。VVA機構はないため、低回転域のトルクはそれほど感じませんが、DOHCで回転上昇がスムーズなので街乗りでも扱いづらさを感じることはありませんでした。

足回りはフロントフォークが正立タイプで、「YZF-R125」に比べると車体もやや細身な印象。車重も137kgと4kg軽量になっています。走ってみても、その軽快さが際立ちます。バンクさせる操作や切り返しが軽いので、ちょっとタイトなワインディングが似合う感じ。街中の交差点を曲がるのにもスポーツマインドが感じられる稀有なマシンといえます。

価格は45万3200円。大きなバイクを所有している人のセカンドバイクとしても現実的な価格といえるのではないでしょうか。ワインディングを走るのも楽しいですが、ミニサーキットに持ち込んで腕を磨くような使い方もしてみたくなるマシンです。

<取材・文/増谷茂樹

増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。

 

 

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