【趣味な大人のベストバイギア】
飛行機、船、戦車を題材とするスケールモデルは、接着や塗装が必要で作りがいを得られるのはもちろん、模型製作を通じて実物の知識が深まるのも楽しみのひとつ。そんな充足感をこれらの最新アイテムで味わってほしい。
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直近に発売されたプラモデルで特筆すべきなのは、タミヤの『1/48ロッキード マーチンF-35Bライトニング Ⅱ』。
「パーツの精度がとにかく凄まじく、表面に施された造形も緻密。“新世代のプラモデル”だと言えるでしょう。海外からの評判も相当高くなっているようです。組み立て説明書どおりに作れば、時間がかかったとしてもキチンと完成させられますし、そのあたりのことも含めて、タミヤはすごいなと」
そう話すプロモデラーの長谷川迷人氏は、海外製のプラモデル動向にも注目。3D CADの導入などによって、パーツの精度が高まっているという。
「円安のアオリで単価が上がっており、プラモデル好きとしては厳しい状況なんですけど…作りやすさは格段に向上しました。国内メーカーが題材にしないアイテムも押さえています。中でも昨年購入したウクライナの新進メーカーReskit (レスキット)には驚かされました。3Dプリンターをフル活用しており、すべてのパーツとともに、コクピット内に貼る計器のシールもフルカラーかつ立体的にプリントされています。3Dプリンターの普及により、少量多品種のプラモデルを作る“小回りの利くメーカー”が今後増えてくるかもしれません」(長谷川さん)
プロモデラー/長谷川迷人さん
モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロに。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手掛けている
■精度も造形も圧倒的な飛行機プラモデルの頂点
タミヤ
「1/48 ロッキード マーチン F-35B ライトニング II」(1万780円)
きちんとゲート処理を行うことで、仮組みをする際に接着剤を使わずともパーツ同士がパチパチとハマるほど非常に精度が高い。パーツ同士の合わせ目ができるだけ目立たない位置などに設計されているなど一線を画すスケールモデルだ(長谷川さん)
短距離離陸と垂直着陸に対応する“STOVL機”ながら超音速飛行が可能な最新鋭機のプラモデル。組み立てられるのは、駐機状態、短距離離陸状態、垂直着陸状態のいずれか。実機体の全面に施されたレーダー波吸収素材によるコーティングを、プラモデルでは繊細なモールドで再現している。全長約32.5cm
▲短距離離陸状態
▲垂直着陸状態
▲機体後部のエンジンダクトは、選択式の3つの形態に合わせて角度の異なるパーツが付属する。同タイプのF-35Aに比べてエンジンノズルが短いところまで実機に忠実な作りだ
▲キャノピー後方にあるのは短距離離陸や垂直着陸の際に使われるリフトファン。ハッチを開くと忠実に再現された内部構造を見て取れる。エンジンの補助エアインテークドアも実機さながら
▲機体上面は一体成型パーツを使用。組み立てやすく、完成した時の見映えもいい。パーツを取り囲む枠から樹脂が流し込まれたパーツの表面はヒケがほぼ見られないほど美しい
▲コクピットには精巧なフィギュアをセット。実機体のパイロットと同様に、各種情報をバイザー上に投影するヘルメット・マウント・ディスプレイを装着した姿になっている
▲車輪に取り付ける前脚柱と主脚柱のパーツは2種類が付属。機体の荷重で縮んだ様子を再現した短いタイプと、無荷重で伸びたままの長いタイプがあり、組み立てる形態によって選択する
▲主翼下の搭載ステーションに誘導爆弾やサイドワインダーなどをセットすれば、攻撃力を高めた“ビーストモード”の姿に! 兵装庫内のパーツ表面に施された複雑な造形も必見
■映画でゴジラと対峙した“異端の翼”を卓上で満喫
ハセガワ
「1/48 九州 J7W1 局地戦闘機 震電 『ゴジラ-1.0』 劇中登場仕様」(3300円)
キット自体は約40年前のものだけど今見てもプロポーションは抜群! 組み立ての説明書が見やすく刷新されているのもポイント。映画を見て作りたい人はぜひ挑戦してほしい(長谷川さん)
第二次世界大戦末期に1機のみ試作された局地戦闘機が題材。“劇中登場仕様”として、プロペラの接地を防ぐための垂直尾翼の補助輪を切り取り、機首の機関砲を削るようになっている。組み立て説明書にはキャノピー用のマスキング型紙も用意。※限定生産版のため、現在は店頭在庫のみの状態
▲18気筒エンジンを搭載する機体後部のプロペラは、6枚の翼が一体成型になっていて組み立てやすい
▲“劇中登場仕様”の特典として、映画のロゴマクやゴジラのシルエットを印刷したデカールが付属する TM & © TOHO CO., LTD.
■波立つ洋上を離着陸可能な特殊な機体を忠実に再現!
青島文化教材社
「海上自衛隊 救難飛行艇 US-2 20周年記念パッケージ」(6380円)
海上自衛隊岩国基地にある実機を取材して設計されたというプラモデルの作りは上々。パカパカと組み立てられるし、机に飾りやすいサイズ感なのでビギナーにもピッタリ!(長谷川さん)
前身となる試作機US-1A改の初飛行から20年を記念したスペシャル版。US-2、US-2 試作1号機、US-2 試作2号機という3タイプの中から選んで組み立てる。主脚やフラップも展開状態または格納状態を選択可能だ。
▲波高が3mある外洋での離着水を可能にする「溝型波消し装置」などの造形は実機さながら
▲飛行状態でディスプレイできる台座のほか、20周年を記念したロゴマーク(新明和工業協力)のワッペンが付く
■金属製&木製パーツなどでじっくり作り込める本格派
ハセガワ
「1/250 南極観測船 宗谷 第二次南極観測隊」(3万2780円)
ポントスモデル社は船のディテールアップパーツのトップメーカー。同社のパーツがこれだけ入っていて、この価格はお買い得。ゆっくりと時間を掛けてきれいに作ってほしい(長谷川さん)
模型メーカー・ハセガワと、プラモデル用パーツなどを製造するポントスモデルとのコラボ製品。第二次南極観測に運用された宗谷が題材で、門型のマストや艦載する水上機などから、第1次南極観測時の宗谷との違いを見て取れる。
▲救命艇の一部として使われる3D出力のレジン製パーツも造形が細かい
▲163点の金属パーツや甲板用の木製パーツが付属する豪華仕様。それらを船体各部に取り付けることによって、ハイディテールな姿を再現可能
■姿勢制御機能をはじめ“74式らしさ”を徹底追求
ホビージャパン
「1/35 HJ モデルキットシリーズ No.5 陸上自衛隊 74式戦車 G型 プラモデル HJMM005」(7784円)
徹底取材で再現されたエンジン周辺の造形は特に緻密。赤外線暗視装置やサイドスカートなどの装備がテンコ盛りのG型らしい姿を堪能できる。戦車模型は塗装しやすく初心者にもおすすめ(長谷川さん)
“戦車らしい戦車”としてミリタリーファンからの人気が高いものの、残念ながら今年で退役となる“74式”が題材。作りやすさの工夫として、履帯の組み立てをサポートする専用の治具パーツが付属。パーツ数は約810点。
▲油圧サスペンションによって車体を前後左右に大きく傾けられる74式の特徴も実車さながらに再現できる。砲身の角度も調整可能だ
▲キットが完成した後にリアハッチを開くとトランスミッションがお目見えする
<最新ツール活用でプラモ製作をより快適に>
▼工業用がベース!汎用性の高い両刃式
ハセガワ
「精密平刃プラニッパー【先細タイプ】」(6380円)
プロ用ニッパーを模型用に加工したもの。Φ3mmのランナーから細部のゲートまで幅広く使える両刃タイプだ。刃部保護用のストッパーネジが付いていて鋭い切れ味が持続する。
▼好きな番手を挟むだけ!ヤスリ掛け楽々アイテム
プラッツ/シモムラアレック
「職人堅気 弓形ヤスリ アーク」(2200円)
好きな番手のヤスリを挟んで使用するアイテム。ヤスリを挟んだ際にできる“たわみ具合”は10mm幅以内で調整可能だ。ゲート処理をはじめ、パーツ表面を滑らかにする際に便利。
▼パーツが見つかりやすいランナー式スタンド
BANDAI SPIRITS
「マルチビルダーズ ランナースタンド」(2枚セット:385円)
ランナーを最大4枚まで立て掛けておける、ペーパークラフト式のスタンド。パーツを探しやすくなり、作業効率が高まる。使わない時にはたたんで収納できるのが便利だ。
▼パーツの紛失を防げるマグネット式トレー
童友社
「凄!ホビー用 シリコンパーツトレイ」(1078円)
細かいパーツの紛失防止に役立つ。底面にはマグネットが付いており、スチール製の机上などに置けば、トレイ自体が動くことも防げる。レッド、ブルー、グリーンの3色展開。
※2024年2月6日発売「GoodsPress」3月号56-57ページの記事をもとに構成しています
<取材・文/長谷川迷人、ナゴヤリュータ>
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/585720/
- Source:&GP
- Author:&GP
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