国連人口基金(UNFPA)の「世界人口白書2023」によると、2023年の世界人口は80億4,500万人。国別の人口指標では、インドが14億2,860万人と世界1位の人口数を記録し、これまで世界1位だった中国を上回る結果に。
今後もさらなる人口増加が見込まれるインドでは、近年IT産業の発展も加速しており、動画配信サービスといった“コンテンツ分野”における有力な市場として注目されている。中小企業をはじめとするコンテンツ事業者がインド市場に展開していくなか、インド国内で大きな成長を見せているのが、インド発の動画配信プラットフォーム「ALTT」だ。インド国内向けの独自サービスを提供しながら拡大を続けている。
“ボリウッドの女王”がローンチした動画配信サービス
ALTT(旧:ALTBalaji)はボリウッド(インド映画制作の中心地であるムンバイの俗称)の有力なテレビ・映画プロデューサーで女優でもあるエクタ・カプール氏によって2017年に設立された。エクタ・カプール氏は家族経営のエンターテイメント制作会社のディレクターをする傍ら、インドにおけるウェブ・シリーズや独占的なオンライン・コンテンツへの需要の高まりに応えるベンチャーとして同社を設立し成功に導いている。
インドでは公用語としてヒンディー語、準公用語として英語が使用されているが、そのほか憲法で認められた州の言語は21あり、さらに方言は800を超えると言われている。そのため、インドで動画コンテンツを展開する企業には、インドで使用されている多くの言語に対応することが求められる。もちろん、インド国民が興味を抱くようなラインナップも重要だろう。
そんななか、インドのコンテンツ制作会社Balaji Telefilms Ltd.の完全子会社として設立されたALTTは、インドの言語に対応したオリジナルコンテンツにフォーカス。動画配信プラットフォームALTTにてドラマ、コメディ、ロマンス、スリラー、犯罪など、幅広いジャンルをヒンディー語、ベンガル語、タミル語、テルグ語など、インド国内の多言語で提供している。
ユーザー数1,500万人以上。人気の理由は?
ALTTはリリース1年半以内に 1,500 万人以上のモバイル ユーザーとWebユーザーを獲得し、96か国以上で利用できるようになった。ALTTの人気の要因は、インドの視聴者向けにカスタマイズしたオリジナルコンテンツの存在が大きい。同プラットフォームでは、131以上もの(ヒンディー語の)オリジナル作品を用意。リアリティーショー、ドラマ番組、映画、ミュージックビデオなど1,000時間以上のコンテンツを配信している。
とくに、2022年に大ヒットしたリアリティショー「Lock Upp(Season 1)」は、1エピソードが公開からおよそ1か月で3億再生もの視聴数を獲得たという(ALTTとMX Playerでの配信)。ALTTの主な視聴者は、世界中のインド人視聴者だが、文化的に関連性の高いコンテンツを母国語で探している国外のインド系住民にも人気を集めているそうだ。
また年間契約350ルピーという価格設定は、Netflix(インド)のスタンダートプランの月額5,988ルピーと比べても破格の値段と言えるだろう。
人口増加とグローバル化でさらなる拡大に期待
インドではインターネットやスマートフォンの普及が進んでおり、デジタルコンテンツへの意欲も高まっていることから、ALTTの将来性は有望と思われる。
インドの多様な言語に特化したオリジナル・コンテンツに注力するアプローチはローンチ当初こそニッチ市場と言われたが、今後人口増加が加速するインドのストリーミング市場でさらなるシェアを獲得することが予想される。
参考・引用元:ALTT Web/App Store/Google Play
(文・HAYASAKA)
- Original:https://techable.jp/archives/227591
- Source:Techable(テッカブル) -海外テックニュースメディア
- Author:Haruka Isobe
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