ワークマンの5800円リュックを狩猟用に使ってみた。高い機能性と先輩猟師さんの言葉に納得!

【グッとくる農具/番外編】

2023年春から田舎と街の二拠点生活を始めたライターのGOL氏。耕作放棄地を再生し、農業の楽しさや難しさ、奥深さにあっという間にハマってしまったとか。とはいえ、そこは根っからのギア好き。農機具をはじめ田舎暮らしに必要なモノにも、思わずソソるギアがたくさんあるようです。冬期は畑が凍ってしまうので春までは狩猟や山仕事関係のギアを主に紹介していきます。

 

■全開できる箱型のメインコンパートメント

ワークマン
「ジョイントバックパック エキスパート」(5800円)

今回は山仕事用に使っている、みんな大好き“やる気ワクワク ワークマン”のリュック「ジョイントパック」シリーズの“エキスパート 迷彩柄”をレビューします。

購入したのは2023年夏頃。今季猟期にデビューしたかったので、狩猟免許取得や銃砲所持許可など各種手続きを精力的にこなしていた時期です。モチベーションを保つためにも狩猟で使用するためのギアを少しづつ揃えていました。

▲オンラインではいつも品切れの人気アイテムだったようです

このリュックを選ぶにあたっては、地元の先輩猟師さんたちの意見を参考にしました。第一に「立派でなくてええよ」とのこと。登山用のハイブランドは必要ないとも言われました。「何を使ったって良いじゃないか」とも思いましたが、猟場を案内されて実際に歩いて納得しました。

いわゆる登山道を歩くことはほぼ皆無で、足場の悪い砂礫の急斜面を登ったり下ったり、深い藪こぎも頻繁にありました。ウエアもリュックも砂礫や藪で擦れるし、引っかかる。かなりギアに対してダメージを与えることが分かりましたし、移動距離は意外と短く、長時間着用する必要があまりない、という特殊な使い方でした。

「リュックに金かけるくらいなら、良い長靴買いな」は先輩猟師の至言です。

▲全開にできるメインコンパートメント

そんな理由で“安くて機能的なブランドといえば”となり、ワークマンを選んだわけです。もちろん、理由はそれだけではありません。「ジョイントバックパック」の魅力のひとつが、全開できる箱型のメインコンパートメントです。

全開にできるので底の部分に収納したものが取り出しやすいのが特徴。また、底部と側面のマチは約16cmあり、収納しやすく中で荷物をきれいに重ねられます。

背部にはクッションパッドがあり、ノートPCなどを収納できるので、シティーユースやトラベルユースが考慮されているものと思われます。狩猟メインで使用するには不要なものですが、元々そういったニーズで作られたわけではないので諦めています。ただ、有害駆除をはじめたら確認用標識の用紙などを入れておくには良さそうなスペースです。

▲メインコンパートメントの両側にある縦長のポケット

この部分には500mlクラスの水筒やペットボトル、折りたたみ傘などが入ります。山では水は必須の携帯品。素早く取り出したいので明確な場所に収納できることはありがたい。

▲頻繁かつ素早くアクセスしたいアイテムは外側のコンパートメントに収納

外側の主な収納部は2箇所。上部の小さな部分と、下部の大きな部分。下部は縦開きの仕様。この部分はかなり便利。獲物を獲った後は解体する際にビニール手袋をします。他にも解体した肉のドリップや血液を吸う為のシート(ペットシートを利用)だったり、その肉を収納するビニール袋などを入れたりするのに便利で、充分な収納力とアクセスの良さがポイントです。収納部を含めるポケットの数は計8箇所あり、対象用途に合わせたフレキシブルな設計です。

▲超撥水加工された生地“DIAMAGIC DIRECT”

リーフ迷彩のファブリックは撥水加工が施されているので多少の雨でも使えます。雨の日は猟はしないヘタレですが、存外にリュックは汚れるので、軽く洗い流すだけできれいになるのは良いですね。獲物の血液や体液など登山では想定外の汚れ方もするので、撥水加工であることは助かります。

生地のデニール数は表記がありませんが、わりと薄い感じです。その分軽量という利点があります。重さは約800gくらいでした。

▲止水ジッパー

超撥水加工の生地同様、浸水を防ぐ止水加工されたジッパーを装備しています。止水ジッパー特有の動きの悪さはあまり感じません。とてもスムーズな動き具合。外側にあるすべての収納口に採用されています。

▲ゆとりのある背面メッシュ部

背面メッシュ部のクッションは外側が高さ約2cm、内側が約1cmと高さに違いがあり、効率的に蒸れを逃がす工夫が施されています。また、腰ベルトは着脱が可能。背面メッシュの裏側にベルクロがあり、そちらで着脱できます。腰に弾倉を巻くため、腰ベルトは干渉するので外しました。

▲やや薄めのショルダーパッド

登山用に検討して買った人には不評のやや薄めのショルダーパッド。これも狩猟では利点のひとつかと思います。ショルダーパッドが厚いとリュックを背負った状態で撃たなければならない時に、銃の肩付けがしづらいデメリットがあります。だから、やや薄めはいい感じ。

このサイズで70kg級のニホンジカの美味しい部位の肉を詰められました。容量は約41リッターなので充分かと。それ以上の大物になってくるとちょっと小さいかな?と感じます。

また、ショルダーハーネスやチェストベルトなど、この容量に対してワンサイズ細い規格のベルトが採用されています。それに伴いバックル類も小さいので耐久性や締め具合に関して若干の不満があります。魅力的な価格で高機能を実現しようとしているので、多少チープなパーツを使っているのかもしれません。これからも、使用していく中でグッドポイント、バッドポイント両方が見えてくるとは思いますが、今のところ概ね満足して使っています。

*  *  *

狩猟に使用するギアは、登山や釣りに比べると専用品は少なく、使用環境やスタイルによって合う合わないが出てくる世界だと感じます。五里霧中にギアを自力で選ぶよりは、猟場に精通した先輩に意見を聞いてみるのが一番良いのかもしれません。

>> ワークマン

>> [連載]グッとくる農具

<取材・文/GOL

GOL|現在、東京近郊の山村と都会で二拠点生活をしています。ライター業がメインですが、地方の魅力発信にも力を入れています。実地でのレビューがしやすい環境を活かしてアイテムを紹介していきます。

 

 

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